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【5万PV感謝】異世界転霊した陰キャモブ顔おやじはとっとと逃げたい、お前ら凄いんだから俺のことはほっとけ  作者: 寝院 駝朗
第8章 VS神殿騎士団編

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163 葦毛の怪物は走る

敵の背後の森の端に到達した時には薄っすらと夜が明け始めていた。


敵の野営地も、出撃の準備が進んでいるようで、ガチャガチャと武器や装備の身に付けるような音が薄暗がりの中で響いていた。


そうしてみている間に敵は隊列を組んで、先頭が進み始める。


敵の本陣にはまだ百ほどの兵が残っているようだった。


騎兵五十、歩兵三百五十の計四百ほどの隊が、マードの町に向けて進軍してゆく。


騎士と歩兵の後ろから、背中の背負子に物資を担いだ荷運び人が二百人程続いている。


戦いに出る騎士には大抵一人につきニ、三人以上の従者がつく。


だから、五百人の騎士団の総人数はニ千人以上になる。


この神殿騎士団の人員を見ると、騎士の人数の半分くらいしか荷運び人が居ないように見える。


密かに森を隠れて進むために、人数を絞って進軍して来たのかもしれない。


あの荷運び人は騎士の従者達で、非戦闘員なので、戦場のマナーとして彼らを攻撃するのは卑怯な行いとされている。


たとえ戦で勝っても、そういう卑怯な戦い方で勝った指揮官は誰からも尊敬されないし、他の戦場に出ても、敵から見下されて酷い野次を飛ばされる事になる。


誇りを重んじる騎士にとって、『卑怯者』の烙印を押されることは、その後の出世を無にすることに等しいので、よほど切羽詰まった場面でなければ、あの荷運び人を害することはしない。


ただし、自軍が全滅の危機に有る時などは、なりふり構ってられないので、騎士の誇りはとりあえず横に置いといて、見ない振りで忘れる事もそれなりによくある話らしい。


ただ、こういう『戦場マナー』が通用するのは、この大陸の中原の国々の間だけだ。北の蛮族や、南の異民族と戦う時は、先方がこちらの戦場マナーを忖度してくれる事は無いので、最初から何でもありの血みどろの戦闘になってしまうという。


「で、これからどうするんだい?」


とミルさんが俺の横で身を低くして言う。


「ここからだと、敵までかなりの距離が有りますね」


「ざっと、千メルスってとこだね」


(千メルスと言ったら、一キロ半か)


頭の中で前世の距離に換算する。こっちのメルスと言う単位にはなかなか慣れない。


「あの敵の本陣から正門まではどのくらいですか?」


「千五百メルスくらいだね」


(二キロと二百五十メートルか。この森からだとかなり距離があるな)


「攻めるかい?」


「いや、敵には五十騎の騎兵が居ます。森を出てあの本隊を攻めたら、騎兵に背後に回り込まれて、すりつぶされるだけです。残った本陣を攻めたとしても、あの本陣の守備隊は固く守って打って出ないでしょう。本陣を攻めるうちに、やはり、騎兵に背後を突かれて全滅です」


「なら、どうするんだい?」


「とりあえずあの、本隊の戦力四百がどこに布陣するか確認しましょう。あのまま正門に全部隊を布陣するかもしれません。本隊を二つに分けてマードの町を別方向から攻めるようなら、一番離れた分隊の背後の森に移動して各個撃破しましょう。どちらにしても森人隊は森の中に伏兵として待機していてもらいます」


「でも、森から出て攻めないと、敵を誘きだせないよ」


「んーと、こちらのワマは何頭いますか?」


「十頭だね。伝令用の早ワマだよ」


「そのうち、三頭ほど貸してはいただけませんか?」


「いいけど、何をするんだい?」


「三騎のワマで敵の背後を駆け抜けて、森に誘い出します」


「たった三騎でかい?斥候と思って、相手にされないんじゃないのかい?」


「そうならないために、セシルと英子が出ます。もちろん俺とアスルも」


「無茶だよ。矢の雨を喰らってワマをやられるよ。それで相手の騎兵に囲まれて、捕まるのが落ちだ」


「セシルは光の盾を使えるから、それで、矢を防ぎます。敵の騎兵に囲まれそうになったら英子の雷撃で牽制して、寄せ付けないようにします」


「そんなに上手く行くかい?」


「分かりません。でも、敵に騎兵がある以上、森人を平原の野戦に出すわけにはいきませんから、俺達がやるしか無いんです」


「分かった。その代わり、こちらからもワマの騎乗の得意な男を護衛に三人出す。それでいいね」


「護衛は必要ありません」


「駄目だ。あんたたちがそのまま捕まったら、この遊撃隊の意味がなくなるからね。それが呑めないならガイ坊の作戦は認められない」


「………分かりました。仕方ないですね」


ミルさんが進軍する敵の本体に目を向ける。


「敵の動きは遅いね。かなりゆっくり行くんだね」


「奇襲が無くなったので、じっくり攻める気でしょう」


「舐められたもんだね。あいつら、ヤマに一度も勝ったことが無い癖に」


「そんな事も覚えていないんですよ。ただ、この神殿騎士団には、まだ強い奴らがいます。ネルガルが出なくてもそいつらは難敵ですよ」


「あいつらの風体はどう見ても『神殿騎士団』って様子じゃ無かったね。どこかの夜盗かごろつきって言った方がしっくりくるね」


と言うミルさんの話でバルドの事を思い出した。


あいつは嘘か本当か分からないが、元山賊だったそうだ。そういう、武に優れたごろつきを取り込んで戦力を上げようとする貴族も居るのだろう。ネルガルとその仲間も傭兵崩れのごろつきと言った感じだった。


「敵の本体はかなり、先に行きましたね。見えますか?」


「ああ、あたしは目がいいんだ。二千メルスくらい先までなら見えるよ」


(二千メルス?三キロ先まで?)


「魔眼ですか?」


「ああ、『遠見』の魔眼持ちだよ。この能力のせいで、南の大陸じゃ、散々こき使われたもんだ」


「という事は、ミルさんはイゼル人?」


「そうだよ。でも、若い頃の話さ。そう言えば、あんたイゼルの貴族の服を持っていたね。あんな物どこで手に入れたんだい?」


「宿場町の露店で買いました」


「そりゃ本当かい?あの服は、露店で買える様な品じゃ無いんだけどね?」


「そんなに高くは無かったですよ」


「ふーん。まあ、何でもいいさ。どっかの馬鹿な貴族が行き倒れて、身ぐるみでも剥がされたんだろ?」


「売っていたのも、イゼル人の男の人でしたよ。イゼルの伝統的な化粧のやり方もその人に教えてもらいました」


「じゃあ、そいつが貴族なんだ。自分の服の相場も知らないで適当に値付けをして店に並べたんだろ?馬鹿な奴だね」


(あの人が貴族?)


そう言えばあの親切な男の人は、目鼻立ちの整った品の有る顔をしていた。


もし、かなりの安値で買ったとしたら、悪い事をした。こちらとしたら、化粧代込みで奮発して払ったつもりだったが……。


次会う事が有ったら、お礼を言って、追加分を支払うことにしよう。


それもこれも、ここを生き抜けたらの話だが。


「南の大陸ってどんな所ですか?」


「暑くて、雨が多い。農作物が良く育つよ。沼地が多いから、ウィーダの栽培はあまり向いて無いね。多少は作っているけど、そのほとんどは北の大陸への輸出用だよ。向こうでの主食は、沼地や川の側の低地で育つ、『ラエサ』という穀物だ。ウィーダは粉にして、水で練った物をパンにしたり、湯に入れて固めて食べるが、『ラエサ』はそのまま茹でて、柔らかくなった物を、湯を切って食べるんだ」


「オスリアの食堂で、それのぶっかけ飯を食べました。旨すぎて同じのを二杯食べました」


「ふーん。ラグナの人間はあれが苦手みたいだけど、ガイ坊の好みには合ったみたいだね。やぱり、あんたは変わった子だね」


「ええ。悪の変人として、ラグナ王都では俺の事を知らない人間は居ませんでした」


「でも、その悪い評判は誤解なんだろ?」


「なんでそう思うんですか?」


「あんたはそんな悪い子じゃ無いからね。人の本性と言うもんは、数年で簡単に変わるもんじゃ無いよ。過去のあんたが悪人だったなら、今もあんたは悪人なはずだよ。今、あんたがいい子なら、過去もいい子だったはずだ。だから、今いい子なあんたの過去の悪い評判は、何かの誤解って事になるんだよ」


「そう言っていただくのはありがたいけど、俺が悪人だったことは事実です。俺を殺そうと憎んでいる人も居ます」


「おかしいね。あたしは今まで大勢の人を見て来てんだ。あたしの見立てはまず外れないんだけどね」


「ミルさんは『多重人格』と言う言葉を知っていますか?」


「なんだい?それは」


「一人の体の中に何人もの魂が居て、いくつも人格がある人間の事です」


「ああ、悪魔憑きのことかい?」


「まあ、それみたいなものです。過去の俺は悪魔憑きの感じで人格が歪んでいたんです。今は大分ましになりましたが、今でも時々ひどく他人が憎くなって暴れたくなる時があるんです」


「そうかい。今あんたが受けている呪いも、それと一緒なのかい?」


「これは、また別口です」


「それは、難儀な事だね。気の毒に……。あ、連中が正門の前に布陣している。どうやら、兵を分けて攻める気は無いみたいだね。正面から力押しで行く気だよ」


「アスルの言う通りでしたね。敵は退路を確保した状態で戦う選択をしました。とことんやる気は無いのでしょう。少なくとも一緒に来ているという上級神官は不利になったら逃げるつもりです。と言うことはあの本陣の百の兵は、味方が不利になっても、あそこから動きません」


「そうなのかい?あの本隊の騎馬隊五十騎が歩兵の後ろで整列している。重装騎兵だ。ワマに鎧を着せている。まずいね。あの騎兵に突っ込まれたら、正面から矢を射ても跳ね返されて通じないよ」


「でも、装備が重い分、森の中までは入ってこられないはずです」


その時、敵の本陣の方からワマのいななきが聞こえてきた。


その直後、何頭かのワマが続けて鳴き声を上げる。


「本陣にもワマの部隊が少し残っているようです」


「ちょっと待ちな。よく見てみる」


ミルさんの両目から魔力が陽炎の様に立ち上る、


「九、十……十五騎くらいかね。けっこう騎兵が残ってるね。伝令用にしては数が多い。それに本陣のワマは鎧を着てないね」


「上級神官の逃亡用でしょう。恐らく一番足の速い身軽なワマをあそこに残しているはずです。結局ネルガル達神殿騎士団は捨て石という事ですよ」


「何の為にそんな事をするんだろうね?」


「分かりません。ただ、聖女の探索願いはヤマに受理されています。あるいは、ヤマで聖女の探索隊が不当に攻撃されて壊滅したという筋書きが欲しいのかもしれませんね。ラグナ側にしてみたら、あの神殿騎士団が勝っても負けてもどちらでもいいのかもしれません」


「目的は開戦かい?」


「そこまでは分かりません。ただ、王太子が聖女を欲しがっているのも本当なのでしょう。その願望を利用されて、何かの陰謀に王太子がいいように加担させられているという可能性も有ります。まあ、深読みして勘ぐったらどんな可能性も否定できません」


「ややこしい話だね」


「ええ、本当に。先日のスーラ神聖教国の事件も、何か関係しているかもしれません。今は予断を持って語れることは何もありませんよ」


「やっぱり、ガイ坊は頭がいいんだね。あたしの頭じゃそんな難しい政治の話は分からないよ」


「大したことは無いですよ。頭でっかちのガキのたわ言です」


「また、そんな事を言って。……あんたは、つくづく不思議な子だねー」


「???」


俺にはミルさんの言っている言葉の意味がよく分からなかった。


「ああ、戦闘が始まったよ。あっ⁉あいつらの前衛が何か杖の様な物を掲げているよ!」


「杖ですか⁉」


「あ、杖から何か出た。大きな岩の塊が飛んで行って、たくさん門にぶつかっている!」


「杖を持っているのは何人くらいですか⁉」


「前列の二十人くらいだよ」


「そんな大勢の土魔法使いここに来ているとは思えません。それは多分魔石で魔法を発動する形式の杖です。あれは、魔法使いでなくても魔石が有れば何度でも使える魔術具です。しかし、そんな大量の高価な魔石をこんな小さな町の為に使うなんて、普通なら考えられませんよ!」


「王太子って奴の資産なんじゃないのかい?」


「くっそ、これだから、常識の無い金持ちのボンボンは嫌なんだ!」


「マードからも壁越しに矢を打っているけど、敵の大盾に全部防がれてる。どうする!このままじゃ大門が持たないよ!」


「大丈夫です。中にはカディスさんが居ます。マリさんもです。あの二人が居れば守りは鉄壁です。あの二人を信じて下さい!」


そう俺が言った直後に、大門の扉の前に植物の蔦が次々に立ち上がり、門を覆い尽くす。


その植物の壁が、飛んでくる岩の塊を柔らかく受け止めて、大門の傷つくのを防ぐ。そして、飛んできた大岩を蔦で掴んで、そのまま敵の魔法杖兵に向かって投げ返す。


魔法杖を持つ前列の兵はとっさに大盾兵の陰に隠れる。


その大盾の上に、カディスさんの蔦の投げ返した大岩が降り注ぐ。


大盾兵数人が吹き飛んで岩の下敷きになるが、すぐに他の大盾兵が穴の開いた部署にカバーに入り、降り注ぐ岩を防ぐ。


投げ返される岩が尽きたところで、剣を持つ一団が盾の間から飛び出して、カディスさんの蔦を切り飛ばし始める。しかし、カディスさんの蔦は後から後から無尽蔵に生えてきて、大扉の前を塞いでいる。


蔦を切り続ける騎士の頭上で何かが閃いた


緑の壁の上の方で細い蔦が鞭のようにしなって、下の騎士達に襲い掛かる。


鞭の先端が音速を越えた時のような高い衝撃音が、この遠くからでも聞こえてきた。


蔦の先端の打撃をくらって、大勢の騎士達が後方に吹き飛ばされる。


ネルガルと戦った直後は魔力が上手く練れなくなって、一時的に弱い植物魔法しか使えていなかったカディスさんだが、今の彼は休養を取って完全回復した状態だ。俺の渡した『完全魔力回復薬』もあるから、魔力切れの心配もなく思う存分緑魔法を振るえる。今の万全なカディスさんを攻略するのはあの程度の兵力ではかなり困難なはずだ。


そして、カディスさんの魔力回廊が疲弊したら、マリさんが居る。カディスさんが休んでいる間はマリさんが防御を担当して、交互に交代しながら守りに徹すれば、あの大門と壁は守り切れるだろう。敵の魔石も無尽蔵にあるわけじゃない。そのうち攻め手が無くなる。


ただ、敵側の『強者』が途中で出て来て、ゲームチェンジャーになる可能性がある。それを阻止するのが俺達森人遊撃隊の役目だ。


「よし行こう」


俺は後方のワマの所に行く。


既に、アスルがワマにまたがり、自分の前にセシルを乗せていた。


英子は一人でワマの手綱を掴んでいる。


「領地に居た時は、よく早駆けの競争をしたものよ。大体、私が一着だったわね」


と自慢気だ。


英子もセシルも、なんちゃって神官服の下に、だぶだぶゆったりズボンを履いて、普通にワマにまたがっている。


で、俺だが。


「いよっ!よぉっと!」


気合でワマにまたがるが、勢い余って反対側にずり落ちて、ケツから落下した。


「うぐっふんー!」


と変な声が出た。


「あんた、ワマに乗れないの?」


英子が呆れている。


「乗れるわい!ちょっと待て、誰か乗れていた奴がいるはずだ。今、思い出す!」


俺は集中して、今まで憑依した人間の記憶をたどる。


ガルゼイはボンボンだから人にマ荷車を運転させだけで、自分で乗ったことが無い。


エルは病弱な子供なので論外だ。


あっという間に棍棒で殺されたギャンブラー親父の記憶をたどる。


その脳裡に疾走するワマの姿が映る。


(これは!)


と期待するが、それは、ワマの賭け競争で有り金をすって、泣き叫んだ時の記憶だった。


(くっそ、使えねえおやじだな!)


心の中で悪態をついて、更に記憶を探る。あと残ったのは、憑依した直後に死鬼に間違われ、ラガーマン的な男のタックルで一瞬でご臨終した爺さんの物だ。


(あの、爺さんはボケてたから、何の記憶も無かったんだよなー。期待薄だよなー。駄目かー)


と思いながらじいさんの記憶に集中する。


すると、『はいよー!ほう!ほう!』と言う年配の男の声がどこからともなく聞こえてきた。


(ん?誰?)


『このわしは、王都のワマ早駆け競争の年間王者決定戦で一着を取ったこともある男じゃ!見よ!この華麗な鞭捌き!わしこそが真の王者じゃ!王者の凱旋じゃ!どけい!どけい!邪魔じゃー!道を開けよ!取るに足らぬ惰弱な薄ノロ共め!ヒーハー!ヒーハー!ヒーヒーハー!』


(えっ!だから誰だよ!まさか、あのボケジジイ?)


と困惑している間に、風を切って王都郊外の道を駆け抜けた時の記憶が、俺の脳内によみがえって来た。


「あー!」


俺はその場で叫んでいた。


「何よ?尻でも痛いの?治す?」


と英子。


「違う!俺はやればできる子だったんだ!見てろ!」


と颯爽とワマにまたがる。


「はいヨー!行くぜ!俺の葦毛の怪物よ!敵陣目掛けて突っ走れ!」


「いや、葦毛じゃ無いし。ただの毛の長い普通の灰色だし。カサマツ関係無いし」


と英子。


「いいんだよ。こういうのは気分の問題なんだから」


「まあ、いいわ。で、出発?」


「ああ、出発だ!皆、俺に続けー!ヒーハー!」


俺を先頭に、俺達六騎のワマは森から飛び出した。


一面の広い草原を疾走する。


敵の本体に向かって突っ走る。


「うひー!ワマで走るのって気分がいいな!目線が高い!田舎の田んぼ道を原付ですっ飛ばすのとは全然違うな!」


「ちょっと、飛ばし過ぎ!」


と俺のワマの斜め後ろにぴったりと付けた英子が叫ぶ。


「先行逃げ切りだ!」


「スタミナ切れで、差されるわよ!」


「こっちは寡兵だ!もたもたしてたら、囲まれる!それに、お前忘れてないか⁉俺達のワマがドーピングできる事を!」


「あっ!バフね!」


「そう言う事だ!俺の葦毛の怪物は、無敵のターボ搭載車だぜ!無尽蔵のスタミナだ!ゴ〇シワープだ!ヒーハー!」


大門を攻める敵の背後にひたすら突っ走る。


敵の後方に待機している五十の騎兵隊が、ワマの首を巡らせて進路を後方に転じる。


だが、こちらが少数なので、注視するだけでまだ動かない。


しかし、その騎兵の一団の中から、単騎で飛び出してくる奴がいた。


「アスルー!貴様ー!殺してやる!」


体を包帯でぐるぐる巻きにしたネルガルが、鬼気迫る様子でワマの手綱を握っていた。


頭にかぶっていた半兜を自分で横に投げ捨てて、髪を振り乱して、鬼気迫る怒りの表情で一直線にこちらに走ってくる。

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