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宝物を得た日

前回投稿が1年以上前とか気が遠くなりますね⋯⋯。

ブクマして下さった方、ありがとうございます!


ジンが村を発ってから大丈夫およそ一ヶ月。

いつもと変わらずに家事をこなし、体が鈍らないように剣を振る。

ところが一人で過ごしているからなのか、ここ最近はずっと暇を持て余している。


「はぁ⋯⋯」


余計に暗くなってしまうとわかりつつ、ついついため息をついてしまう。

ジンと二人で暮らすたいして大きくもないこの家が広く感じるなんて、思っていた以上に重症だ。あちこちに残るジンの気配がそうさせるのだろうか。

しかも最近、あまり体調が良くない。

体は怠いしいくら寝ても寝足りない。食べ物の匂いだけで吐き気がするし、実際吐いてしまうこともある。

ジンがいないだけでこの体たらく。今までどうやって生きてきたっけ。


「だめだめ、ジンも頑張ってるんだから私もしっかりしないと⋯」


暗い思考を振り切るように頭を振って立ち上がる。

と、世界が歪んだ。

立っていられなくなって床に倒れる。


あれ、どうして私倒れてるの⋯⋯?


状況が飲み込めないまま、私は意識を手放した。










ふわり、と誰かに頭を撫でられている気がする。あたたかい優しい手。


「⋯⋯んぅ⋯?」


「ゾーイ!気がついたのね!」


ホッとしたような声に目を開けると、そこにはお母さんがいた。


「良かったわ、お昼過ぎに顔を見に来たら貴女が倒れて気を失ってるんだもの。お医者様には診てもらったけど具合はどう?」


ああ、なるほど。それで私は寝室にいるのか。

窓の外は日が暮れる寸前で、お母さんはずっと傍についててくれたんだと思うと何だかくすぐったかった。


「今は大丈夫だよ。お医者様はなんて?」


私の質問にお母さんは嬉しいような、悲しいような表情(カオ)をした。


「お母さん?」


「あのね、落ち着いて聞いて欲しいんだけど⋯⋯ゾーイのお腹にね、ジン君との赤ちゃんがいるらしいの」


息が止まった気がした。


「あか、ちゃん⋯?」


「そう。まだ詳しい診察は貴女が起きてないからできなかったけど、ほぼ間違いないだろうって⋯」


呆然としながら平らなお腹に手を当てる。

ここにジンの赤ちゃんが、いる。


「ふぅっ⋯⋯っ」


涙が溢れて止まらなかった。

いつか来てくれるといいね、と話していた。どっちに似るかななんて気の早い話も。

嬉しいのに、一緒に喜んでくれるジンがいない。


なかなか泣きやまない私にお母さんが言った。


「ねえゾーイ。お母さん、お父さんと一緒にこの家にお邪魔しようと思うの。お腹の子が産まれて貴女が子育てに慣れるまで支えるわ。だから⋯⋯帰ってきたジン君に元気な子ども、見せてあげましょう?」


バッカだなぁ、私。

ジンと同じくらい私のこと大事に想ってくれてる人はちゃんといたのに。頼っちゃいけないなんて勝手に思い込んで。

大好きな両親のことも見えなくなってたなんて、どれだけジンのことしか見えてないの。惚れすぎよね。

大好きなあんたのために、信じてこの家で待ってなきゃいけないのに。


「うんっ⋯ここで、この子と一緒に、ジンを待ってる⋯!」


「ふふっそれでこそ私の娘だわ!」


「レイナ?ゾーイはどうだい?」


そこにお父さんが入ってきた。


「あなた、お帰りなさい!」


「私はもう大丈夫だよ。それとね、お父さん⋯⋯」



ジンはここにはいないけど、いつか必ず帰ってくる。

だから私はこの家でこの子と二人、彼を待つ。いつか話した未来が本当になるように。



だからね、ジン。

はやくおかえりって言わせてね。











ジンが旅立ってからおよそ8ヶ月後のある春の日。

奇しくも父親と同じ誕生日に、その子は生まれた。


ゼンと名付けた息子は、私と同じ瞳の色以外はジンの生き写しのようで。


「バッカじゃないの、ここまで自己主張激しくしなくても忘れたりなんかしないわよ⋯」


私は呆れて笑いながら、隣にいないジンを想って泣いた。


投稿しててあれですが、私一応受験生なので次回投稿はまた大分先になると思います。

延ばしに延ばしてこのクオリティで申し訳ないですOTZ

お読みいただきありがとうございました!

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