3話
俺は家でゆっくりしようと思っていた。
――だが、インターホンが鳴る。
やはり、彼女――いや、元カノだった。
ピンポーン。
無視をする。
ピンポーン。
無視をする。
ピンポーン。
また鳴る。
ピンポーン。
「……うるさい!」
俺はついに、カメラ越しに応答した。
「何。」
『ごめんなさい、優くん……。』
「別にいいから。うるさいから、インターホン鳴らすのやめて。」
『やめるから、開けて。優くん……』
「嫌だよ。今は顔を見たくない。」
『お願い。私は優くんと別れたくないの。』
「利用するために、でしょ。」
『違う!!』
「でも、嘘コク認めたじゃん。」
『……そうだけど。最初はそうだったけど、私は本当に優くんのことが好きになって……。優くんのことしか考えられなくなって……。』
「でも、昨日、自分で言ってたよね。」
『あれは照れ隠し。本当はその逆なの。優くんなら、好きなように利用されたいって思うくらい、好きなの。』
「なら、別れようよ。」
『それだけは嫌だ。』
「もう切るね。」
『待って!』
カメラを切った。
……が、すぐにインターホンが連打される。
ピンポン、ピンポン、ピンポン――。
『お願い、優くん。私、優くんがいないと死んじゃうの。』
「いや、そんなこと言われても……。」
『本当だよ。優くんがいないともう生きていけない。それくらい、好きになったの。私は。』
俺は冗談だと思った。
――だが、次の瞬間。
元カノはポケットから何かを取り出した。
……カッターだった。
『私は死にます。ありがとう、優くん。』
「待って!」
俺は思わず扉を開け、彼女の手を掴んだ。
「離して! 別れるんでしょ!? 私のこと、見捨てるんでしょ!!」
「……っ!」
「放っておいてよ!! 私はこのまま死ぬんだから!!」
「待って……分かったから! 付き合う! 取り消すから! 別れるの、取り消すから!!」
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