閉ざされた時を開く
ローは動揺することなく、その動作はとても慣れたものだった。だが、荒々しい動作の中にも優しさが垣間見える。いつもこうだったが、毎回心はこんなにも痛む。
「やめて!うっ!」
ジョンの肩を押さえつけ、どうあがいても逃れられない。力はすでにできる限り抑えていたが、こんなにも弱った彼には抜け出すことはできなかった。スープを口に流し込まれ、顔を背けようとしても、碗が口に押し当てられ、スープは止まることなく流れ込んでくる。
吐きそうで、苦しい。それ以外のことは考えられない。いや、この二つの思いしか残っていなかった。
ローを手で叩いても、痩せ細った腕では力が出せず、病による虚弱さも加わり、ローの体に当たっても何の感触もない。ただの無駄な抵抗だった。
スープを飲み終えると、咳き込み、喘ぎながら、苦しそうに口を押さえた。まるで内臓まで咳き出してしまいそうだった。
「殿下、もう終わりました…」
ローの給餌の任務は完了した。これはやむを得ないことだった。いや、命令だ。絶対的な命令だった。
「ロー…」
「申し訳ありません。これは殿下がずっと出してきた命令であり、俺の務めです…」
なぜこんなことを言うのか。そうだ、俺が彼にそう命じたんだ。
あの時…。
王宮の寝室は静寂に包まれていた。灯り一つなく、厚いカーテンが閉じられ、陽の光さえ差し込まない。真っ暗闇の中、ただ一人、白い礼服を身にまとった者がベッドに座っていた。
闇が彼を覆い、自分も他人も見えない。そこにあるのは永遠の「黒」だけ。
その時、ドアの外からノックの音が響いた。何度か叩かれたが、返事はない。
「殿下、入ってもよろしいでしょうか?」
男の声が聞こえたが、やはり返事はなかった。まるで部屋には誰もおらず、空っぽの空間のようだった。
だが、ドアが開けられ、外からの光が眩しく差し込み、彼の背中の白い服を照らし出した。
しかし、彼はうつむいたまま、白い手袋にべっとりと付いた血を見つめていた。血痕ははっきりと、まるで焼き付けられたようにそこにあった。
見たくない。闇の中なら見えなかったのに。なぜ見なければならないんだ。
「殿下、4日です…4日間、ここに閉じこもっているんですよ…」
たった4日か。なぜこんなにも長く感じるんだ。苦しみが消えると思ったのに、時間が短すぎたのか。
いっそこのまま餓死すればいい。悪くない気がする。ナイシャのところに行けるなら、きっと幸せだろう。
なぜこんな華やかな服が赤く染まってしまったんだ。こうなるはずじゃなかった。この服はこんなにも美しいのに、結婚の時に着るはずだったのに、なぜ葬送曲に…。
「4日間、何も食べていないんです…」
食べる必要なんてない。少しも腹が減らない。食欲なんて閉ざされ、ただ苦しむ感情だけがある。
なのに、体は勝手にむかむかとえずく。何も食べていないのに、なぜえずくんだ。ありODE
System: 不可能だ。そんなことはありえない…。
でも、なぜか上腹部がひどく痛む。
「殿下!大丈夫ですか!」
その男は心配そうに声をかけ続けた。でも、俺には彼がうるさいと感じる。なんて煩わしい奴だ。静かにしてほしい。ずっと、ずっと静かにしてほしい。こんなに騒がしくしていいのか?本当にうるさい、蝿みたいだ…。
あの男はどこに行った?俺の従者だと言ったじゃないか。病気でもあるのか?そばにいないなんて。殴ってやりたい…。
「ロー呢…」
「ローは今、『休息』しています…彼の顔の傷、誰がこんなひどいことをしたのかわかりません…」
俺の手にはこんなに血が付いている。そうか、ナイシャだけじゃない。周りの人間も傷つけてきた。どうやら俺は地獄に落ちるしかないらしい。
じゃあ、なんでまだここにいるんだ。もうすべて終わったのに。彼も去ったのに、俺はまだこんな平穏な場所にいる。
どうせ血にまみれているんだ、もうどうでもいいじゃないか――




