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読まれるエンタメ物語のテンプレ集 ~テンプレは悪じゃない!読者の期待を外さない物語の組み立て方~  作者: 夕月 悠里
ファンタジー・SF系でよくあるテンプレ

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49/50

掲示板もの/配信もの

やあ(´・ω・`)


ようこそ、一般人視点のアイデアジャンル「掲示板もの/配信もの」へ。


【速報】なんか普通の冒険者がイレギュラーをソロ討伐してる件wwwww

1:名無しの冒険者 そんなわけないだろ

2:名無しの冒険者 いや、今配信見てるけどマジだぞ……

3:名無しの冒険者 は?


こんなふうに、掲示板のレスやライブ配信のコメントが物語の中に直接登場し、主人公の活躍を見た観測者たちの反応そのものがエンタメになる。それが、掲示板もの/配信ものの基本だ。


なぜ、主人公の活躍を普通に三人称で描写するのではなく、わざわざコメント欄や掲示板の反応を挟むのか?

そこには、一般人がリアルタイムでとんでもない事件を目撃してしまったという、他のジャンルでは出しにくい臨場感がある。読者は主人公の側だけでなく、見ている側、騒いでいる側、考察している側にも入り込める。


テンポのよい会話、短いレス、ネットスラング、勢いのあるツッコミ。そうしたネット文化特有の文体は、まとめサイトや動画の実況コメントを読むような感覚で、読者の脳にダイレクトに情報を流し込むことができる。


今回は、主人公の活躍と大衆の反応を同時に楽しませる「掲示板もの/配信もの」の強さを見ていこう。


◆ ◇ ◇ ◇ ◇


1. 掲示板もの/配信ものとは


掲示板もの/配信ものとは、主人公の行動や冒険が、ライブ配信、動画、匿名掲示板、SNS、まとめスレなどを通じて不特定多数に観測され、その視聴者やスレ住民の反応が物語の重要な構成要素になるジャンルだ。


たとえば、こんな形だ。

・主人公がダンジョン攻略の様子を動画配信し、リアルタイムのコメントが飛び交う

・主人公の偉業が掲示板(5ch風や匿名BBS風)でスレッドにまとめられ、住民が盛り上がる

・Vtuberとして活動する主人公が、配信の企画や事件をきっかけに有名になっていく

・現代ダンジョンもの(現実世界にダンジョンが出現した世界)と配信の組み合わせ


このジャンルの本質は、出来事そのものと、それを見た人々の反応をセットで描くところにある。主人公が何をしたかだけではなく、それを外部の人間がどう受け取ったかまでが物語になる。


読者は主人公の活躍を直接見るだけでなく、それに対する世間の驚きや誤解や考察を通して、主人公の異常性を再確認することができる。


なお掲示板ものと配信ものは近いが、得意な役割は少し違う。


掲示板ものは、事後評価、噂、考察、検証に強い。すでに起きた事件について、スレ住民が映像や証言やログを集め、「あれは何だったのか」と議論する。主人公の正体を考察したり、過去の事件と結びつけたり、アンチとファンが言い争ったりすることで、出来事の意味が広がっていく。


一方、配信ものは、実況、臨場感、バズに強い。主人公が今まさにダンジョンで戦っている。今まさに怪異に遭遇している。今まさにボスを倒そうとしている。その瞬間にコメント欄が流れ、視聴者が「逃げろ」「やばい」「今の見たか」と反応する。読者も視聴者の一員になったような感覚で、その場の空気に参加できる。


実際の作品では、配信と掲示板は併用されることが多い。配信パートでは、主人公の行動とリアルタイムのコメントでライブ感を出す。配信後には掲示板回を挟み、視聴者やスレ民が出来事を整理し、主人公のすごさを解説し、噂を拡散する。


配信が「事件の現場」だとすれば、掲示板は「事件の反響」だ。この二つを組み合わせることで、主人公の影響力が世界へ広がっていく様子を描きやすくなる。


つまり基本ループは、【 主人公の規格外な行動 → 配信でのリアルタイム目撃と熱狂 → 掲示板での考察と大騒ぎ → 主人公の影響力が社会規模で爆発する 】という流れになる。


◆ ◆ ◇ ◇ ◇


2. 掲示板もの/配信もののここがすごい


掲示板もの/配信ものの最大の強みは「大衆からのリアルタイムな驚愕」を描けることにある。


普通の異世界ものやバトルものでは、主人公のすごさに驚くのは、その場にいる数人のキャラクターである。仲間が驚く。敵が焦る。ヒロインが感謝する。それだけでも十分に気持ちいいが、承認のスケールには限界がある。


しかし配信ものでは、その限界が一気に外れる。主人公が誰も倒せなかったダンジョンボスをソロ討伐した瞬間、同時接続数が数万人のコメント欄が「は?」「嘘だろ」「人間じゃない」「これチートでは」「神」「草」で埋め尽くされる。

掲示板では「例の配信者がまたやらかした件」というスレッドが立ち、勢いランキング一位になり、まとめサイトに転載され、SNSでも話題になる。


この大衆の熱狂は、非常に強い承認装置だ。主人公を褒めるのが一人ではなく、何千人、何万人、あるいはネット全体になる。読者は、主人公の偉業が社会的な事件として扱われる様子を見ることで、「これは本当にすごいことなのだ」と実感できる。


また、掲示板やコメント欄は、読者にとって非常に入り込みやすい視点でもある。「今の何?」「やばくない?」「これ絶対おかしいだろ」と反応するスレ民に、自分の感情を重ねられる。主人公のすごさを見た読者自身のツッコミや驚きが、そのまま作中のコメントとして代弁されるんだ。



さらに、このジャンルにはまとめサイトを読む快感がある。ネットで話題になった事件について、掲示板の反応やコメントを追いながら全体像を把握していく。最初は断片的な情報しかないが、少しずつ証言が集まり、映像が貼られ、詳しい人が解説し、真相に近づいていく。この過程そのものが楽しい。掲示板ものは、その快感を小説の中に組み込んでいる。


コメント欄や掲示板には、さまざまな人格を置くことができる。的確な解説をする有識者、何も分かっていない初見勢、主人公を神格化するファン、疑ってかかるアンチ、過去を知る古参、正体を考察する推理勢、ネタに走るミーム係、運営や政府関係者らしき人物。こうした多様な声が混ざることで、世界に大勢の人間が生きているような厚みが出る。


重い情景描写を長々と書かなくても、短いレスの応酬だけで事件のヤバさを伝えられる。このテンポの良さとタイパの高さが、Web小説の連載形式と噛み合っているんだ。


◆ ◆ ◆ ◇ ◇


3. 男女向けの差


掲示板もの/配信ものは、ネットミーム、掲示板文化、攻略実況、炎上、コメント欄のノリなどと結びつきやすいため、基本的には男性向けと相性がいいジャンルだ。


【男性向け:ダンジョン配信、バトル実況、廃人プレイの目撃】

男性向けでは、現代ダンジョン攻略の生配信が分かりやすい。現実世界にダンジョンが出現し、探索者たちは配信を行いながらモンスターと戦う。


主人公は無名の新人配信者として始めるが、規格外の動き、常識外れの戦闘、誰も知らない攻略法によって一気に注目される。コメント欄は「こいつ人間か?」「運営のNPCだろ」「今の避け方おかしい」「初見でそれやる?」と騒ぎ、掲示板では主人公の正体やスキルについて推理合戦が始まる。


VRMMOやゲーム配信でも同じ構造が使える。主人公がソロでレイドボスを倒す。極振りビルドで運営の想定外の攻略をする。初心者のつもりで変なプレイをしていたら、結果的にトップランカーを超えてしまう。視聴者や掲示板民は、主人公の行動を実況し、考察し、騒ぎ、ランキング勢や運営が困惑する。この「廃人プレイや異常行動を大衆が目撃する」快感が、男性向けでは強い。


現代ものでは、Vtuberや配信者として成り上がる型も多い。無名だった主人公が、歌、ゲーム、トーク、企画、炎上対応、コラボをきっかけに人気になっていく。

女性配信者との交流、アンチやユニコーンとの対立、ネット炎上、誹謗中傷、正体バレ、事務所や運営との関係などが物語の軸になりやすい。単なる配信活動ではなく、「ネットの視線の中でどう評価を勝ち取るか」が主題になる。



【女性向け:Vtuber、歌配信、匿名での交流】

一方、女性向けでは、配信や掲示板は恋愛やキャラクター関係を強める舞台装置として使われることが多い。主人公がVtuberとして活動していたり、歌ってみた配信をしていたり、ゲーム実況をしていたりする。あるいは、主人公は配信者ではなく、人気配信者のリスナー、絵師、切り抜き職人、マネージャー、同業者として関わる場合もある。


女性向けでは「推せる」「てぇてぇ」「尊い」といった感情の共有が中心になりやすい。主人公の美声や天然な反応に視聴者が沸く。配信中の何気ないやり取りが、ファンの間でカップリング扱いされる。イケメン配信者とのコラボをきっかけに距離が近づく。


匿名掲示板も、女性向けでは相談や応援スレや推し語り、恋愛のすれ違いコメディとして機能しやすい。主人公を応援するスレに、本人が気づかず降臨してしまう。推し本人が匿名で書き込んでいる。ファンたちが勝手に考察していることが、実は真相に近い。こうした展開は、ネットの匿名性と恋愛のもどかしさをうまく結びつけられる。


◆ ◆ ◆ ◆ ◇


4. どうカスタマイズするか


配信・掲示板ものを自作に落とし込むときは、以下の設計がクオリティを左右する。


■ コメント・レスの書き方

このジャンルの生命線は、掲示板のレスやコメントのリアリティだ。全員が「すごい!」と褒めるだけでは嘘くさい。以下のような人格を設定するとよい。


・すごいです役:主人公の異常行動に「すげえ」「ありえない」と反応する

・解説役:専門知識を持つ掲示板民や視聴者が、主人公のすごさを説明する

・考察勢:正体、能力、過去、所属、目的、攻略法を推理する視聴者

・アンチ勢:主人公を疑う、叩く、チート扱いする、炎上させる層

・古参勢:主人公の過去や前名義を知っている人たち

・初見勢:主人公を初めて見る人たちです。

・運営・管理者勢:ゲーム運営、ダンジョン管理者、神、政府、企業などが主人公の配信を見て困惑する

・ネットミーム係:現実世界でのネットミームを使う

・同業者、仲間:主人公の裏側を暴露したりする


こうした多様な声を書き分けることで、本物のネットコミュニティの空気感が生まれ、読者の没入感が跳ね上がる。



■ 配信か掲示板か、あるいは両方か

配信や掲示板をどのように組み込むかで読み味が変わってくる。


・配信型:リアルタイム性が強く、主人公の行動と視聴者の反応が同時進行する。臨場感に優れる。

・掲示板型:事後的に住民がまとめ、考察、議論する。主人公の偉業を俯瞰的に振り返る機能がある。

・ハイブリッド型:配信中のコメントと、配信後の掲示板スレを交互に描写する。情報量が増え、世界の厚みが出る。



■よくあるパターン

よく使われるパターンも紹介する。


・現代ダンジョン配信型

探索、戦闘、バズ、社会反応が自然に噛み合うため、現在のWeb小説と非常に相性がいい。主人公が高難度ダンジョンへ入り、規格外の戦闘をして、コメント欄と掲示板が爆発する流れが作りやすい。



・主人公無自覚型

主人公は普通に行動しているだけなのに、視聴者や掲示板民が大騒ぎする型。現代ダンジョン、VRMMO、異世界配信、料理、職人、ホラー、学園など、かなり幅広い舞台に使える。本人の認識と視聴者の評価がズレるため、勘違いものの快感も生まれる。



・VRMMO配信型

ゲーム実況・攻略配信として進む型。イベント、極振り、不遇職、運営困惑、掲示板、切り抜き、ランキング、ギルド戦が使える。運営側を困らせるような作品が書ける。



・異世界転移による掲示板、配信型

異世界転移・転生した主人公が、なぜか現代のインターネットと接続出来る型。スマホ、神のチャンネル、魔道具、スキル、世界間通信などで掲示板に書き込んだり配信したりする。



・異世界の掲示板システム型

異世界にも掲示板のようなシステムが有る世界。



・アイドル・芸能・VTuber配信型

歌、ダンス、演技、声優、配信者、VTuber的活動を描く型。現代もので使われる。大抵の場合、アンチや炎上と戦うことになる。


◆ ◆ ◆ ◆ ◆


まとめ


掲示板もの/配信ものは「主人公の行動を、大衆の反応によって増幅する物語」だ。


主人公がすごいことをする。それだけでも物語にはなる。だが、そのすごさを見た視聴者が驚き、掲示板民が騒ぎ、考察勢が分析し、アンチが疑い、ファンが熱狂し、ネット全体がざわつくことで、主人公の行動は単なる個人の活躍ではなく、社会的な事件になる。


このジャンルが読者に与える快感は、リアルタイムで事件を目撃している感覚だ。読者は主人公を応援するだけでなく、コメント欄の一員として驚き、スレ民の一人として考察し、ネットの祭りに参加しているような気分になれる。


重要なのは、コメント欄や掲示板をただの称賛装置にしないことだ。そこには多様な声が必要である。驚く人、疑う人、解説する人、茶化す人、怒る人、推す人、過去を知る人。そうした声が混ざるからこそ、ネット空間にリアリティが生まれ、主人公の偉業が立体的に見える。


配信は、出来事の熱をその場で見せる。

掲示板は、出来事の意味を後から広げる。

この二つをうまく使えば、主人公の一挙手一投足が、世界をざわつかせるエンタメになる。


今回は以上だ、解散!

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