第69話 行けない?
水車や脱穀機などなどがこの世界にあったことにショックを受けたけど、まあ、便利な道具はあればあるほど良いし。ナイジェル様もそのうち脱穀・精米・製粉機を作ってくださるとのことだから、そちらはオーケーということで!
改めて、お米様を探すわよーって。
気合いは、十分すぎるほどあったんだけど……
ファルギエール王国、マラブル国、プールナール国、ラバス国、ルニエ国、アンクタン国と、国土を全部見て回ったわけじゃないけど……、王都や主要都市の市場、大きな農場なんかは見て回ったのに……ない。
お米様がない。
ないの。
見当たらない。
水田もないし、それらしい穀物もない。
サラダやスープの具材として使ったりして食ベることができるワイルドライスとか。
ビリヤニやピラフやカレーなんかで使われる細長いバスマティ米とか。
日本のお米様とは違うけど、でもコメですよ……みたいなのもない。
デヴォーン王国から東側は、あわ・ひえ・きび・小豆、黒豆、雑穀なんかはふつーにあるのに……。
米がない。
どゆこと?
「こうなったら聞き込みよ!」
聞いて、聞いて、聞きまくって。
ようやくアンクタン国でお米様の存在を知っている商人さんに出会ったのよ!
「ああ。極東国という国ではコーメという白い穀物をタークとやらをして食べると聞いたことはある」
「極東国には米がある!」
ひゃっほーい!
ある!
だったら極東国まで行くわ!
だけど、商人さんは浮かない顔。
「あー……。なんていうか……。極東国は普通の人間には行けないらしいぞ」
「へ?」
「まあ、東の船着き場に行ってみな」
首を傾げながら、それでもアンクタン国の東側の船着き場に行ってみた。
「うわー! 海!」
青い空の下、洋々たる大海が広がっていた。
大きくうねる波、白い波頭。
その波の先に見えるのは水平線。
そう、水平線。
島なんかまるで見えない。何にもない。ただひろーい海だけが広がっている。
「えーと……。かなーり沖のほうに行かないと、極東国はない、とか?」
日本で太平洋見ても、ハワイは見えないとか、そういうレベルの遠い距離?
それで行けないって、さっき、あの商人さんが言ったのかなあ……?
「ペガサスで飛んでみますか?」
「ううーん……」
仮に日本からハワイまでの距離とかだったら、ペガサスで飛ぶのも厳しいでしょう。
だって、途中休めるところ、ないし。
「とりあえず、周辺の住民の皆さん、船着場の皆さんに聞き込みを……」
さっきの商人さんが「まあ、東の船着き場に行ってみな」って言っていたから、何かはあると思うのよね……。
で、船着場付近にいる人たちの何人かに聞いてみたら。
「そこの石碑、読めるかい?」
「へ? 石碑?」
あー……、確かになんて言うのか御影石みたいな……っていうか、ぶっちゃけ日本のお墓の石みたいな、長方形の石が鎮座しておりましたわ……。
「そう。ほら、そこに極東国への行き方が書いてある」
「へ?」




