真実と孤独。
自分に対して嘘を吐いている人間の持っている、その嘘についての真実がわかる。
最初にこの能力に気が付いたのは、幼稚園児の頃だった。
父親は俺が生まれて直ぐに蒸発したらしいから全く知らないが、母親はいつも俺がそのくらい幼かったときは、俺に対して嘘は吐かなかった。だから、この能力には気付けなかったんだ。
否、実際気が付かなかった方が幸せだったんだろう。
幼稚園に通い始めてから、自分に父親が居ないことを不振に思うようになり、ある日母に聞いたら、
「お父さんはね、お仕事でずっと前から違う国に行ってるのよ。」と言われた。
「へぇー、そうなんだ。お父さんはじょーはつしたんだー。でも、"蒸発"ってなに?」
"そうなんだ"と聞いて、上手く誤魔化したと安心したんだろうか、次に続いた"蒸発"と言う単語を聞いて、母の顔が引き吊った。
母は蒸発なんて言葉は一言も使っていない。しかし、俺の頭の中には何故か父が蒸発したという事が、母に教わった事実として生まれた。
幾度かそんなことがあり、俺の周りには誰もいなくなった。親でさえ気味悪がって、俺が四歳の時、施設へ預けそのまま一度も会っていない。
施設でもいつも一人。施設の大人がひきつった笑顔で話しかけてくるくらいだった。
別に寂しくも、悲しくもなかった。逆に嘘を吐かれないのが嬉しかったし、嘘を吐かれていないのはその嘘が解ることはないと言うことだから楽だった。
そのまま小学校、中学高と上がって、「俺だって普通に生活してみたかった。こんな能力なければよかったのに。」そう思うことも増え、その思いも次第に強くなっていった。
"あの人"に会うまでは…




