改革
誤字修正しました<(_ _)>
―――第4王子宮
「そう言えば、例の宿題の件だが。スオウから順調だと言う返事が来た」
そのことをスザナに伝えればスザナがぱあぁっと表情を輝かせる。
「政策が安定したら予定通り、孤児院訪問なども視野に入れていくことになる」
その訪問にはスザナの他俺とハスキも同行することになっている。ハスキは孤児院で子どもたちと遊んだり、文字の読み書きを教えたりすることをとても楽しみにしている。
「わかりました!全てお兄さまのおかげです!」
「そんなことはない。スザナががんばったからだ」
そう言い、スザナの頭をなでてやる。
「お兄さま!」
ふふふっ。スザナの懐き度も順調なようだ。スオウから指摘のあった細かい点の修正をスザナに命じれば、早速処理を始める。しかし今回の“宿題”の件にはスザナには知らせていない事実があったりする。
表向きは孤児院経営の全体改革だ。孤児院経営については国と教会が中心となって行っているものの、近年の腐敗はすごかった。道徳教育や読み書き、計算など基本的な教育をおろそかにし、教会付属の孤児院以外では単なる労働力として扱い、教会の孤児院でも異種族の血が混じった子どもを差別するなどと言った行為が頻繁に行われてきたらしい。
そこで、孤児院経営については国営とし、国が一括で管理することになった。教会の孤児院についてはあくまでも委託事業だ。正式な命令権は国にあり、不当なことをしていれば国が介入し徹底的に改革、場合によっては不正不適切な処置について罰則を与えられる。あくまでも教会内のことだから国は介入不可、などと言うふざけた意見は一蹴した。
ついでにシャルルたちのことを拒否した教会については人事を一新。分け隔てなく子どもたちに接し、地域のために役立つ人材を投入。教育面についても定期的に監査を入れて強化する体制を整えた。
ここまでは普通の改革。スザナが俺から与えられた宿題を無事にこなした成果だ。
しかしながら世の中きれいごとだけでは済まされない。その闇の部分については俺たちの仕事である。
まず、悪質な孤児院の改革から始めた。先王の署名・印のある命令書を突き付けたところ、悪質な孤児院のガラの悪い職員やあくどい職員たちはふたつ返事で子どもたちを俺たちに売った。報酬はたんまり与えてやり、孤児院の子どもたちを回収。
しめしめと金に夢中になっていた職員どもを第3王子・レオン率いる騎士団が一斉摘発。罪状は子どもたちの人身売買容疑。
この世界には少なからず奴隷と言うものも存在しているがさすがに国営で運営されている孤児院の子どもたちを勝手に売っぱらうのは犯罪だ。やつらは本物の先王の署名と印に見事に騙された。
地方組の部下たちにはその写しとして魔法文書で転送してあるからまさに全国一斉摘発。騎士団の手が回らないところについては騎士団了承の上俺の部下たちが騎士団に扮して摘発した。
悪質な彼らは騙されたと主張しているそうだが、それでも犯罪は犯罪。きっちりとオシオキを加えてある。無事騎士団に引き渡されて牢屋に連行された彼らの心底救われた顔を見たレオンから微妙な一瞥を向けられ大満足の成果だった。
因みにこちらで買い取った、―――いや保護した子どもたちは新しい孤児院にお引越しさせた。場合によっては教会付属の孤児院を一新させて拡張したり、まともな国営孤児院の場合は新たに設備の整った孤児院を提供したりした。もちろん人事の一新も込みで。
魔物の国の技術提供を受け、魔法を使ってフルスピードで改築したためとてもスピーディーに解決した。ついでに人身売買や孤児院の腐敗については“命令書”の存在も相成って全て先王の悪行のひとつとし、今回の一斉摘発は新王の手柄、更に改革については第5王子・スザナの功績とした。
これにより、新王・スオウは更に国民たちから支持を得、母親の身分の低さから注目もされていなかった第5王子・スザナの名も国民や関係者に広く知れ渡ることになる。
スザナとハスキには新王・スオウと共に善の部分を担ってもらわねばな。そのためにこの国の悪の部分を担う俺の管轄があるのだが。スオウとハスキには知らせまい。真なる溺愛ルートを探求するものとしてこういった裏工作は溺愛対象には伏せておくことがセオリーであろう。
※あくまでもイザナの個人的な所見です。
「孤児院訪問、楽しみです!」
「私も改革が成されて嬉しいですよ、ハスキさま」
そしてその話をスザナから聞いて喜ぶハスキ、それに応える孤児院育ちのシャルル。
孤児院訪問をとても楽しみにしているハスキは、―――やっぱりめっちゃかわいい。




