第59話:帰郷と再会
帝国から村への帰路。
10日間の旅を経て、俺たちは懐かしい村の入り口に立っていた。
「着いた……」
リナが、嬉しそうに笑う。
「ただいま、って感じだね」
「ああ」
村は、出発した時と変わらず、静かで平和だった。
「おーい!ケントが帰ってきたぞー!」
見張りの村人が叫ぶ。
すると――
「ケント!!」
「リナちゃん!!」
村人たちが、次々と集まってきた。
「よく帰ってきた!」
「皇帝を救ったんだって!?」
「帝国料理長にも勝ったらしいな!」
「すごいぞ、ケント!」
温かい歓声。
「ただいま、みんな」
「おかえり、ケント」
村長さんが、優しく笑った。
「よく頑張ったな」
「ありがとうございます」
「さあ、今夜は祝宴じゃ!」
「村をあげて、お前たちの帰還を祝おう!」
「村長さん……」
カフェ・ミルフォード。
店に戻ると――
「師匠!おかえりなさい!」
ソラが、満面の笑みで迎えてくれた。
「ただいま、ソラ。店は大丈夫だったか?」
「はい!完璧です!」
ソラは、自信満々に胸を張った。
「毎日満席で、予約も順調でした」
「よくやったな」
店の中を見回す。
綺麗に掃除されている。
食材も、きちんと整理されている。
「本当に、よく頑張ったな」
「えへへ」
ソラは、照れくさそうに笑った。
「師匠がいない間、僕が守るって決めてましたから」
「ありがとう」
俺は、ソラの頭を撫でた。
その夜の祝宴。
村の広場に、たくさんの料理と酒が並べられた。
「ケント、帝国はどうだった?」
「皇帝様、本当に助かったのか?」
「料理対決、どんな感じだった?」
村人たちが、次々と質問してくる。
俺は一つ一つ、丁寧に答えた。
皇帝の病気のこと。
魔力鎮静スープのこと。
ガストンとの料理対決のこと。
「すごいな……」
「俺たちの村から、そんな英雄が出るなんて」
「でも、ケントはやっぱりケントだな」
トムさんが笑った。
「全然偉ぶってない」
「それがいいんだよな」
「ありがとう、みんな」
宴も終わりに近づいた頃。
リナが、俺の隣に座った。
「ケント、お疲れ様」
「リナもな。よく頑張った」
「えへへ」
リナは、満足そうに笑った。
「でも、やっぱり村が一番落ち着くね」
「ああ、本当にそうだな」
空を見上げる。
星が、綺麗に輝いている。
「これからも、ここで料理を作り続けるんでしょ?」
「ああ」
俺は頷いた。
「俺の居場所は、ここだから」
「うん。私もずっと、ケントと一緒にいたい」
「……ありがとう、リナ」
二人で、しばらく星を見上げていた。
静かで、穏やかな時間。
これが、俺の幸せだ。
ーー第60話に続く




