第16話 神代桔梗の試験が始まる
「ん、もう朝か。《全知》で調べ物してたら時間かかっちゃたな。」
最近《全知》を使ってなかったから、たまりにたまった好奇心を発散していた。
その結果、かなりの知識を得て、他のスキルで使える技が増えた。幼女になっているとわかったときはどうなるかと思ったけど、これなら生きていけるな。
「千冬起きろ。試験に遅れるぞ。」
「ふぇ、もう朝?」
我が妹は異様に朝に弱い。それは前世から同じで体が変わった影響ではない。
「仕方ないな、スキル発動《知識顕現》。」
俺は目覚まし時計を作って、1秒後にセットする。母さんが千冬を起こすのに使ってた手のひとつだ。
「ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリ!」
「うるさい!全く、目が覚めちゃったでしょ。」
「そんなことより試験だ。遅れて冒険者になれなくなったらどうすんだ。」
しまった!と千冬は言って、着替え始めた。
俺も千冬が買ってきた寝巻きを脱ぎ捨てて、いつもの防具とローブを着る。
「行くよ千冬。」
「待ってまだ着替えてない!」
◇
「よく来てくれました桔梗さま、千冬様。試験会場はこちらです。」
受付嬢さんは隣の部屋に俺たちを連れてって、そそくさと戻ってしまった。
この部屋には試験官らしき男が4名と、受験者が俺たちを含めて7人いた。
「これより試験を開始する。まずはステータスを調べる。申し込み用紙より劣っていた場合は即失格である。」
なるほど、実際よりも自分を高く書いていないかを確認するのか。
「まずはレイ・アートラスミ。この水晶にさわれ。」
レイと呼ばれた男は、試験官の命令にしたがって水晶に触れる。
すると文字が浮かび上がり、それを試験官のひとりが見ると、さっきまで話していた男に伝える。
「なに、わかった。レイ・アートラスミ、スキルが実際より多く書いたことが発覚した。失格!」
おいおい、いきなり不正発覚かよ。
「次、神代桔梗。」
「お、俺の番か。」
俺は水晶に手を触れる。
「なるほど。神代桔梗、なぜお前は過小評価して申し込み用紙を書いた?」
「へ、過小評価?俺は真実を書いたぞ。」
「嘘をつけ、申し込み用紙よりかなりスキル熟練度が違うぞ。」
あ、そういえばあれから結構スキル使ったな。それでか。
「それになんだそのローブは?顔を隠さなくても大丈夫だぞ。」
「本当か?顔を見た瞬間失格とかないよな?」
俺はこれでも10歳だ。冒険者の平均年齢は24歳、あまりにも差がある。
「ない、安心しろ。」
ならよかった。ローブを買った金が無駄になったかもな。
俺はローブのフードを外す。
「な、こんなガキが冒険者候補だと・・・」
おい、今さら失格にされたら困るぞ。
「しかし主任、腕力と防御力以外は《第4階》冒険者のステータスに相当します。それにこのスキル、第2試験にまわしても問題ないと思われます。」
お、この人は見た目に惑わされないタイプだ。
この人がいれば見た目で落とされることはないだろうな。
「わかった。神代桔梗、第1試験通過を認める。」
よっしゃあ、次は実技の試験だな。
そのあと千冬が呼ばれたが、俺は次の部屋に通されたから、千冬の試験を見ることはできない。




