第22話・T「悲哀の覚悟」
妹紅が……離反……!?
……どういう事よ……!
私達は驚きを隠せなかった。
ヘカーティア「ね、ねえ。それ、ホントなの……!?」
諏訪子「……妹紅ね、急に人が変わったみたいに、氷華と永遠に戦いたい、この世界がどうなっても知らないって。」
ヘカーティア「……そうなの。」
……やるしかないわね。
ヘカーティア「……皆、準備は良い?」
藍「……妹紅……!」
雷鼓「とりあえず殺さない程度に殺れば良いんでしょ?」
ヘカーティア「いや、彼女は今は死なないわ。だから、思いっきり殺って頂戴。」
雷鼓「よし、動けなくさせてやるわ。」
隠岐奈「……敢えて突っ込まないでおこう。……しかし、突然離反か。……苦しいな。」
諏訪子「……うん。でも、やらなくちゃ。妹紅に全てを焼き尽くされてしまうから。」
……準備万端の様ね。
ヘカーティア「さあ、行くわよ。妹紅の目を覚ましてやりましょう。」
私がそう言って、妹紅のいる場所へと向かおうとした時だった。
氷華A「……待ってくれ。」
突然私の横へ、氷華が現れた。
ヘカーティア「……何?」
氷華A「……私も協力しよう。」
その言葉に、空気が騒めいた。
藍「え……?」
雷鼓「さっきまで敵対してたのに、急に協力なんてねえ。」
隠岐奈「……だが、この世界を破壊されるのは氷華にとっても不都合なのだろう。ここは受け入れてやろう。」
……隠岐奈の言う通りね。ここは氷華が創り出した世界だろうから、それを壊されるのは阻止したい。私達も、ここから出られずにこのまま野垂れ死ぬのはゴメンね。
ヘカーティア「……仕方ないわね。氷華、協力感謝するわ。」
氷華A「ああ。……だが、いきなり協力と言っても信じるのには無理があるかもしれない。だから、私はお前達の能力を開放する。」
藍・雷鼓「「!!」」
隠岐奈「ほう。」
ヘカーティア「……それってさ、今貴方の元にある私の能力も返ってくるわけでしょ?」
氷華A「無論だ。」
ヘカーティア「……と言うことは、地球と月の私は、現れた途端に妹紅の業火に晒されると言う事かしら?貴方が他の私と入れ替わったように。」
氷華A「……そうなるな。」
藍「それって……!」
雷鼓「やっぱり何だかんだ言って私達を倒そうとしてるんじゃ無いの?」
……それは無いわね。
ヘカーティア「……私がそんな簡単にやられると思って?」
藍・雷鼓「「……思わない。」」
氷華A「お前の膂力も元通りだ。それなら、業火なんて生温いだろう。」
ヘカーティア「何か上から目線なのがアレだけど……まあ、その通りね。」
氷華A「……さて、能力を開放しよう。」
氷華はそう言うと、黒い水晶玉を掲げた。そしてそこから、白い光が解き放たれる。その光を浴びた時、力が戻って来るのを感じた。
氷華「これで開放完了だ。」
藍「……確かに、力が戻って来た様な気がするな。」
雷鼓「私もよ。今なら演奏で皆の心を……って、そんな事言ってる場合じゃ無いわね。」
狐は、倒れている吸血鬼の元へ向かった。
藍「……フラン、立てるか?」
フランドール「……ええ、もう大丈夫よ。」
藍「……話は聞いていたか?」
フランドール「バッチリよ。裏切り者の妹紅をドカーンすればいいんでしょ。」
藍「……ああ……頼むぞ。」
狐は、何処か苦しそうだった。
隠岐奈が、扉を開けているのが見えた。
隠岐奈「よし、開けた!……実を言えばここから外に出られるが、そんな事をすれば非道の極みだからな。……だが、少しだけ時間をくれないか?」
ヘカーティア「何をするの?」
隠岐奈「っと、ちょっと待った。氷華よ。」
氷華「何だ?」
隠岐奈「お前が奪った全員の能力が戻ったのか?」
氷華「ああそうだ。……藤原妹紅の能力もな。……済まない、局所的に開放する事は出来ないのだ。」
隠岐奈「成る程な。気にするな。さて、私はあの妖怪を連れ戻すとしよう。」
ヘカーティア「あの妖怪?」
藍「……ああ、あの妖怪ですか。……確かに、能力が戻ってるのなら、危険性はあまり無いですね。多分。」
雷鼓「……そうなの?あの時は相当凶悪だったけど。」
藍「完全憑依異変の時、紫様の手助けをした時に見たあの妖怪は、何というか、何を考えているのか分からなかった。ただ、うずくまってたあの時と違って、むしろそこら中をほっつき歩いている様だったよ。」
雷鼓「へえ、なら大丈夫……なのかな?」
隠岐奈「まあ、いざとなれば私がまた封じるさ。さて、行ってくるぞ。」
ヘカーティア「ええ、出来るだけ早めにね。……さて、諏訪子。」
私は悲しそうにしている諏訪子を見る。
諏訪子「……?」
ヘカーティア「……辛いだろうけど、頑張ってね。この戦いが終われば、きっと帰れるわ。」
諏訪子「……うん。」
諏訪子は元気の無い、しかし、覚悟を決めた声で返事をした。
……妹紅。覚悟は良いわね。
続く




