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【第四部】忘れじのデウス・エクス・マキナ 〜外れ職業【ゴミ漁り】と外れスキル【ゴミ拾い】のせいで追放された名門貴族の少年、古代超文明のアーティファクト(ゴミ)を拾い最強の存在へと覚醒する〜  作者: アパッチ
第九章:グランティアーゼの落涙

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第308話:降臨


「フレイムヘイズ卿……何故……余を……!?」


「せっかく私が築いた“騎士”の国、その“矜持”を捨て去るとは愚かな……! その愚行、身を以って償うが良い、ヴィンセントよ!!」


「貴様……グッ、アァアアアアアア!?」



 大勢の騎士たちが見つめる中、ヴィンセント=エトワール=グランティアーゼへの“粛清”は執行された。


 教皇ヴェーダに“アグニ”と呼ばれたフレイムヘイズ卿は灼熱の剣で陛下を背後から突き刺し、断末魔と共にグランティアーゼ王国の王は灰となって消滅した。


 信を置いていた腹心であるフレイムヘイズ卿の唐突な裏切り行為。それに反応できなかったヴィンセント陛下は遺言を残す間も無く殺されてしまった。



「お父……様……? そんな……嘘よ……あぁ……いや……いやぁ……いやぁあああああ!?」


「フ、フレイムヘイズ卿……どうして……!?」


「全員、フレイムヘイズを警戒しろ! あいつは教皇ヴェーダの手先だ!! 私がラムダとノアの盾になる! ネザーランド、今すぐに脱出経路を絞り込め! このままだと私たちは全滅だ!!」


「分かっています、アンジュさん!」



 目の前で父親を惨殺されたレティシアの悲痛な叫びが響き渡る中、アンジュの掛け声と共に全員がフレイムヘイズ卿に向けて刃を構えた。


 理由は簡単だ――――彼女はヴィンセント陛下への忠誠よりも、教皇ヴェーダの命令オーダーを優先したからだ。それも、教皇を“お母様”と呼びながら。明らかに彼女は()()()()()()()()()。もっと大きな組織に属している。



「なぁに、あの出来損ないの機械天使ティタノマキナは? 自機あたしたち【大天使アーク・エンジェル】への当て付けなワケ? 本気マジでウザ〜い♡」



 そして、それを裏付けるように王城に響いたのは高飛車な少女の、それでいて何処か無機質な声。


 その声が響いたのと同時に機械天使ティタノマキナ達の遥か頭上に複数の光の輪っかが出現し始め、輪っかの中央から()()()()()()()()()()()光が輝き始めるのだった。


 徐々に輝きを増していく光の輪。それを見て顔色を変えたのはジブリールとルシファー、そしてノアだった。つまり、あの光は古代文明に由来する物である事は明白だった。



「さっさと死んじゃえ、量産型ザ〜コ♡ 次元転送光輪【天使の輪(エンジェル・ハイロゥ)】起動……衛星軌道兵器【断罪剣(モンサンミッシェル)】に次元連結……照準、量産型“機械天使ティタノマキナ”に固定セット――――発射ぁ♡」



 そして、小生意気そうな口調と共に引き金が引かれたのか、頭上の光輪よりまばゆい閃光が一気に降り注ぎ、二十機いた筈の機械天使ティタノマキナたちはあっという間に消滅してしまった。


 その場にいた誰もが驚愕したのは言うまでも無い。


 量産型とは言え相手は機械天使ティタノマキナ、俺でも一体倒すのに手こずった相手だ。それが瞬きの間に二十機全滅した。特に【快楽園メル・モル】で実際に機械天使ティタノマキナを目撃したオリビアたちはあまりの衝撃に放心状態になっていた。


 無論、俺自身もだ。



「キャッハハハハ♪ ハイ、雑魚ザコ消滅ぅ〜♪ 中途半端に改造カスタム喰らった粗悪品が『機械天使ティタノマキナ』を名乗るから駄目なのよ、だ~め♡」



 そんな俺たちを尻目に、空間を割くような光の輪を通じて現れたのは三機の機械天使たち。



「さぁ~て……起動、起動、起動ぅ♪ 対国制圧用人型戦闘兵器【機械天使ティタノマキナ】、タイプ“α(アルファ)”【神に似た者(ミカエル)】――――起動開始ぃ♪」



 白金プラチナに輝く頭髪、幼き少女を思わせるような小柄な駆体ボディ、純真無垢を表す白いタイツのような戦闘服、四肢に装着された白金しろがね装甲アーマー、ハートを型どったような金色の翼、そして朱い“一つ目(モノ・アイ)”が妖しく光るバイザーを装着し、無数の“天使の輪”のような兵器を操る人型兵器。


 名をミカエル――――古代文明に於いて『ガブリエル』と並び称された天使の名を有する機械天使ティタノマキナ



「起動……起動……起動……♡ 対厄災粛清用人型戦闘兵器【機械天使ティタノマキナ】、タイプ“γ(ガンマ)”【癒やしの天使(ラファエル)】……此処に起動開始致しましたぁ♡」



 次に現れたのはおしとやかな雰囲気を放つ天使。


 翡翠エメラルド色に輝く長髪、あらゆる者を抱擁する果実のように豊潤ほうじゅん駆体ボディ、純潔を証明するような純白のボディースーツ、露わにされた瑞々(みずみず)しい四肢、蝶のハネを模したような翡翠色の翼、朱き“一つ目(モノ・アイ)”を憂いげに発光させたバイザーを装着し、両脇に巨大な黄金の竪琴ハープのような兵器を従えた人型兵器。


 名をラファエル――――先のミカエルと同じく『四大天使』を起源とする機械天使ティタノマキナだ。



「起動ッ、起動ッ、起動ォォ!! 対界殲滅用人型戦闘兵器【機械天使ティタノマキナ】、タイプ“Δ(デルタ)”【破壊天使ウリエル】、起動開始ィ!! さぁ、主機オレにぶっ壊されてぇ奴は何処だァァ!!」



 最後に現れたのは苛烈極まる天使。


 常に発光し続けて灼熱に燃える紅い長髪、戦闘に特化したしなやかな駆体ボディ、破壊衝動を詰め込んだような黒いボディースーツ、四肢や胸部に装着された武装まみれの装甲アーマー、炎のように荒ぶる紅い翼、動く度に軌跡を朱い残光として残す“一つ目(モノ・アイ)”のバイザーを装着し、自身の背丈よりも大きい大剣を振り回す人型兵器。


 名をウリエル――――『四大天使』の最後の一機。



「「「我ら『守護天使』、及び量産型機械天使(ティタノマキナ)一万機、女神アーカーシャ様のめいにて馳せ参じました! さぁ、我々に“粛清”のご命令を……!!」」」



 三機全てがジブリールやルシファーに匹敵する【大天使アーク・エンジェル】だ。そんな彼女たちは俺たちを挟んだ向こう側、湖に浮かぶ教皇ヴェーダに向けて空中でひざまずいていた。


 そして、王都の遥かに上空、朱く染まった空に輝く無数の朱い発光体が続々と姿を現し始める。



「な、何よアレ……!? まさか……全部、機械天使ティタノマキナだって言うの!?」


「そ、その通りなのだ、リリィお姉ちゃん……! あの小さな光……全部が機械天使ティタノマキナの“一つ目(モノ・アイ)”の光なのだ……」


「嘘でしょ……!? あのチビ天使、一万の軍勢って言ってたわ! あり得ない……御主人様ダーリンが倒すのに手こずった機械天使ティタノマキナが一万なんて……うちらだけじゃ多勢に無勢すぎるわ!」



 王都の空を覆い尽くしたのは機械天使ティタノマキナの大軍、その総数はミカエルたちの言葉が正しいのなら一万、想像を絶するような数値だ。


 ヴィンセント陛下が繰り出した数よりも、【死の商人】が旗艦アマテラスから運び出した数よりも明らかに多い、多すぎる。そのあまりの数の多さにほとんどの騎士たちが戦意を喪失し、俺たちを追い詰めていたダモクレス騎士団の騎士たちの完全に動きを止めてただ呆然と空を眺めるしかなかった。



「ミカエル、ラファエル、ウリエル……! まだ稼働していたの……!? それに……貴女達、まさか女神システムアーカーシャに組したの?」


「あら〜、お久しぶりねぇ、ガブリエルちゃん♡ まさかまた逢えるなんて、本機わたくし、柄にもなく感激したわぁ〜♡」


「久しぶりだなァ、ガブリエル、それにルシファー! 旗艦アマテラスの墜落と共に大破したと思っていたぜ、アッハハハハハ!!」


「ガブリエル、自機あたしたち『四大天使』から引き抜かれた裏切り者! まさか貴女が死に損ないの弱々ラストアーク博士とつるんでいたなんて衝撃ショックだわ〜! まぁ、自機あたしたちの超☆スペシャルな連係チームワークに付いて来れなかった()()()()()()()()にはお似合いの地位ポジションよね〜♪」


「相変わらず減らず口ばかり……これだから『四大天使』は嫌いなのよ……! 当機わたし勘定カウントに入ってなくて良かったわ……!!」



 その三機の名を聴いた時に感付いたが、やはり彼女たちはガブリエル、もといジブリールと同性能の機械天使ティタノマキナらしい。そして、ジブリールたちとミカエルたちの会話を聞くにお互いあまり関係は良好ではなさそうだ。


 ミカエルはジブリールは『引き抜かれた裏切り者』と小馬鹿にしながらも厳しくののしっている。恐らくジブリールがノアに引き抜かれた事が不愉快なのだろう。その証拠として、彼女たち三機はその“一つ目(モノ・アイ)”でノアを一度だけ冷ややかな視線で目視していた。



「何を呑気にしている、三天使ども! 女神アーカーシャ様の御前だぞ、こうべを垂れろ!」


「あ~、はいはい、分かっていますよーだ! まったく……“アグニ”ったら女神システムの子どもだからって偉そうにしちゃって……! は~い、ラファエル、ウリエル……偉大なる創造神、アーカーシャ様にご敬服〜♪」



 跪きながらもジブリールたちに()()()()をしていた三天使たちはフレイムヘイズ卿に一喝され、怪訝けげんそうな声色こわいろで悪態をきながら教皇ヴェーダに対して頭を垂れ始めた。



「フレイムヘイズ卿が……女神アーカーシャの子ども? それに……機械天使ティタノマキナたちが教皇ヴェーダに平伏している……まさか!?」


「その()()()ですよ、ラムダ=エンシェントさん? 神殺しを目論む反逆者よ……」



 フレイムヘイズ卿は三天使に『女神アーカーシャの御前』だとかつをいれ、三天使たちは教皇ヴェーダに平服の意を示した。


 その天使たちの行動は、ある一つの事実を浮かび上がらせるには十分だったのは言うまでもない。



「意識レベル……降臨コンバート……!」



 不敵な笑いと共に左右に割れていく教皇ヴェーダの仮面。そして、素顔を晒した者は『ヒトならざる者』。彼女の顔を見た瞬間、ノアの表情が一気にけわしくなった以上、其処に居るのが末恐ろしい“何か”なのは俺にも容易に想像が付いた。


 あらわになったのは絶世の美女の素顔――――誰もが『美しい』と謳うであろう美の化身たる造形をした、人形のような顔立ち。そして、ノアと同じ朱き瞳を輝かせた至高の存在。



「我が名はアーカーシャ、この世界を想像せし唯一無二の絶対神。さぁ、平服しなさい……これよりは女神の裁定のとき……!!」



 その名をアーカーシャ――――この世界の創造者にして唯一無二の“神”であり、“神無き世界”であった古代文明で人為的に造られた『機械仕掛けの神デウス・エクス・マキナ』。



「お久しぶりですね。ノア=ラストアーク……お母様♪」

「アーカーシャ……!!」



 ――――ノアが生み出した最大最悪の【大罪】。

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