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第四十二話 残された素材

第五階層。




特殊個体を倒した後。




しばらくの間。


三人はその場で休息を取っていた。




「……疲れた。」




漣が壁にもたれる。




「正直に言うと。」




「一人だったら危なかったな。」






悠真は頷く。




「俺もそう思う。」






以前なら。




一人でどうにかしようとしていた。




迷惑をかけないため。




頼らないため。






でも。




今は違う。






「漣が前にいてくれたから、攻撃を見る余裕があった。」




「雪乃さんがいたから、攻撃の選択肢が増えた。」




「ポムがいたから、最後の隙を作れた。」






悠真はポムを見る。




「ありがとう。」






「ぷる!」






ポムは嬉しそうに跳ねた。






その様子を見て。




漣が笑う。




「本当に仲良くなったな。」






悠真は少し考える。






「……そうかな。」






「そうだよ。」




漣は即答した。






「前のお前なら、そんな顔しなかった。」






悠真は自分の表情に気づく。






自然に笑っていた。








休憩を終え。




探索を再開する。






倒した特殊個体の場所。






そこには通常の魔物とは違う素材が残っていた。






「これは……。」




雪乃が近づく。






「魔石?」






普通の魔石より大きい。






内部の魔力密度も高い。






悠真は手に取る。






「……面白い。」






漣が苦笑する。






「出た。」






「何が?」






「研究者の顔。」






悠真は魔石を見る。






魔力が乱れていない。






循環している。






蓄積されている。






「この魔石。」






「魔力を溜めるだけじゃない。」






「流れがある。」






雪乃が驚く。






「魔石って、そこまで見るものなんですか?」






「普通は見ないと思う。」






悠真は答える。






「でも。」






「使えるものは全部使いたい。」








その言葉。






漣は少し黙った。






悠真は弱い。






少なくとも。






数字だけを見るなら。






でも。






弱いからこそ。






足りないものを探す。






そして。






見つけたものを積み重ねる。






それが悠真の強さなのかもしれない。








探索を続ける途中。






小さな採掘場所を見つける。






壁面には鉱石。






魔力を含んだ鉱物。






「これも持ち帰れるか?」






教官が許可を出す。






「研究目的なら問題ない。」






悠真は鉱石を見る。






冷たい金属。






しかし。






中には確かな魔力の流れがある。






「……。」






頭の中で。






いくつかの考えが繋がる。






魔石。




鉱石。




魔力。






もし。






これらを組み合わせることができたら。








「悠真?」






雪乃の声で我に返る。






「すみません。」






「また考え込んでいました。」






漣が笑う。






「まあ、今に始まったことじゃない。」








その夜。






個人空間。






六畳一間。






机の上には、


今日手に入れた素材。






魔石。




鉱石。






そして。






簡単な記録。






「魔力を流す素材。」






「魔力を保持する素材。」






「魔力を循環させる仕組み。」






まだ答えはない。






でも。






少しずつ見えてきた。






悠真が必要としているもの。






それは。






強い武器ではない。






自分の不足を補うための、


自分だけの道具。








その頃。






ダンジョン深部。






記録が更新される。






【侵入者】




神代悠真。






【戦闘結果】




想定外。






【判断】




観察。


適応。


成長。






ダンジョンは初めて。






人類ではなく。






「変化する存在」


として悠真を認識し始めていた。


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