第十三話:揺れる決意
夜の高台。街の灯が下に広がり、風が揺れる木々の音だけが響く。
「……このままでいいのかな」
そう呟いたのは、灯織。彼女の目は遠くの光を見つめていた。
彼女の姉・綾は、かつてバリバリのキャリアウーマンだった。だが、夫の浮気を許せずにいたが、子供の将来を思い悩み、離婚に踏み切れずにいた。
「家族の形って、誰かが我慢するものでしかないの?」
綾の問いが脳裏に蘇る。灯織は言葉に詰まり、何も返せなかった。
その夜、輝夜と満流は新たな悪鬼の気配を追い、廃ビルへと足を踏み入れる。
「ここ、ずいぶんと……生活感がある。」
落書き、残されたベビー用品。ここは元・シェルターだった場所。そこに巣食う影があった。
「家を守る……家族を守る……全部、私が……」
影が発した声。それは狂気の母親の想念。
悪鬼は女性の形を保ちながら、腕が異様に長く、腕を上げた瞬間、鉄骨をなぎ払ってきた。
「───────来るよ!」
輝夜が飛び、悪鬼の攻撃を受け流しながら斬撃を放つも、影は鋼鉄のような皮膚に阻まれる。
満流が符を放つと、空間が歪み、悪鬼の過去がフラッシュバックのように浮かび上がる。
浮かぶのは、パートと育児と家事に追われ、無言でスマホをいじる夫と、泣き叫ぶ幼児。
「全部……私の責任だって……誰も言ってくれなかった……!」
悪鬼の絶叫に、輝夜の胸が締めつけられる。
(……母さんも、こんな風に思ってたのかな)
輝夜は揺れ崩れそうな心を引き締めるために、グッと目を瞑って拳を握り
「責任を押し付けられるだけの“家族”なら、そんなもの斬ってやる!」
と叫び、影食い刀を抜いた!!
輝夜の一閃が、影の一部を切り裂いた。だが、悪鬼の叫びは止まらない。
「守りたかっただけなのに……私が壊れてしまっただけなのに……。」
その時、灯織が前に出た。
「それでも、あなたはっ!間違ってなんかない!」
彼女の言葉に、影が一瞬だけ揺らぐ。
灯織が影に手を伸ばす。今度は静かに諭すように言葉を放つ………。
「家族は、誰かひとりが犠牲になるものじゃない……一緒に歩くものなんだよ。」
灯織の心のこもった言葉を受けた悪鬼の目に、一筋の涙が浮かぶ。影がほどけ、かつての女性の姿が浮かぶ。笑顔の、優しげな母の姿。
彼女は静かに光に溶けていった。
──────今回彼女の心を救ったのは灯織さんの心のこもった言葉だったのね───────
輝夜は心の中で呟いた。
帰り道、満流がぽつりと呟く。
「俺もさ……母さんが倒れて、全部抱え込んで……でも言えなかった。姉貴に頼れなかった。」
輝夜がそっと彼を見る。
「言えばよかったのに。」
「……お前が、そう言ってくれるだけで、少しは救われる。」
彼の笑みに、輝夜はふっと微笑んだ。
灯織は遠くを見つめながら、姉にLINEを打った。
『今度、二人で話そう。私の話も、聞いてほしい。』
それぞれの夜に、微かな光が射し始めていた。
ご覧下さりありがとうございました。AIノベルです。いつもの作品と読み比べて頂くと面白いかもしれません。




