↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
色なし魔法士は今日もご機嫌  作者: 橘中の楽
色なし魔法士は飛び級したい
34/103

2の十三 ミシェーラの怒り

長期休暇の思い出話、数々のお土産のやりとりーーー新学期を迎えた九月の魔法学園は朝から生徒たちの喧騒で満ちていた。


授業前の最後の鐘がなる直前、一つの魔法プレートが一年生の教室の…何故か窓際につけられた。

一瞬にしてシン、と静まり返った教室。

魔法プレートは高く飛ぶのに、魔力を食うため、普通は四階にある一年生の教室で魔法プレートを見ることなどない。


ライラは、レイモンドと一緒に登校してきた。

レイモンドがパーシヴァルの元に寄ってから登校すると言ったため、行動を共にしていたライラも、こんなギリギリの時間になっていた。

突然現れ、親密そうにバイバイと手を振るライラとレイモンドの二人に、一年生たちの注目が集まる。

そして、ライラの首元に光る装飾品を見て一部の生徒からは悲鳴が上がった。


ライラは、だから嫌だったんですよ、とレイモンドに文句を言いながらも、送ってくれたレイモンドにお礼を言っていた。周囲の喧騒などまるで気にしていない様子はさすがだった。伊達に普段から騒がれていない。


レイモンドはパーシヴァルと合わせて二人分の休学届を出しに行くそうだ。

窓際に立ち何処かへと消えていった緑の頭を見送っていたライラはーーーミシェーラとデニスに空き教室へと連行された。


「おはよう、二人とも授業は…。」


「一限の魔法史は自習になった。だから、ミシェーラちゃんと、ちょうどいいって話してたんだ。」


ーーーちょうどいいとはどういうことだろう?


ライラは首を傾げつつ、黙って二人に連れ去られた。

うっすらデニスが怒っているのを察したからだ。

ミシェーラは昨日も話したからだろう。ただ単に面白がっているように見えた。


「ライラって、報告とか苦手そうだよね。勝手に決めて怒られてそう。」


フェルの発言にーーーデニスが大きく頷いていて、ライラはアレっとなった。

ライラとしては、きちんとデニスにはまめに連絡しているつもりでいたからだ。


送られてきたデニスの方からするとーーー毎日更新される怒涛の出来事。

そして、質問を送ってもライラからの返信はほぼなく、また新たな知らせが来る。

ミシェーラはたまに通話で話していたため、まだ事態を把握できていたのだが、デニスは彼自身が忙しかったこともあり、テキストメールでのやりとりしかしていなかった。


デニスがサッと机を動かして三人分の椅子を用意した。


ライラ一人に二人が向き合う形だ。


「デニス、なんかガッチリした?」


ライラの疑問にデニスが頷く。

なんと、身長が一月で五リュウも伸びたらしい。

兄たちについて魔獣狩りをしていたという報告を受けていたがーーーなんだか、一月でだいぶ大人びたデニスにライラは感心していた。


「デニスは頑張り屋だねぇ。」


のほほんとそんなことを言うライラにーーーデニスは大きくため息をついた。

ミシェーラも処置なしと言わんばかりに首を振っている。


三人はしばし見つめあった。誰から話そうか、視線を交わし合う。

ミシェーラがハイッと手をあげる。

どうぞ、ミシェーラさん、と言ったライラ。

ミシェーラは赤い瞳を輝かせている。


「ーーーシャーマナイトのチョーカーを手に入れた経緯について、詳しく、省略なしで、教えて!」


ワクワク、といった様子のミシェーラとは対照的に、デニスは渋い顔だ。

ライラはいまだにつけていることに慣れないチョーカーへと手をやりーーー首を傾げた。


「それが、わたしにもよくわからないんだよね。ーーーなんかさ…」


そう言って、まさにライラがパーシヴァルの部屋で行ったのと同じような説明を二人にもする。


案の定というべきか、二人も理解できなかったようだ。

話している本人がわかっていないのだから当然ともいえる。


ロマンスのような恋愛話を期待していたせいか、つまらなそうな表情を隠すこともなくミシェーラが言った。


「ライラの口から聞くとーーー合理的なのかしら?なんで突然、心変わりしたのかがいまいちよくわからないけど。それにしても、チョーカーってものすごく隠しにくいから厄介ね。ライラ、嫉妬されまくるわよ。」


ミシェーラが言いたいのは、彼女が持っているようなネックレスなら、そうとわからず身に付けられる、という話だ。チョーカーは首元にあそびがなく、ストールなどを巻いても見えてしまう。隠すことは非常に難しかった。

ちなみに、王族から与えられたネームジュエリーは正しい場所に肌身離さず身につけるのが慣習だ。

他国の誘拐から始まったとも言われるネームジュエリーの起源を考えれば当然だろう。


嫉妬という言葉に、ライラはゲンナリとした顔になった。

嫌がらせが加速する未来が見えたからだろう。


しかし、解決策があるわけでもなくーーー次に、デニスが口を開いた。


「聞きたいことは色々とあるけどーーーまず、二人とも来年いっぱいでの卒業目指すって本当?」


「そうだよ?メッセージにも書いたよね?」


「ああ、ほんとに簡潔にしか書かれてなかったけどな。」


デニスは衝撃を受けたのだ。

その日の連絡は、ジョシュアとライラがともに机に向き合っている写真だったので、その時点で驚いた。

ライラがジョシュアのファンなのは知っていたが、いつの間にかちゃっかり勉強を教えてもらう仲になっていることに、デニスは非常にショックを受けた。


ーーーまあ、それに関しては彼の勘違いなのだが、誰も訂正する人がいなかった。あえて言うのであれば、デニスのメッセージに返信しないライラが悪いのだろう。


加えて、「王族の方からのご指示で飛び級することになったよー、来年度での卒業目指せって。秋学期から地獄かも。」という端的な文。

慌ててミシェーラに確認し、事の全容を把握したのだ。


ライラの口から説明しろとーーーデニスは険しい顔だ。

ライラは知らないが、デニスは来年以降のライラをサポートできるように準備を進めていた。

彼が勝手にやっていることなのだが、知らぬ間に決まった飛び級の話に、裏切られたかのように感じたのだろう。

険しい表情のデニスだが、一方のライラは、ああ、そのことか。などと言っている。


「私も話したかった。デニスは一緒に飛び級してくれる?」


直接確認したかったんだよねーなどと笑うライラに、デニスは固まっていた。

自分も飛び級することは考えていなかったらしい。

ミシェーラはいつの間に移動したのか、ライラの腕の中に収まった状態でーーー呆れ顔になっている。


「ライラって、タチ悪いわよね。」


「んー?どういうこと?」


「自覚ないの?ーーーまあ、目の前にいるデニスから聞いた方がいいと思うわ。」


ミシェーラの発言に笑みを深めたライラは()()()やっている。

ライラはわかっていたのだ。三年半分を一年半で終わらせることの大変さを。

色なしというハンデを抱えるライラは、文字通りなりふりかまっていられない状況だった。

だから、今まで遠ざけていたデニスに全力で頼ることにしたのだ。


もっと言うと、彼が自分に惚れていることも全力で利用するつもりだった。


デニスには一緒に飛び級してもらいたい。

授業で彼とペアを組めればかなり楽ができるとわかっていたからだ。

何より、黒竜の儀の準備を任されており、今まで以上に休みがちになるらしいミシェーラがいなくなれば、ライラはひとりぼっちだ。

上級生に囲まれて一人で過ごすのは絶対に嫌だった。


ライラがじーっとデニスを見つめているとーーー固まっていたデニスがようやく動き出した。


そして、戸惑いがちに言う。


「ライラは、俺に一緒に飛び級してほしいのか?」


「うん、飛び級だけじゃなくて、できれば全部同じクラスをとって、手取り足取り教えてほしいと思ってる。ーーーダメかな?」


普段は素っ気ないライラからの初めてのお願いにーーーデニスは黙って頷くことしかできなかった。


デニスならそう言ってくれると思ったよーと笑うライラ。

そして、片手で顔を覆って俯いてしまったデニス。

耳が赤いからその手意味ないわよ、とは流石のミシェーラも言わなかった。

デニスってこんなにチョロかったっけ?とは思っていたが。



「うーん、思った以上に受けなきゃいけない科目が多そう。」


ライラとミシェーラ、デニスの三人は放課後、学園の教師を順に訪ねて回っていた。

飛び級の相談に行くためだ。

そして、一通りの話を聞き終わり、今は食堂にいた。


「二人はまだいいじゃん。王族の方々の力で受ける科目半分以下になってるんだし。俺は普通に全教科授業出なきゃいけないんだぞ?」


気合入れたはいいけど、俺には無理かもとうなだれるデニス。

そんな彼の真っ赤な頭をミシェーラが叩いた。

スパーンという音がして、デニスがいてーよ!と文句を言っている。


しかし、ミシェーラはデニスが睨むも全くこたえた様子がなくーーーどこか呆れた顔になっている。


デニスはそんな顔をされる意味がわからなかったのだろう。

不可解そうに眉を寄せた。


「デニス、なんのためにブライヤーズ家に生まれたのよ?飛び級するためでしょ?」


ミシェーラの暴論にライラが吹き出す。


「ーーーそれは違うぞ!?…でも、実家に頼むしかないっていうのはミシェーラちゃんの言う通りか。今日連絡してみるわ。」


早速、魔力通話を取り出したデニス。今ここで連絡するつもりのようだ。

そんなデニスを見て。ミシェーラが満足そうに頷いた。

ニコッと笑って付け加える。


「そうしなさいよ。最愛の人を守るために、最年少での騎士団長を目指すことにしましたー、中等部行ってる場合じゃありません、って言えば楽勝だと思うわ。」


ミシェーラの発言にデニスがギョッとした顔になってライラを見た。


しかし、ライラは会話に興味を示すことなく笑顔なミシェーラに見とれている。

大概、ライラもミシェーラのファンなのだった。

ライラの反応を喜んでいいのかわからないデニスは、首を振った後、ミシェーラに向き直った。彼女は全力で笑顔のままだった。


「さらっと恥ずかしいこと言うな。でも、騎士団長か…ミシェーラちゃん、ぶっちゃけ俺って黒竜の儀に参加できる見込みあるの?」


デニスの真紅の瞳がミシェーラを見つめる。

しかし、ミシェーラはその質問に答える気がないのか、さらに口元を上げ、ふふふと笑っただけで、何も言わない。


睨み合っているようにも見える二人に口を挟んだのは、先ほどからミシェーラしか見ていなかったライラだった。

会話の内容を聞いていたのかとデニスは苦笑いだ。


「黒竜の儀って、二年後に決行なんでしょう?今、十三歳のデニスはーーー十五歳になってる訳だけど、そんなに若くして騎士団長になることなんてできるの?」


ライラの疑問に、二人は首を振った。


「ブライヤーズ家の三代前の当主が、最年少で騎士団長になったんだけど、二十歳だったはず。ーーーいくら優秀でも、経験もない十五の子供に騎士団長を任せる訳ないだろうな。」


「じゃあ、さっきの話は?」


ライラの疑問に答えたのはミシェーラだった。


「通常時なら、子供の戯言として流されるでしょうね。でも、今は千年に一度の黒竜の儀の時期。場合によっては、十五歳のデニスでも、黒竜の儀に同行できるかもしれないわよ。例えばーーーわたしが護衛に指名するとか。」


ばっとデニスが立ち上がった。

しかし、次のミシェーラの言葉で再びうなだれることになる。


「ーーーまあ、指名しないけどね。いくらなんでも、わたしと同い年の子供じゃあ、お父様が納得しないだろうし。」


「…ミシェーラ、上げて落とすね。」


「わたしみたいな可愛い子に弄ばれるならデニスも幸せでしょう?」


ふふふ、といたずらっぽく笑ったミシェーラを見て、近くにいた生徒が頬を染めていた。

ライラが、説得力しかないなと内心で頷く。


「今日のミシェーラは女王様モードなんだね。どんなミシェーラもわたしは好きだよ。」


「ーーーなんてやつだ。人の純情を弄びやがって!」


のほほんと笑ったライラとは対照的に、デニスは渋い顔だ。

ミシェーラはそんな二人の反応を見て、愉快そうにしている。


「まあ、護衛の話は冗談だとしてもーーー十八歳で騎士団長になりたいから、経験として黒竜の儀参加騎士を目指しますって言うのはアリなんじゃない?たぶん参加できないけどね。」


ミシェーラの追い討ちに、デニスはますますうなだれていたがーーーすくっと立ち上がり、どこかへ歩き出した。


ライラはどこへ行くのか訪ねたが、ひらひらと手を振られただけだった。


「デニスって十三歳っぽく見えないよね?見た目だけならすでに十六歳くらいに見えそう。」


変なの、と首を傾げるライラ。

そんなライラを見て、ミシェーラが吹き出した。


「誰のせいだと思ってるのよーーーまあ、いいわ。デニスはなんだかんだハイスペックだから、この無茶苦茶な日程の飛び級もできちゃうと思う。それは私も同じなの。小さい頃から、黒竜の儀の出発がいつになってもいいように、学校での内容は履修済みだから。」


ミシェーラの子の発言に、ライラは固まった。

だって、それはまるでーーー


「ミシェーラはこのガクエンってところで習う分、全部もうやってるってこと?ーーーすごいね!課題こなすだけでヒーヒー言ってたライラとは大違いじゃん。」


わーっ!という称賛の声と共に、一瞬輝いたフェル。


「フェル…今日は静かだと思ったのに…。」


ライラはフェルを睨んだが、チロチロと舌を出されただけだった。


それにしても、ミシェーラがすでに中等部はおろか、高等部の学習内容まで済ませているのは、ライラにとって大誤算すぎた。


「もしや、ミシェーラって天才?」


「うーん、どうなのかしら?でも、うちの家計は商家を継ぐか、医者になるか、政治家になるかの三択って聞くからーーー血筋的に頭はいい方なのかしら?勉強がわからないと思ったことはないわね。」


ミシェーラの発言の内容はとんでもないのだがーーー不思議と全く嫌味には聞こえず、ライラはそんな気がしたよ、と言って頭を抱えた。


ーーー授業に出てなくても成績上位者な時点で只者じゃないとは思ってたけど、まさかここまでとは。


「ーーーミシェーラは可愛くて、頭も良くて、能力にも恵まれた最高のフィメルだった…。」


「ーーー?褒め言葉ありがとう?」


こてんと首を傾げると、彼女のツインテールが一緒になってふわふわと動く。

文句なし、可愛い、と内心で讃えながらライラはミシェーラを撫でた。


「それにしても、あの、フレーザーって教師、王族とライラへの敵対心が凄かったね。ーーーライラ、あの人間に何かしたの?」


ライラは不思議そうなフェルに、から笑いを返すしかなかった。

そう、授業免除されなかった残りの科目のほとんどが実技なのだが…フレイザーだけは、王族の命令を拒否し、ライラとミシェーラに座学を含めた全授業への出席を求めてきた。


「は?俺、理屈の通らない命令されるのほんと無理なんだよ。なんで、学園に通ってるような子供にこの国の将来を預けようとするの?必要なら、短期間にして、子供の学園生活には支障がないようにしろよな。これだから王族は。ーーーそういうことだから、俺の授業は免除しない。休みの時期の補講とかも絶対やらないから。」


ライラは、普段から魔法陣の質問に行っていたため、フレイザーのこの態度にも慣れていた。

なんとなくこうなる気がしてたわ、と思いながらデニスと目配せして退室しようとしたのだがーーーミシェーラが待ったをかけた。


「フレイザー先生、そこをなんとか考え直していただけませんか?うちの家庭教師にライラのことも見てもらいますからーーー」


しかし、ミシェーラのこの発言が不味かったらしい。

フレイザーの眉間のシワがさらに深くなるのを見て、さらに事態が悪化する気配に、ライラはため息をついてしまった。


「あのね、筆記試験も含め、ほぼ満点を取れるようなビリンガム商会のご令嬢とそこにいる色なしを同じ物差しで計ったらだめなの。君、頭いいよね?だから気付いてないのかもしれないけど、一般生徒にはこの八年間かけた教育制度が一番合理的だとされてるから、今の教育制度があるの。普通の生徒にはゆっくり焦らずに学園生活を送るべきだと俺は思うね。ーーー特に、ライラックなんて、実技は今でもギリギリだ。急ぐ意味なんて微塵も感じないけど。」


さらに言い募ろうとしたミシェーラを、デニスに頼んで、文字通り抱えて連れ去ってきた。


デニスはミシェーラとフレイザーの勢いに若干引いていた。

ライラはため息しかつけなかった。


ミシェーラはフェルの言葉で先ほどのフレイザーの態度を思い出したのだろう。

眉毛を釣り上げて怒った表情になった。


「ライラから聞いてはいたけど、直接話すとフレイザー先生は王族への不敬がすぎるわね。わたしの実家のことも馬鹿にしてきたし、なんなのかしら。」


ミシェーラの言葉にライラは確かに、と相槌を打った。

その間には、ミシェーラの眉間に手を伸ばし、サスサスとこすっている。

ミシェーラが仏頂面をやめ、笑い顔になった。


「ーーーふふふ、くすぐったいよ、ライラ。」


「今日のミシェーラは怒ってばっかだよ。わたしはミシェーラが笑ってくれればいいんだって。いつも言ってるでしょう?」


このタイミングで、デニスが戻ってきた。

またいちゃついてるし、などと言っている。


「ーーーなんの話してたの?」


「フレイザー先生の話。ーーーなまじ正論だからムカつくのよね。…しかも、あの先生の担当している教科すごく多いじゃない。」


そう、卒業までにライラたちはあと七十単位必要なのだが、十単位分がフレイザーの担当だった。教師の人数が少ないせいもあるが、彼の担当している教科数の多さにライラは驚いたものだ。


「あー。フレイザー先生って口が悪いけど、ものすごく優秀らしいよな。」


デニスの発言にライラも頷く。

そんな話は図書館棟のシャロンも言っていたはずだ。


「優秀だからこそ、上からの命令に不満に思うことも多いのかしら。ーーーともかく、アルフ先生の実技は動かせないだろうから、座学の他の先生と交渉して、通常学期中にはフレイザー先生の授業を中心に、冬休暇と春休暇には他の先生の補講を受けるようにしましょう。どっちにしろ全教科試験は受けなきゃいけないしーーーライラとデニスは遊んでる暇ないかもね?」


「そうは言ってるけど、ミシェーラちゃんもシャーマナイト様とエゲート様を手伝って、黒竜の儀の準備するんだろ?父様が先読みの占い師様はお若いのにすごい方だって言ってたぞ?」


シャーマナイト様、エゲート様と言うのはジョシュアとパーシヴァルのことだ。なぜかライラはファーストネームで呼んでいるが、一般的には、黒い宝石の名を持つ王族は、ジュエリーネームで呼ばれることが多い。


ライラもミシェーラが忙しくなると言うのは聞いていた。

学園の授業の心配がなくても、ミシェーラは彼女なりに大変そうである。


二人の視線を受けたミシェーラはーーー少し遠い目になった。何かを思い出しているらしい。

あの人たち、結構人使い荒いのよね…とため息をついたミシェーラを、ライラはデニスと二人で慰めたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。