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優しい脅迫

俺は今4大公爵の一角『マンモン家』の当主ギルファード・ゴールド・マンモンの屋敷へ侵入した。


「邪魔するぞ」


「誰じゃ!!このワシにそんな無礼な態度を取るのは!!お主は解雇じゃ……な、何故ダクラス家の者がここに」


目には酷く狼狽と混乱を浮かべて醜く肥え太り黒く高級な服に身を包んで指には大きな宝石が付いた指輪を装着した成金趣味の豚だ。


「お前には帝国との銃や麻薬の密輸、騎士団との癒着、奴隷購入により間違いなく逮捕確定だ、もう証拠も揃っている」


奴の机の前にあれから更に調べスノアや俺が回収した証拠をばら撒いた。


「何だと!!ワシの隠蔽工作をどうやって!?」


奴がドンと激しく机を叩く。


「確かにお前の隠蔽工作は目を見張る物があったが、相手が悪かった」


「クソが!!貴様、この事はもう話したのか……」


「少し話したい事があってな、まだ言っていない」


「くっくっく、なら好都合!貴様をここで殺せば解決じゃ!!あれを殺せ!!」


突然、俺の背後に何者かの底冷えする凍ったの気配を感じる。


「中々だな」


次の瞬間、無音の袈裟。俺は前に飛び出て空中で反転し後ろを向く。目に映ったのは黒いフードを被った男だった。


「そいつは帝国から貰った用心棒だ、そのおかげでワシに歯向かってきた奴は全て殺した!!いくら国の番犬といえど、どうしようもあるまい!!」


奴が声高らかにそう宣言する。


(知ってるよ、帝国の暗殺者組織〈ムクロ〉だろ。此奴(こいつ)らはナイフと銃、ワイヤーが主な手口、この雰囲気は恐らくギリ幹部に届かないくらいか)


「まさかこんなコソ泥みたいな奴に俺が負けると思っているのか?」


俺が煽りを入れると


「戯け!そいつは暗殺者組織〈ムクロ〉の暗殺者じゃ!!お前でもどうしようもない!!」


即座に否定が入る。


(よっぽど信用してるんだろうな。だからこそ無惨にやられた時、交渉が楽になる)


俺はニヤッと口角を上げて悪魔のように笑う。


「ふむ、ならハンデだ。俺は魔法や魔力強化を使わずに戦ってやろう、さすればマシな戦いになろう」


流石に頭に来たのか暗殺者が口を開く。


「私は帝国でも〈死影〉と恐れられ次期幹部とも呼ばれている、あまり舐めない方がいいぞ」


「自尊心《プライド》を傷つけてしまったか、これは申し訳ない……だがこうでもしないと差が埋まらんものでな、許してくれ」


俺が『謝罪を装った煽り』で殴る(ストレート)、すると奴は声に少し怒気が篭りいきなり早撃をしてくる。


「よっと」


「舐めた口を聞くだけはあるが、これはどうする」


もう奴はすでに俺の懐中に侵入し濡れたナイフを高速で3段突きをするが


「全く問題ない」


(頭、心臓、鳩尾)


その全てを外していく。


「どうした?全く当たっていないが」


至近距離からの銃撃とナイフのコンビネーションを当たり前のように外していく。


(何なのだこの男は!!全く当たらない!!)


奴の顔に焦りが見えてくる。


(そろそろテンポを変えてくるかな?)


俺の予想した通り奴がバックステップを踏み銃撃して闇に溶けた。


「ほう、貴様の固有か」


そして俺の影が少し蠢いたかと思ったその瞬間、影から奴が飛び出て今までで一番早い閃光のよう突きを繰り出す。


(今までのナイフの速度はブラフ、いきなり全力を見せるものか!!認識出来ないまま死んでいけ!!)


――勝った。


暗殺者は勝利を確信した刹那、俺の眉間にナイフが閃光の速度で吸い付くその寸前で俺はナイフを人差し指と中指で挟んで止める。


「は??」


奴が押し込むも巨岩のようにビクともしない


「指は鍛えている」


ならばと急いで首に高強度のワイヤー、ケプラー糸を首に巻き付けようとするが


「何だ、その糸」


俺は普通に引きちぎり奴の目に向かって糸を投げつける。


ピシッ


「あがぁーーっあ!!!!!」


奴の目が潰れ視界が無くなったその隙に、俺は奴から数えて把握していた残弾1発の銃をゆっくりと照準を股に合わせて発砲。奴の股が赤い血液で染まる。


「アギィィイーー」


「その歳でお漏らしか、大変だな」


そして俺はマンモンに向き直る。


「ひっ!ひーーー!!化け物!!誰か誰かーー!!」


あらかじめ防音結界を展開している、どんだけ騒ごうとも誰も来ない。


「喧嘩売る相手、間違えたな」


ジリジリと奴が後退して壁に当たる。


「あっ……」


「帝国関連の情報、洗いざらい吐いてもらうぞ」


「か、金なら払うから見逃してくれ!」


(醜いな)


「俺は国の番犬だ、何の価値もない命乞いに乗ると思ったのか?もう一度チャンスをやる、《《早く》》持ってこい」


俺が目を大きく見開きドス効かせて言うと、奴は顔を真っ青にして腰を抜かしながらも机や本棚から証拠を取り出しそれを奪いそれに目を通す。


(あった、これだな。帝国との密使とのやり取りの場所は港町の廃倉庫か、探してみよう)


「クーデターはするなよ、したら無限の苦しみを与えて殺す。クーデターが終わったらお前を騎士団に突き出してやるから大人しく待っておけ」


奴は顔が真っ白になりながらも首を縦にブンブンと振った。


(これで第3章の布石をゲット出来た、第2章も本格的に始まる。忙しくなるな)


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