冷血の君主
「いつまでそんな姿でいるつもりだ?」
ドアの外から再び低い声が響いた。優しくもなく、凶悪でもなく、責めるでもなく、まるで感情のない声だった。だが、その声を聞くだけで恐怖が湧き上がる。
「陛下!どうしてこちらに!」
彼は使用人の驚いた声を無視し、答えもせず、ただ冷たい視線で部屋の闇を見つめた。そのぞっとするような視線は俺をじっと見つめている。彼は悪魔でも神でもない。ただの俺の父親、君王だ。
俺は麻木にゆっくりと顔を上げ、馴染みのあるその顔を見た。無表情で、眉一つ動かさない。ただドアの外に立って、氷のように冷たい言葉を口にする。
「いつまでそうしているつもりだ?」
彼は再び感情のない声で尋ねた。なぜそんなにも冷淡でいられるんだ?彼には感情というものがまったくないのか?神は彼に感情というものを与えなかったのか?ただ戦うだけの存在なのか…。
「…」
俺は答えなかった。ぼやけた視線がゆっくりと彼の目と合わさる。あまりにも冷たい目だ。普段はこの目はこんな風だったか?普段は少しの温かみがあったはずなのに、なぜ今は石像の目のように、ただの空洞なのか。
同じく麻木な視線なのに、俺の目は「悪」を帯びている。自責ではなく、俺自身が放つ「憎しみ」だ。無意識に、だが人を嫌悪させる目だ。
「いつまでそうやって何も食べず、血にまみれた服を着ているつもりだ?」
やっと彼の気持ちを口にした。どうやら気持ち悪いと感じているらしい。ドアの外から見つめ、命令のような口調で言う。なんて嫌なやり方だ。苦しみを理解できない。母が死んだ時、彼は悲しまなかったのか?なぜこんなにも平静でいられるんだ?
苦しみなんて知らない!俺がどれだけ辛いか知らない!何も知らないくせに!よくもそんなことが言えるな!
「は、服を着ることすら許されないのか?」
「…」
「知ってるか?俺は人を殺したんだ。俺が自らの手で彼女を殺した!どれだけ苦しいか知ってるか!あの男が!俺にナイシャを殺させたんだ!血を流して俺の目の前で倒れた!この血は彼女のものだ!知ってるか!?この感情のない怪物め!」
俺はヒステリックに彼を罵った。彼の感情はあまりにも冷たく、こんなことに悲しみすら感じない。指定された婚約者が死に、なのにいつもと同じように、こんな冷淡な言葉を言う。
「それで?」
「それ…で…?」
「殺した。それで?」
なんて冷血な。いや、彼はまるで石でできた彫刻だ。「君王」という名の彫刻だ。怪物ですら彼より感情を持っている。彼には何の感情もない。それなのに、俺の父親だ。
だが、彼は血を流す彫刻だ。感情があるはずだ。血がある限り、血の気というものがあるはずだ。
かつては感情を持っていたのかもしれない。だが、今の彼は確かにただの彫刻だ。極めて冷たい彫刻に過ぎない。




