エキストラマッチ
エフィドが魔力を解放して疾風のように駆け出す。
(学院長は魔法使い、なら近接で攻める)
(学院長は魔法使いである以上やはり接近戦は弱い、エフィドの勝ち筋は接近のみだろう……彼女は一言も接近戦が出来ないとは言ってないが……)
一瞬で距離を詰めて袈裟を落とすが、その刃が学院長を斬ることはなかった。
「なっ!」
何と分厚い氷の壁が彼女の横を守るように傾いていてそれによって防がれる。
「私の〈氷結障壁〉に傷を付けたこと、誇っていいよ」
よく見ると氷の壁に少し剣が減り込んでいる
(あの氷の障壁は鋼鉄を遥かに凌ぐ強度がある。具体的には砲弾を喰らっても傷つかないくらはあるな。だがそれに傷をつけれるとは、流石主人公)
それと同時、彼女の頭上に激しく燃え盛る紅蓮の豪槍が5つ展開されてエフィドに向かって発射される。
「嘘……」
(こんな大魔法をこの速度で5つも……)
(これは凄いな、俺もまだそこまでは出来ない。学びになる)
即座に魔力を固め〈障壁〉を展開するも、湯葉のように貫かれる。
必死に躱そうとするも1本が彼の肩を貫通して炎上する。
「ぐぅぅぅっ!」
(炎に気を取られすぎだ、次が来るぞ)
エフィドは急いで水魔法で消火するも、そこに天をも焼き焦がす豪雷が降り注ぐ。
「なっ!」
(肩の火傷ではすぐには死なん。なら炎を無視して彼女の次の手を見ておくべきだった)
エフィドの超人的な速度で外していくも全て外しはきれず被弾する。
「がぁーーっ!」
そしてその隙に風の斬撃が飛来し、それが彼の脇腹を切断する。
「がはっ!」
(ほう……この攻撃だけやたら反応がよかった。おそらくはフーラとの戦いによって風魔法へ少し適応したか)
怒涛の攻撃を前に彼が膝をつく。
「どうする?降参してもいいよ」
(決まっているだろう)
「こんな楽しいお祭り、降りませんよ!」
エフィドが獰猛な笑みを浮かべ更に上がった速度で地面を蹴る。
「熱い男の子は好きだよ」
「大天使の裁剣」
(魔法の構築速度、治癒魔法の精度や速度が格段に上がった。流石だ、更に伸びるか)
「無駄ね」
瞬きの間に迎撃の豪炎槍六本が、彼を襲う。
「それはさっき見たぁーー!」
「あら」
だがエフィドは正確にその槍を剣で4本薙ぎ払う。払えなかった2本は躱しながら前に出て、懐に侵入する。
(学院長の攻撃を一度見て対応するとは、知っていてもイかれてるな)
俺がエフィドの成長に感心している時、エフィドが剣を振り下ろす。
「はぁーー!」
(発動直後の隙、貰った!! )
ガキン!
刃が止まった。
「なっ!学院長まさか」
「私も剣は出来る方んだよ、驚いたかい?」
豪炎の剣がエフィドの腹を薙ぎにかかるが、彼はそれを後ろに下がって躱そうとする。
だがしかし何と刀身が伸びる。
「えっ!」
「相手の持つ者は何でも信じてはダメだよ」
急いで剣を滑り込ませ何とか受けるも体勢が大きく崩れる、しかも彼の足を何かが貫く。
「ぐっ!」
(これは……氷の棘!)
それに意識が取られたその一瞬の隙に学院長が距離を取る。すると地面に大きな影が写り込む。
(何だ?)
(何度見てもこれはエグいな)
何と上から隕石のような巨大な石がエフィドを押し潰そうとしている。
「あっ……」
(これどうしよう……)
ズドーーーン!!
辺りに重音が響き渡って、地面が陥没し砂埃が舞い上がる。
「これで終わりかな」
学院長がそう言うまでもなく全員があれは終わったと確信する程の規格外の攻撃だった……が、エフィドもまた規格外である事を忘れてはならない。
大きな岩が音を立てて崩れ、そこからエフィドが落雷のような速度で踏み込む。しかも
「大天使の裁剣」
エフィドは大天使の裁剣を3本展開して飛ばす。
(真似たか……)
「パクったね」
学院長が迎撃の豪炎槍6本を飛ばしす。
(3本相殺して残り3本で彼の足止めをするという判断は別に変ではない。だがあいつは特別なんだよ)
原作通り学院長の豪炎槍を全て無抵抗でぶち抜く。それに学院長は目を見開くが
「概念系の魔法を物質系の魔法に付与してしまうと概念系の魔法には効果が無くなってしまう。別にした方がよかったね、じゃないとこうなるよ」
意表を突いても彼女は魔導士の頂点、すぐに転移魔法で聖なる輝きを放つ剣を転移させ彼の目の前に降らす。
(これが魔導士最強シャル・ウィッチ・イヴザード、意表を突かれた攻撃の最適解を瞬時に見つけ攻防一体を実現するとは……)
「気合いだぁーー! 」
だが何と彼が超反応を見せる。魔法を解除し一切の減速なく突き進む。
(発動した魔法解除にはかなり高度な技術が必要だが、この戦いで学院長の魔法操作技術を見て上達したか)
学院長と至近距離の戦いになろうとするが
「近づかさせないよ」
何と彼女の周りの地面が濡れている。
「うおっ!」
足元の摩擦が一気にゼロになりエフィドが転倒しかけるが
「はっ!」
だがエフィドは地面に剣を突き刺して宙で一回転しその勢いで蹴りを放つ。
「ひゃ!」
それは学院長の意表を突き回避が、ギリギリになる。
そこに体を捻り剣で横薙ぎを飛ばす。だが
「間に合うよ」
足元に小規模の爆発を起こし、爆風のようなバックステップで距離を取ろうとする。……でも
「『相手の武器は信用するな』でしたよね」
エフィドの剣が伸びる。
「嘘!」
「貰った!! 」
彼の人生の中で一番速く精度も完璧な剣閃が奔る。
そして彼女が地面に足をつけた時彼女の服が破れる音が鳴り軽傷だが腹に紅の一閃が奔った。
「……驚いた、私の負けだね」
学院長が柔らかく微笑む。
「嘘……、本当に当たるなんて……」
一拍間を置いて会場のボルテージが急激に上がる。
「「「うぉぉぉーーぉ!!」」」
「凄えよ,あいつ学院長に一撃入れたぞ!」
「学院長の協奏曲のような絶え間ない魔法を乗り切り一撃入れるとはな…」
「何であの化け物に攻撃当てれんだよ…」
「カッコいいのに強いなんて…今のうちに近づこうかしら」
(原作通りの成長具合、第1章は無事成功したと言っていいだろう)
「おめでとう、まさか私が本当に一太刀入れられるとは思ってもなかったよ」
「ええ……、僕も未だ実感ないです」
「何と言う事でしょう、エフィドさんがまたの大番狂わせを起こし学院長から一本取りましたーー!皆さん今一度大きな拍手を!!」
割れんばかりの大きな拍手が鳴り響く。
「ではこれにて今年の剣魔祭を終了とします!」
実況により閉会が宣言され大盛り上がりを見せた剣魔祭が幕を下ろした。
ーーー
「概念系の魔法を物質系の魔法に付与してしまうと概念系の魔法には効果が無くなってしまう」
例外はあります、具体例で言うと剣に付与された概念系魔法を破壊するために自分も概念系魔法を剣などに付与してそれで剣を斬りつけ相殺する等があります。




