第13話 剥き出しの現実
迎えた選考会、果たして結果は?
全日本大学駅伝東海地区選考会。そこにやってきたのは、津凪大学陸上競技部駅伝チームだった。千石によると、出場するのは約10年振りだそう。遡ること1週間前。監督の榊原仁斗から言われた一言は、
「今年の選考会は捨てる」
だった。
「どう言うことですか?」
和輝が抗議するような口調で話すが、榊原は、
「別に手を抜けとは言っていない。全力を尽くすが、勝ち負けに囚われるな。なぜなら、この部には4年生はいない。つまり、お前達は来年があるんだよ。今回はあくまでもその布石だ。メンバーの組み分けは、1組目、森野澪、岳本凱。2組目、谷崎優太、河合和輝。3組目、広岡直博、千石龍矢。4組目、上田隼、佐伯武。ルールは早い順だからセオリーに実績順だ。」
そして、現在ー
アップを終え、澪はスタートの時を待った。アップの感じでは、調子は悪くない。2週間前の10000mの疲労感はほぼない。号砲が鳴った。まずは最初の1000m。そんなに速くはない。今回の目標は、31分台。そこに、最初の1000mは3:07くらい。まずまず良い入りだろう。3000m通過が9:21。キープできている。ちょっと集団から溢れてくる選手も出てきたが、凱もしっかりと着いている。その次の1000mが3:06だった。そして5000m。
『チリッ!……』
わずかな痛みを感じたが、恐らくただの筋肉痛。気のせいだ。100mほど走ると、その違和感は消えていた。この間の1000mは3:15。ちょっと縦長になり、凱と一緒に後方につける。6000m、この間の1000mは3:12。ちょっとペースが上がった。すると、再び痛みが出てきた。左脛だ。先程はどこの違和感か分からなかったが、今回は明らかだった。ただ、なんとか集団から着いていく。7000m、この間の1000mは3:12。粘っていた。しかし、ちょっとその差ができた。着いていけない。動かない。右脚が張っている。右側にに力が入ってしまう。
(ヤバい ヤバい、どうしよう、どうしよう、)
なんとか進んでいる。
『ズキッ……』
止めるわけにはいかない。もし棄権したら、あの日の自分が見たら、どう思うだろう。8000m。この間の1000m、3:25。背後から、別の大学の選手が抜いていく。澪はその時、凱も集団から離されたことに気付いていない。それほどにまで余裕がないのだ。足の出力としては3分ペース以上に速いのに、なのに、30秒近くかかっている。呼吸が苦しい。しかし、それは足より余裕がある。まだいけそうだが、そんな時に、急に呼吸が乱れる。さっきもそうだった。ようやく9000m。3:35。去年、高校3年生だった澪が夏合宿の20キロ走の通過と同じか、もしかするとそれより遅いかもしれない。後ろから、私立の強豪校、神都学園大学のユニフォームに追いつかれ、抜かれた。澪は、周回遅れになったことがほとんどない。あったとしても1回か2回だ。先程から、脚を引きずるような走りになっている。しかし、そんな時、
「澪、残り1周だよ!頑張れ!」
と、声が聞こえる。
『うるせー!頑張ってるわ!』
と思ったが、よく見ると高校の同級生ではないか。そうか、やっと後1周か。体感では、夏合宿の20キロ走くらい時間が掛かっている。しかし、後1周の辛抱。必死に脚を動かす。もう麻痺している。だがそんな事はどうでも良い。15秒を返す為、今は全力で突っ走る。先程まで聞こえていた後ろの足音は遠ざかった。どうやら組最下位は回避したようだ。フィニッシュ地点に倒れ込むような形で通過。ー32:45。苦しい、33分間が、終わった。やっと、終わったのだ。
以上の文章を32:45から、33:45、1000mが3:10、3000m通過が9:21。7000mまで3:17、3:19、3:18、3:18。7000mから8000mまでの1000mが3:35。8000mから9000mまでの1000mが3:50ラストが3:46に変更して
以下は、ご指定のラップタイム(32:45 → 33:45、各1000mの通過変更)に合わせて書き換えた文章です。
ストーリーの流れはそのまま、タイム・描写の整合性だけを調整しています。
アップを終え、澪はスタートの時を待った。アップの感じでは調子は悪くない。2週間前の10000mの疲労感はほぼない。号砲が鳴った。まずは最初の1000m。そこまで速くない。今回の目標は31分台。最初の1000mは3:10前後。悪くない入りだ。
3000m通過は9:21。キープできている。少しずつ集団から溢れていく選手も出てきたが、凱もしっかりと着いている。
4000m、3:17。集団は縦に伸び始めていた。
5000m。『チリッ……』わずかな痛みが走った。恐らくただの筋肉痛。気のせいだ。100mほど走ると違和感は消えた。
この1000mは3:19。まだ耐えられる範囲だ。澪と凱は後方につけながら粘る。
6000m、3:18。再び痛みが出てきた。左脛だ。さっきより明確だ。ただ、まだ集団には着いていける。
7000m、3:18。ここで差ができた。着いていけない。動かない。右脚が張り、右側に無理に力が入ってしまう。
(ヤバい ヤバい、どうしよう、どうしよう、)
なんとか脚を前に運んでいる。
『ズキッ……』
止めるわけにはいかない。棄権したら、あの日の自分に合わせる顔がない。
8000m、3:35。背後から別の大学の選手に抜かれていく。澪は凱が集団から離れたことに気づける余裕すらない。
足の出力としては3分10秒前後の感覚なのに、実際は大幅に遅れている。呼吸は苦しい。しかし、まだ足よりは余裕がある。それなのに急に呼吸が乱れる。さっきと同じだ。
9000m、3:50。去年、高校3年だった夏合宿の20km走の通過と同じか、むしろ遅いかもしれない。後ろから神都学園大学の選手に追いつかれ、あっさり抜かれた。周回遅れになる経験などほとんどない。脚は引きずっている。
そのとき、
「澪、残り1周だよ! 頑張れ!」
と声が飛んだ。
『うるせー! 頑張ってるわ!』と思ったが、見ると高校の同級生だった。
残り1周。体感では夏合宿の20km走ほどの長さに感じる。しかしここまできたら、あと少しの辛抱だ。
必死に脚を振る。もう麻痺しているが、どうでもよかった。15秒を返すため、今は全力で突っ走る。
ラスト1000m、3:46。
先程まで聞こえていた後ろの足音は遠ざかった。どうやら組最下位は回避できたらしい。
フィニッシュ地点に倒れ込むようにゴール。
—33:45。
苦しい33分間が、終わった。やっと、終わったのだ。
いやー、苦しい結果が続きますね。果たしてどうなるか




