第20話 ボス戦後
「南方港町エリーゼ」 に向かう途中カナ達に少し相談する。
なぁ、ギルドホーム1階にギルド員用の店作らないか?
これはギルドホームのオプションでギルド内に店を設置して他の人に売ることができるシステムだ。
ファンファンさんところなんて本店の隣にギルドホーム建ててその1階ロビー部分全部を布製以外の武器防具店に改装して本店のほうは布専用の防具店になっている。
もっともコーディネートとやらが必要だからと隣と同じ武器防具の見本は置いてあるようだが・・・。
あそこまで大きくする必要ないのでNPC一人置くくらいの売店みたいなのを置かないかと相談。
今は闘猫旅団 の中では俺以外生産スキルをまともに育てているものはいないが将来においては違うだろう。
もしかしたら新しい子が入るかもしれないし、この中でも生産スキルを大きく育てる人もいるかもしれない。
そしてそういったときにネックなのは売る場所だ。
確かに委託販売店もある。
しかしあそこは上限50個という縛りがある。
スキル上げ等で同じものを大量に生産したりするときあの場所では少なすぎるのだ。
かといって今からじゃ店もつにしてもいい場所押さえられているだろうし・・・。
ついでに言えばポーションみたいに消耗品はそもそも大量生産が前提だから50個縛りはきつすぎる。
なにも生産しなくても素材も売れるならいくらでも需要があると思うのだが、とそんなような話をしたらみんなOKを出してくれた。
帰ったら1階部分の設定を変えて外部分に売店の設置を決定。
店の商品はギルド員が売りたいものを自分で価格設定。
売り上げの10%をギルドが徴収という設定に決定した。
ギルドに徴収されるお金も意味がある。
これは雇っているNPCの給料やギルドでなにか攻略戦をするときの資金に回すことができる。
10%なら委託販売店の手数料と変わらないのでこちらの懐も痛くない。
ラン達が話をしているのを見ながら後ろから【ファンファン】と【テディ】はさっきのボス戦を振り返っていた。
「今回のボス戦は【ラン】さんが人数分【高レベルポーション】と【MPポーション】を大量に提供してくれましたから一人の脱落者も出さずにいけましたが他のメンバーはそうも行かないでしょうね。」
「う~ん、多分だけども【カナ】ちゃんところのギルドハウスで【MPポーション】買えるようになると思うわよ、さっき売店をギルドで出せないか聞かれたし。」
「そういえば、ポーション配られたときにボス戦が無事に終わったら販売開放するからとりあえず黙っていてほしいとか言われましたな。」
「えぇ、それに今回比較的楽だったのは【MPポーション】のせいだけではないね。」
「あの動き、いったいどのようなスキル取ればできるのですかね?立ち上がった狼の顔に一発で飛び乗っていましたよ、それにほとんどボスの攻撃があたらず斬撃すら【受け流し】でいなしていましたよ。物理ではなく所謂、衝撃波までいなせるってどんな性能かと・・・。というか【受け流し】で衝撃波なんて受け流せませんよね?」
【テディ】が半分あきれ返ったような顔で【ファンファン】に聞く。
「まぁ、そのはずなんだけどね・・・ここはゲームの世界だからもしかしたら【為せば成る為さねば成らぬ何事もと】で出来るのかもしれないわね。」
「んな、むちゃくちゃな・・・」
【ファンファン】の言葉に【テディ】はそんなことあるかいと思いつつもあの破天荒な【ラン】ならなんかなんでもありのような気がしていた。
「なんにせよ、あの容姿だけではなく能力でも【ラン】ちゃんは当分注目の的でしょうね、そうそう知ってる?【ラン】ちゃんリアルでは私達より年上よ。」
「え???」
「間違いないわ、大学生の【カナ】ちゃんが以前私達の倍の年齢とかいってたもの。」
「・・・その年齢であの動き・・・化け物ですかあの人は・・・。」
「あははは、【ラン】さんは多分医学的関知からの参加者じゃないのかしら、VRと肉体の影響とかそんな感じの【被験者】という立場の。」
「なるほど、確か寝たきりとかのかたも参加しているといいますからね、リハビリやアスリートの訓練という観念でならリアルでアスリートクラスを【被験者】にして調べるのも意味があるのかもしれませんね。」
「きっと彼女はそういう関係者なんだと思うわ。」
テディとファンファンの勘はいいところまでいっていた。
実際今回のボス戦でもソリッド社はよい肉体的データが得られたので狂喜乱舞状態だ。
ただ本来は【性同一性障害】という名目でありしかも本当はは社長の友人に対してのお遊びだったとはさすがに気がついていない。
【新藤】社長
「くっくっくくくく・・・あはははははは、やっぱりあいつは昔から変わらん、こちらの斜め上に行く方向で結果を出しやがる・・・・(大爆笑)」
新藤社長、ソリッド社の管理室で周りが今回のデータに一喜一憂している中で別のことで喜んでいた。
「だから、こういった計画にはあいつは外せんのだ、【しんいち】お前の思うまんま全力で動け!それが世界のため人のためになる、そのために俺はこの世界を用意したのだからな。」
さて、黒幕もぼちぼち動き出すようです。
もっとも黒幕も悪人ではありません。
世のため人のためではあるが同時に自分も思いっきり楽しむ方です。
まぁ、人はそういった人のことを『はた迷惑な人』ともいいます。(笑)
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