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第15話 リスタートの光、代償の影

2年生になった澪に何が待ち受けているのか

2ヶ月の完全休養、そしてそこから半年間の走行禁止、更には1年間、つまり走行禁止が解除されてから3ヶ月間のレース出場禁止を榊原から命じられた澪は、その長い完全休養を終え、基礎練習を重ねていた。その日も、チームが練習した後、筋トレ、体幹トレーニングの予定だった。しかし、そこには、既に先客がいた。広岡と和輝だ。本来なら、あの日までは、そこまで練習をするタイプではなかった。しかし、自分と同じ、あの負けによって変わった。時は経ち、澪は2年生になった。だが、既にレースの出場はしていた。

「千石は、実戦的な勝負感覚さえあれば、もっとタイムを伸ばせた。森野もそうかもしれない。2月のロードレースに出て、勝負勘を取り戻してみせるのはどうか?」

と、榊原に言われたからである。その瞳に宿っているものが、危険な炎であることは、まだ誰も知るはずもなかった。出力し過ぎて32分29秒という想定以上の自己新を出してしまった。そして、2年生となった現在、5000m記録会でまさかの14:30の自己ベストも出てしまった。狙って出した時より、サラッと記録が出ちゃうことは、陸上選手ならよくある話である。しかし、それはその場限りのことが多く、好調は長くは続かない。その日は全日本大学駅伝選考会直前ということもあって、最後の追い込みという意味も込め、強度の高い練習だった。すると、

(…クッ………)

あの、痛みだ。去年の選考会の5000m付近の、一瞬の、僅かな、痛み。気のせいだと思い、慎重に500m程走ってみた。しかし、痛みは更に増幅していく。離れ始め、フォームも崩れてきた。止まった。すぐさま千石が駆けつけ、榊原も心配そうに駆け寄る。

「澪!」

「澪。大丈夫か?すぐ病院行くぞ!」

榊原が言う。

「気にすんな!なんとかするから。」

練習の丁度レスト(休憩)のタイミングで、佐伯が話す。

「2ヶ月。」

監督が言う。

「そうですか…」

病院に、行った。結果は、シンスプリントの再発だった。監督から、

「全治2ヶ月。前よりも骨がくっつくのは早いし、復帰も早い。だが森野、お前が本当の意味で戦える足を取り戻すには、その倍の時間がかかる。自分でもわかってると思うけど、残念だが今回はお前を外す。」

ー俺も所詮、こんなものなのかなぁ...

澪にとって、その空白は、残酷な世の現実を突きつけられているようだった。

澪、まさかの絶望。それでも、残酷なくらいに、時間は過ぎていきます。選考会。そして、皆さん、違和感を感じませんか?その違和感、次回で回収します。

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