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絶響機動シャウティア-Over the Universe- 【A】  作者: 七々八夕
Ⅲ《変えられた》未来
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第21話「誓いの二人」:A1

「クソッタレ……!」


 悪態をつきながら、ゼライドがまた一機エイグを撃退する。

 それ自体は大した労力は要さないが、如何せん数が多すぎる上、まるで獣を相手にしているかのようなのだ。

 赤く光る双眸や、野性的で不規則な機動がよりそう思わせる。


 なにより、浮遊したまま怪しい光を放つばかりで動かないルーフェンが常に気がかりであった。

 一度姿を消せば次に何が起こるか分からない以上、常に気を配る必要があり、無駄な消耗を強いられている。


(イアル、通信は!?)

『駄目です、どれも通じません。ファイド・クラウドに逃がす気はないようです』

(つうか、この勢いはPLACEを潰すついでに見えるな……!)


 多数のエイグはそのすべてがブリュードの二人を狙っているわけではなく、そのまま共通の目的地を目指しているように見える。

 PLACEの前線基地がどこにあるのかは不明だが、ファイドは把握していても不思議ではない。


(てこたァ、ほっときゃ勝手にPLACEと三つ巴になるか?)

『それまでに彼女のルーフェンが動かないことが前提になりますが……』

(……なんで動かねえんだ、アイツ?)


 また一機蹴飛ばしながら、ルーフェンを一瞥するゼライド。

 出撃した以上は、何か目的があるはずなのだが。

 まさか、ただの威圧ということはないだろう。

 その気になれば、次の瞬間には自分たちを粉々にもできるはず――怪訝さを強めた矢先、脳内のレーダーと視線の先からルーフェンが消えた。


「ッ!!」


 反射的に、ゼライドの全神経が警戒心を強めた。

 どこから来るのか、雑兵を蹴散らしながら感覚を研ぎ澄ませる。

 しかし、いつまで経っても攻撃される様子はない。

 自身だけが高速で移動しているというのならば、何秒も事が起きないのはおかしい。

 考えられるのは、ただ一つ。


(……ボウズのところに――!?)


 刹那、空中で何かが爆発した。

 否、衝突が何倍ものエネルギーとなって伝播したのだ。

 そして、そこにいたエイグすべての体勢を強制的に崩し、何が起きたのだと目を奪わせる。




「――ァァァァァアアアアアアウトォォォォォォォ――――――ッ!!!!!」




 徐に、ピントを合わせるように。

 金属を摩擦するような甲高い音が、聞き慣れた少年の絶叫に変わっていく。




 そこにあったのは、ぶつかりあう翡翠色と至極色の炎。

 二つの『紅蓮』が、想いの花弁を散らしながらそこに咲いていた。





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