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華星に捧ぐ  作者: 潜水艦7号
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対峙

全電源喪失(ブラックアウト)だと?!そんな事がありうるのか!」

アルタイル本部長が司令室で声を張り上げる。


「アカツキ、現状はどうなっている?」


"輸送艦はゲートを出た直後に全ての通信が途絶しました。ゲートのセンサーで確認したところ、艦内に電気反応が消えている事が判明。ブラックアウトに至った可能性が高いと考えられます"


アカツキの回答はさきほどに聞いた速報と変わっていない。新たな情報が何も入っていないのだ。


「電源が落ちたとなると、ウスイとも連絡は取れません。やはり、こちらからアクションをとるしか無いかと」

副部隊長のデスクがアルタイルに進言する。


「それはいいとして・・・しかし、何が原因なんだ?まさか『テロ』ということは無いよな・・・?」

アルタイルが呟く。


「それは考え難いですね」

デスクがそれを否定した。


「艦長以下、船員4名はキャリアも長いですし。乗り込んでいる残りの2名は、今日から火星に赴任する予定だったアクアマリンとクラウドです」


「なるほど」

アルタイルが相槌を打つ。


「サダの司祭に、シーガルの弟か。確かに、これ以上確かな身元は無いな。と、なると・・・事故か・・・まぁ良い、仕方ない。こちらから救援を出そう」


「了解です。今、輸送班のシャトルを地上に向かわせました。技術科の人間を何人か選抜するよう、科長に依頼してあります。それを乗せたら、直接に輸送艦に向かいます」


「技術科か・・・ガゼルか?」


「いえ。ガゼルは航空機関士のライセンスがありませんので」

アルタイルの問いかけに、デスクが冷静に応える。


「そうか、なら良い。ところで、一応それでも『万が一』という事もある。艦内の火災とかだと対応も要るしな。防災対応班の人間に基本装備をさせて同乗させるよう、有事対応科にも依頼を出しておいてくれ。・・・アカツキ、どれくらいで輸送艦に着ける?」


"最短で加速して3時間25分で最接近する計算です"


「仕方ないな。それまで、こちらで状況を見守る他無いワケだ」

やれやれと、アルタイルが背中を向けた。



その頃。

全電源を喪失した輸送艦のエンジンルームはシー・・・ンと静まり返っていた。


その中にあって、アクアマリンは整備マニュアルを片手に安全装置の短絡(パス)に奔走していた。


基本的に宇宙空間に浮かぶ輸送艦の中に重力の作用はない。そのため、艦内は空中を漂うようにして移動することになるが、エンジンルームの整備歩廊だけは話が別だ。

足を使った『ふんばり』が効かないとネジひとつ緩めるにも苦労するからだ。そのため、此処の歩廊には特殊な永久磁石を使用することで、足が歩廊に吸い付きやすくなっていた。


「・・・くそ・・・意外と図面がアテにならないな・・・図面と実物が違う・・さては同型初号艦の資料をそのままコピーしたな・・・改善点が改版されていない・・・いや、『これ』か!」


若干の焦りを感じていたアクアマリンが、やっとお目当ての部品を見つける。


「どうも『これ』だな・・・よし・・」

配線を外す工具を取ろうとした瞬間だった。


「動くなぁぁぁぁっ!」

アクアマリンがエンジンルームに入ってきた時に使ったハッチから、大声が響いた。


何事か、と驚いたアクアマリンが振り向いく。

彼の視線の先に居たのは、クラウドだった。


何時の間にかクラウドは防護スーツを脱ぎ捨て、両手で構える中性子銃の銃口をアクアマリンへ向けていた。


「君か・・・驚いたよ。防護スーツのロックはどうしたんだい?・・・どんな手品を使ったか知らないが・・・」

手からマニュアルを捨て、アクアマリンが向き直る。


「動くなと言っている!そこを動くな!動けば・・・容赦なく、撃つ・・・!」

中性子銃を持つクラウドの両手に力がこもる。


「『撃つ』だって?・・・フン、君に『撃てる』のか?私を。君は人を『殺せる』のかい?」

アクアマリンが、せせら笑うように言う。


「・・・撃つと言ったら、撃つ!アナタだって、キャプテンを撃ったじゃないかっ!」

クラウドの絶叫が、静寂のエンジンルームに響く。


「ああ、そうだよ?確かに撃った。その代わり、だ。私はこの艦とともに最期を迎えるつもりなんだ。自分だけ助かろうなんて思っちゃぁいない。

いいかい?人殺しをすると言うのなら、自分の生命も捨てる覚悟が必要なんだ。私が言いたいのはね、君に『その覚悟』があるのか?という事なんだ」


カツ・・ン、カツ・・・・ン・・・

アクアマリンの靴が歩廊の床を蹴る音がする。彼はゆっくりと、クラウドの方へ歩き始めている。


「動くな・・・と言っている・・・!」

二人の距離が、徐々に縮んでくる。


「君に、その銃が扱えるのかい?その『構え方』だと、銃の取扱研修を受けた事は無さそうだな。そんな事で私を止められるとでも?・・・まぁ、良いよ。撃ちたければ撃つが良い。私は君を殺すつもりなんだ。その君に殺されるなら文句は無いさ」


アクアマリンの表情には『どうせ撃てまい』という余裕すら見てとれた。


「・・・・っ!」


銃を構えているのはクラウドの方だが、追い詰められているのもまた、クラウドの側であると言えた。





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