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読まれるエンタメ物語のテンプレ集 ~テンプレは悪じゃない!読者の期待を外さない物語の組み立て方~  作者: 夕月 悠里
ファンタジー・SF系でよくあるテンプレ

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人外転生

やあ(´・ω・`)


ようこそ、人間の縛りを破るためのアイデアジャンル「人外転生」へ。


異世界に転生するなら人間になりたい。普通はそう考えるかもしれない。


だが、あえて人間という枠を捨てることでしか到達できない強烈な面白さと快感が、このジャンルにはあるんだ。エルフや魔族のような亜人、スライムやドラゴンのようなモンスター、果ては剣、ダンジョンコア、自動販売機のような無機物まで。


人間ではないものに転生する。その不自由さと異質さこそが人外転生の武器だ。


なぜ、主人公が人間であることを捨て、魔物や道具になる物語が市場で求められるのか。今回は、枠にとらわれない成長と変化を実装する「人外転生」の強さと、その具体的な組み立て方を見ていこう。


◆ ◇ ◇ ◇ ◇


1. 人外転生とは


人外転生とは、主人公が「人間以外の存在」として生まれ変わり、その種族ならではの能力や制約の中で生き抜いていく物語だ。


普通の異世界転生では、貴族であれ平民であれ、主人公は人間としてスタートすることが多い。だが人外転生では最初からその前提をぶっ壊す。主人公は人間社会の一員ではない。場合によっては、最初から人間に討伐される側として物語が始まる。この時点で物語の視点が根底から変わるんだ。



なお、人外転生は大きく三つに分けられる。



一つ目は、亜人・人型種族への転生。

エルフ、ドワーフ、獣人、魔族、吸血鬼、天使、悪魔など、人間に近い姿や知性を持つ種族に転生する型だ。この場合、人間社会との距離が大きなテーマになる。人間と共存するのか、敵対するのか、差別されるのか、支配する側に回るのか。人間に近いからこそ人間との違いがドラマになる。



二つ目は、モンスター・動植物への転生。

スライム、ゴブリン、クモ、ドラゴン、狼、植物、精霊、魚、鳥などに転生する型だ。この型は弱肉強食のサバイバルと進化がメインになりやすい。最弱から始まり、敵を喰らい、スキルを奪い、上位種へ進化していくRPG的な快感が強い。



三つ目は、無機物・アイテムへの転生

剣、杖、鎧、指輪、本、自動販売機、家、城、ダンジョンコアなどに転生する型だ。自分で自由に動けないという縛りがあるため、誰かに使われる、誰かと契約する、拠点として人を迎え入れるといった「バディもの」や「運営もの」の物語になりやすい。



◆ ◆ ◇ ◇ ◇


2. 人外転生のここがすごい


人外転生が面白い理由はいくつかある。



【人間社会の常識と倫理からの解放】

人間の主人公には、人間社会の倫理や常識がつきまとう。


殺してはいけない。人を食べてはいけない。群れで暮らさなければならない。法律や身分制度の中で動かなければならない。


だが人外であればその前提が揺らぐ。


主人公がモンスターなら、弱肉強食の世界に放り込まれる。

主人公が獣なら、縄張りや群れの感覚で世界を見る。

主人公が植物なら、動けない代わりに根を張り環境を変えていく。

主人公が魔剣なら、自分の意志だけでは戦えず使い手を導く必要がある。


このように、人外転生では視点そのものが変わる。人間だった時には当たり前だったことが、当たり前ではなくなる。食べること、話すこと、歩くこと、誰かに触れること。そうした基本動作さえ、物語の見せ場になる。


また、人外であるため人間社会のしがらみから離れやすい。魔物として人間に敵対することもできる。

人間の倫理を持ったまま魔物として生きるギャップも描ける。逆に、少しずつ魔物の本能や種族の価値観に染まっていくダークな展開も可能になる。



【成長が目に見えやすい】

人間の主人公が修行して強くなる展開も悪くない。だが、亜人以外のパターンの人外転生では成長をもっと分かりやすく見せられる。


スライムが上位種に進化する。

クモが巨大な魔蜘蛛になる。

小竜が竜へ成長する。

弱い精霊が精霊王になる。

ゴブリンが進化して魔王候補になる。


姿が変わり、新たなスキルツリーが解放され、ステータスが跳ね上がる。読者は主人公と一緒に「次はどんな進化をするのか?」「どのレアスキルを取るのか?」という育成ゲーム特有のお約束を味わえる。ポケモンやデジモンで育った現代の読者にとって、この進化のワクワク感は共通言語なんだ。



【無機物における縛りプレイ】

さらに無機物転生の場合は、できないことが面白さになる。


動けない。

喋れない。

手足がない。

自分で攻撃できない。

誰かに拾われなければ始まらない。


限られた行動だけで、どうやって危機を乗り越え意思疎通を図るのか。この不便さこそが無機物転生の持ち味になる。


◆ ◆ ◆ ◇ ◇


3. 男女向けの差


人外転生は男性向けと女性向けでかなり読み味が変わる。


【男性向け:最弱からの進化と魔物側の成り上がり】

男性向けでは、スライムやゴブリンといった圧倒的最弱からスタートするパターンが王道だ。最初は野犬や虫にすら命を脅かされる。そこから知恵と現代知識によって進化を重ね成り上がっていく。


ここでの快感は、最弱から最強への成長だ。この構造は、サバイバル、ダンジョン攻略、成り上がり、建国ものと相性がいい。


男性向けでは、人外転生が「進化による無双」と「魔物側からの覇道」に接続しやすい。



【女性向け:最初から最強、もふもふ、聖獣、愛される人外】

一方、女性向けでは過酷なサバイバルはあまり好まれない。最初から最強種のフェンリルや子竜、あるいはもふもふの小動物(聖獣・精霊獣)に転生する型が強い。


こちらでは、過酷な弱肉強食よりも、「愛されること」「守られること」「癒やしになること」がメインになりやすい。


冷酷な皇帝や最強の騎士に拾われ、人間の言葉が話せないまま「もふもふ」として溺愛される。しかし実は主人公は規格外の力を持つ聖獣であり、いざという時はその力で彼らを助ける。


強さは外界の支配ではなく、安全な居場所の確保と癒やしのために使われる。


◆ ◆ ◆ ◆ ◇


4. どうカスタマイズするか


人外転生を作るときは、まず次の要素を決めるとよい。


■種族を決める

最初に、主人公が何になるのかを決める。


・人間に近い亜人

・モンスター

・獣や魔獣

・虫や魚や鳥

・植物

・精霊や妖精

・ダンジョンコア

・武器や道具

・家、城、船、本、自動販売機などの無機物


種族によって、物語の方向が大きく変わる。人型に近いほど、人間社会との関わりを描きやすい。モンスターに近いほど、サバイバルと進化が強くなる。無機物に近いほど、制約とバディ関係が重要になる。



■ 人間との距離感

人間とどう関わるのかも決める必要がある。

・敵対ルート:人類の敵、あるいは魔王として人間国と戦争する。魔物側の視点から人間の侵略や討伐を見ることができる。

・共存ルート:魔物の身でありながら冒険者になったり、人間を保護して街を作ったりする。冒険者になる、村を守る、街を作る、人間を保護するなどの展開ができる。

・従魔ルート:強力な人間の使い魔や武器となり、相棒として活躍する。バディもの、育成もの、溺愛ものに向いている。



■ 進化のシステムと方向性

ただ強くなるだけでなく、どんな姿になるのかのワクワク感を持たせることが重要だ。特化型(魔法特化、物理特化)の分岐や、特定の条件を満たしたときだけ現れる隠し進化ルートなど、ゲーム的なシステムを精緻に作り込むほど、読者の育成欲求を刺激できる。



■ コミュニケーションの制限

特に序盤や魔物、無機物では、人間の言葉を話せないことが多い。念話が使えるようになるまで、どうやって意思疎通を図るのか。このもどかしさがキャラクターの可愛げや、ユニークなトラブルを生み出すスパイスになる。



■人間性を維持するか、失うかを決める

最後に、主人公がどこまで人間の感覚を保つのかを決める。


軽いコメディにするなら、人間性を維持したほうが読みやすい。身体はスライムだが、中身は現代人というギャップで笑いを作れる。


シリアスにするなら、本能や寿命差によって人間性が揺らぐ展開が向いている。

捕食に抵抗がなくなる。

群れや縄張りの感覚が強くなる。

人間社会の倫理がだんだん遠ざかる。


また、人間形態になるかどうかも重要だ。人化すれば人間社会や恋愛に入りやすくなる。


しかし、人外であることが売りの作品では、人化によって魅力が弱まる場合もある。安易な人化を嫌う層もいる。読者が「人外のままの面白さ」を求めているのか、「最終的には人間に近づくこと」を求めているのかを考えて人化させるかは決めたい。



【よくある組み合わせ】


・弱小生物、モンスター転生

スライム、ゴブリン、コボルト、蜘蛛、虫、小動物、低級アンデッドなど、最弱クラスの存在に転生する型。


最大の魅力は、底辺からの進化と成長だ。最初は人間どころか、野犬や虫にも負けるような存在から始まる。捕食、経験値、スキル獲得、進化を重ねて強くなる流れが作れる。向いている展開は、サバイバル、ダンジョン攻略、進化ツリー、弱肉強食、魔物社会への適応だ。



・味方亜人転生

エルフ、ドワーフ、獣人、天使、神族など、人型で人間社会と共存しやすい種族に転生する型だ。


人間に近いため、人間社会や恋愛、職業ものに入りやすい。その一方で、寿命差、種族差、文化差を描ける。向いている展開は、長命種としての孤独、職人技、森や山の暮らし、人間との交流である。



・敵対亜人転生

ゴブリン、オーク、吸血鬼、魔族、悪魔など、人型だが人間社会から敵視される種族に転生する型だ。


強みは、人間らしい行動ができる一方で、差別や敵対のドラマを作れることだ。魔物側の視点から、人間の侵略や討伐を描ける。向いている展開は、部族改革、文明化、魔物村の発展、人間との和平、種族差別への反発。



・もふもふ聖獣・愛されバディ型(狼、狐、小竜など):

戦闘能力は高いが、愛らしい姿で最強の人間(騎士や王族)に拾われる。言葉の通じないもどかしさと、無条件の溺愛を描く。女性向けや癒やし・スローライフと極めて相性がいい。



・精霊・妖精転生

火、水、風、土、光、闇などの精霊や、妖精、小人、ピクシーに転生する型。


強みは、自然や魔法体系と強く結びつけられることだ。契約、加護、属性、森、泉、世界樹などと相性がいい。向いている展開は、契約者探し、人間に見えない存在としての観察、森の守護、精霊王への成長、魔法使いとの絆。



・植物転生

木、草、花、世界樹、マンドラゴラ、食人植物、薬草、森そのものに転生する型。


動けない代わりに、根を張る、光合成する、実をつける、森を広げる、精霊や動物を呼ぶといった展開ができる。向いている展開は、森の育成、拠点防衛、薬草として人を救う、世界樹化、動物や妖精との共生だ。



・魚・海洋生物転生

魚、イルカ、鯨、鮫、深海生物、海竜、クラーケンなどに転生する型だ。


強みは、海という舞台を使えることだ。陸上ファンタジーとは違い、探索、捕食、深海、海底都市、海神、船との遭遇を描ける。向いている展開は、海中サバイバル、海洋ダンジョン、船乗りとの交流、人魚や海神との関係、怪物化。



・鳥・飛行生物転生

鳥、鷹、カラス、フェニックス、グリフォン、ワイバーンなどに転生する型。


強みは、空から世界を見る視点だ。偵察、移動、巣作り、空中戦、卵からの成長などが使える。向いている展開は、空の支配者、偵察役、騎獣としてテイムされるなどの話。



・ダンジョンコア転生

ダンジョンの核や管理者に転生する型。


強みは、経営、防衛、育成、罠作りができることだ。モンスター配置、資源管理、冒険者誘導、拠点防衛など、ゲーム的な要素が強い。向いている展開は、ダンジョン運営、魔物育成、冒険者との駆け引き、町との共存、ダンジョン国家化である。



・魔剣・聖剣・武器転生

剣、槍、杖、鎧、指輪、魔導具などのアイテムに転生する型。


強みは、使い手とのバディ関係だ。自分では動けないが、持ち主を導き、育て、守る展開ができる。向いている展開は、持ち主育成、呪いの武器として恐れられる、聖剣として勇者を選ぶ、鍛冶師との関係、使い手の交代。



・無機物転生

石、岩、宝石、家、城、船、指輪、本、鏡、自動販売機など、人外というより物体そのものに転生する型。


強みは、制約が強いぶん発想が立つことだ。動けない。話せない。手足がない。その不便さをどう乗り越えるかが面白い。向いている展開は、持ち主を導く、拠点化する、都市や城として人を守る、神具として信仰される話。



◆ ◆ ◆ ◆ ◆


まとめ


人外転生の本質は、人間の枠を越えた視点と人間ではない身体から生まれる制約の面白さだ。


主人公が人間でなくなることで、普通の異世界転生では絶対に出せない視点とルールが生まれる。魔物なら弱肉強食の世界を。無機物ならバディとの共依存を。大事なのは奇抜な姿にすることではなく、「その姿だからこそ、何ができて、何ができないのか」というルールをハッキリさせることだ。


人間でないからこそ見える世界があり、人間でないから書けるテーマがある。それが、人外転生というテンプレの圧倒的な強さなんだ。


今回は以上だ、解散!

【参考】

人外転生(ピクシブ百科事典)

https://dic.pixiv.net/a/%E4%BA%BA%E5%A4%96%E8%BB%A2%E7%94%9F

無機物転生(ピクシブ百科事典)

https://dic.pixiv.net/a/%E7%84%A1%E6%A9%9F%E7%89%A9%E8%BB%A2%E7%94%9F

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