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剣技を放て!  作者: 源平氏
剣の都イージン編
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第27話 再会


 イージンについたザンは早速剣士連盟へと足を運んでいた。本部というだけありイージンの連盟はソルドンのそれよりも建物が大きい。ロビーの窓口だけでもかなりの数があり、そのどれにも剣士が列を作っていた。


 その一つに並んでいたザンは、護衛の完了を報告すると報酬を受け取った。金欠からの脱却である。しかも賞金首の目撃情報も報告した事により金額が上乗せされていた。思わぬ収入である。


「これでしばらくは生活できるな」


 ザンは硬貨を入れた袋を見て満足げにそう言った。その袋は膨らんでおり手にずっしりと重みが掛かっている。ザンは袋を懐にしまうとロビー横の掲示を見て回った。そこには依頼表の他に、大会の告知やその他諸々が張り出してあった。その中の一つ、人相書きが並べられた箇所を見つけたザンは真っすぐそこへ向かう。


「これがこの街の賞金首か。いかにも悪者って顔ばっかりだな」


 ザンは人相書きを見てそう感想を漏らした。恐らくはその凶悪性を伝えるために表情を誇張しているのだろう。描かれた犯罪者たちはどれも見た者に威圧感を与える顔をしていた。ザンはその中から今日見たばかりの顔を見つけ出す。


「皆殺しハッチ、賞金六十万ゴルドか」


 人相書きに書かれた情報によるとハッチの主な犯行は、今日のように街の外での商人の馬車への襲撃らしい。出没範囲は確認されているだけでもイージンから半径三十キロという広範囲。そして少しでも不利を感じたら即逃走するとも書かれている。空を飛ぶことによる機動力を生かした立ち回りである。


「推定戦闘力は剣聖クラス。護衛が弱かったり居ない場合は皆殺しにする危険人物、か。最低だな」


 最後の一文にそう書かれていたのを読み、ザンは吐き捨てるようにそうつぶやいた。ザンはとりあえずこのハッチの討伐を目標にする事にした。しかしある問題がある。


「出没範囲が広すぎるな……」


 ザンが頭をひねる。闇雲に探して見つかる範囲ではない。さらに言えば、もし見つけたとしても逃げられる可能性がある。走って追いかけても、果たして追いつけるかどうか。


「うーん……」


 ザンはしばらく考えたが良い案は出なかった。そしてある結論に達する。


「見つかるまで探せばいつか見つかるな!」


 善は急げ、ザンは早速街を出た。そしてイージンを発った馬車に話しかけ同行させてもらう。馬車といれば盗賊が向こうからやってくるという算段だ。もしハッチ以外の盗賊が襲ってきても、それはそれで討伐すれば問題ない。指名手配されていなくても盗賊を狩れば賞金は多少出るのだ。稼ぎにもなって一石二鳥である。



 それからザンの盗賊探しの日々が始まった。イージンと近くの街を往復する毎日である。違う道を通る馬車を選んで同行したり、如何にも盗賊が狙いやすそうな馬車を選んだりするが、いざ待ち構えるとなかなか来ないものである。いくら盗賊の数が増えたからといって、それが自分を襲うとは限らないのだ。


 だがザンは愚直にそれを続けた。他に案がないというのが理由だ。そしてそろそろ金が尽きてきて仕事をしないといけないと思い始めたある日の事である。その日も馬車に同行していたザンは、前方から戦闘らしき音が聞こえてくることに気づいた。


「おっさん! 俺様子見て来るわ! じゃあな!」


 既に剣は抜いている。ザンは同行していた馬車の御者にそう言うと駆け出した。前方からは悲鳴が聞こえてくる。やがて道の先から人影が見えてきた。結構な数である。どうやら向こうもこちらに向かって走っているようだった。


「おーい! 何があった! 大丈夫か!?」


 ザンが前方の集団に声をかける。近づいて分かったがその集団は剣で武装していた。全員男である。男たちはザンを見て動揺した。


「くそっ、挟まれた!」

「馬鹿あれはガキだ! やっちまえ! いや、人質に取れ!」

「俺に任せろ!」


 男たちからざわめき声が聞こえてくる。その声はしかし、彼らの足音にかき消されザンには聞き取れなかった。男たちはそのまま突っ込んで来る。


「な、なんだ!? どうしたんだお前ら!?」


 数十人の男たちが全速力で押し寄せる光景に、今までそれなりの修羅場をくぐってきたザンもさすがにたじろいだ。敵か?と思い剣を構えたザンに向かって先頭の男が叫ぶ。


「助けてくれ! このままじゃ殺される! 盗賊に追われてるんだ!」

「なんだって!?」


 ザンが男たちの向こう側に目をやると、遠目に二人組が追いかけて来ているのが見えた。そうこうしているうちに男たちはザンの横を駆け抜け、と思ったらザンの背後に陣取った。そしてザンの首筋に剣を沿わせる。


「え? どういう状況? お前ら盗賊から逃げて来たんじゃないのか?」

「馬鹿め! 盗賊は俺たちだ! そしてお前は今から人質だ! 剣を離しておとなしくしろ!」

「断る!」


 男がザンから剣を奪い取るよりも先にザンが動いた。首に押し当てられた剣を一瞬で弾き飛ばし拘束を逃れる。そして振り返りざまに剣技を発動した。


「全力気合スイング!」

「ぎゃあああああ!」


 ザンの放った衝撃波により近くにいた盗賊たちが吹き飛ばされた。そして落下し地面に激突。離れていて難を逃れた盗賊は、舞い散る仲間の姿にただただ唖然としていた。


「あれ? こいつらが盗賊なら、あの二人組はなんだ?」


 ザンが走ってくる二人組を見やる。先ほどは遠かったが今はもう近くまで来ていた。顔がはっきり見える距離である。二人とも若い女だ。その片方にザンは見覚えがあった。


 向こうもザンに気づいたのだろう。目が合う。話せる距離まで近づいてきたその少女に向かってザンは声をかけた。


「よっ、久しぶり! まさかこんな所で会うとはな」

「……久しぶり。イージンに来てたんだ」

「ああ。もっと強くなるためにな。そっちはなんでこんな所に居るんだ? マイン」


 それが三カ月ぶりの、ザンとマインの再会であった。


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