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10 課題の仕上げ

詩を考えて頭がいっぱいのアルシノエにまた声をかけるものがいた。

「なるほど、謝りに来たついでに偵察ですか。」

ニーナ・リュコスの守役が例の通り勝手に上がり込んでいた。

また癇癪が起きたのだと出されたお茶を飲んでいる。

詩を考えることを一時中断して彼の話の相手をする。

「ご令嬢全員が敵ですもの。このくらいの防御はしますわ。」

テーマは”この国を称える”というやりづらいものである。

とかく、知っていそうな人物に片っ端方聞いていくのがよいだろうとアルシノエはギザーロにヒントをもらうことにした。

「今の国の良いところは?」

侍女が彼のためにお茶のおかわりを用意する。

「俺??ん・・・手伝いは出来ぬ。」

アルシノエの魂胆を読んで答えてはくれなかった。

「でも、ヒントくらい・・・」

「その情報は持ち合わせていない。ただ、”国王を称える”ではないことに注意すべきだな。」

おかわりを飲み干すと素早く部屋から出て行った。

アルシノエはギザーロから聞き出すのに失敗し逃げられてしまった。

気を取り直して先にレースの仕上げをして、ものは試しとナーリィスにも聞いてみた。

「国王派と大公派で国が成り立っているのはご存じですよね。」

「もちろんですわ。」

「オベリスクはその均衡を保つために作らせたと言われています。それは国一番の魔法使いによって作られました。それはご存じですよね。」

「えぇ。でもそれは、父を称えることになりますわ。」

アルシノエはとにかく思いつくだけ書き並べてみることにした。

国土、民衆、文化、宗教などを箇条書きで書き連ねていくとなんとなく見えてきたような気がした。

さて書き出そうとしたとき、長老会の使いがやってきた。

「申し上げます。本日、昼前に変更となったのはご存じでしたかな?」

「あら。今日の茶会は午後では?」

事前の情報では今日の茶会は午後からであった。

それが急に、変更になったというのだ。

ホストであるご令嬢が伝え忘れたのだろうか。

「いえ、既にはじめられていますよ??」

フェノロサが不思議そうに窓の外を見ている。

既に、多くのご令嬢が集まって茶会が始まろうとしていた。

手早く着替えるといそいそと歩き出した。

走るのは厳禁だ。

後ろから、もう一団ご令嬢と侍女達が急いで会場まで行く足音が聞こえた。

そのご令嬢はニーナ・リュコスであった。


アルシノエとニーナが会場に遅れてやってきた。

その後ろから国王と護衛やら側近達もやってきたので茶会は騒然とした。

「ま、陛下。」

ホスト役のご令嬢の侍女らしき女性がホスト役のご令嬢に注意を向けさせた。

「何をしているのだ!」

「茶会ですわ。」

「平等に扱えと言う長老会の話を忘れたのか?」

「いえ、そのような。」

「今の状態がどういう事か説明をしろ。」

「私達、遅れてしまいましたの。」

「二人か。」

ニーナとアルシノエには日時変更の通知が来ていなかった。

これは重大な事件であると国王は告げる。

後に、侍女達の間で情報が取り交わされていたことを国王は掴みわざと大勢でやってきたのだと噂された。

対策をご令嬢達に言い渡して帰って行った。

「連絡は守役同士で行うように。」

その後の茶会は来真津胃雰囲気のまま終わった。

部屋に帰るなり、守役達が何かを話し合っていた。

「リュコス家のお嬢さんがねらいか?」

今回は、アルシノエの他にニーナにも伝えられていなかった。

何か理由があるはずだと守役達が相談していたのだ。

それにアニタも参加した。

「それとお嬢様。特にねらわれる要素はありません。が、例の一件もありますし。」

「恥を掻かされたと思った人物だろうな。」

アルシノエ達から遅れて帰ってきたマイアが

「えっと、ですね。どうやら今回の茶会のホストは  様だったとか。アウラ様の妹君だそうです。」

「ご姉妹で敵に。怖いですわね。」

ご用心、ご用心とナーリィス。

つらいな。気を落とさないでくださいね。とフェノロサとマイギー。

「そこまでつらくもありませんわ。」

「あら、王妃選びにやってきたのはなぜかしら?」

「私は・・・」

アーノルドの出した対価のためとは言えずもごもごとしているとそばからアニタが代わりに答えてくれた。

「別にアルシノエ様は好きで王様の元へいらしたわけではありません。」

「他のご令嬢の皆様も家のために参加されていると言う方々も現にいらっしゃるのですから。」

「そうですわ。兄君二人が軍にとられて大変だったではありませんか。」

「兄様二人を危険な目に遭いながら我が伯爵家が国王に忠誠を誓っていることを身をもって示されているので、私が代わりにと言う思いもあるのです。」

侍女3人とアルシノエでとってつけたような理由を述べる。

「そうですわね。必ずしも王様にご好意があるとは限りませんわね。」

「親に相手を決められて結婚が貴族の間では主流だからな。」

どうにか、納得してくれたようだ。

それから苦心に苦心を重ね頭を抱えて考えた詩がどうにか夕食前にはできあがった。

守役にできあがったことを伝え、長老会に連絡を付けてもらった。

長老会に提出をして長老会が国王に課題を渡すという取り決めであった。

守役から今からどうぞとの長老会からの返答をもらい、今日中に提出で期す手はずが整った。

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