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《スキル:焚き火》しか使えない僕、焚き火目当てで最強クランのお兄ちゃんお姉ちゃんに囲まれる  作者: 柴田


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焚き火と僕!

僕はいつものようにコンビニから帰り、階段を登る。袋にはポテチとコーラ、気付けば簡単にご飯を済ませてしまう。料理をしようにもガスはとうに止められてる。


階段を登った先にはポスト、僕はそれを見ないようにドアへ向かう。


だけど、チラッと見えちゃった。


赤色の、見てくれと言わんばかりの市からの手紙。

ため息をつくと、取り出す。

裏返すと難しい漢字が並んだ封筒と、近所のお店の広告用紙。


「ママかパパにまたお願いしなきゃ…。」


僕はそのまま『広告以外捨てるな』と書いてあるゴミ箱へ、ポイッと投げる。


最後まで見届けず、ドアへ向かう。


一歩進んだ瞬間、何かがひらりと視界の端を横切った。


「うわっ」


僕の足は着地位置を定め損ない、思いもよらない方向へツルッとスライドする。


変にバランスを取ろうとしても無駄だった。


ガンッ。


後頭部に強い衝撃。


無駄にでかいポストは僕の荷重を受け止めて、なんとか変な格好まま、転ばずに済んだ。

目頭がジーンと熱くなる。


「いったぁー!あぶなかっ――」


バキバキッ


「った??」


音と共に、気づいたら頭から階段へ落ちていた。


「助けっっ。」


僕は怖くなっておもいっきり目をギュッと瞑り次の瞬間に来る衝撃に……。


(あれ?何も…起きない?)


そっと目を開ける。


不思議だった僕の目の前に、僕がいる。

でもその僕は虚な目をしていて、頭の後ろからは血が広がってる。


(僕……死んだ?)


視界が真っ暗になった。


――――――


(…………ここは?僕はいったいどうなって)


近くの工場からくる嫌な匂いがない。

その代わりに、そよ風に運ばれて土と木の匂いがする。

鈴虫のような鳴き声と、木々の揺れる音。


「うわっ!」


僕は目を覚ました。さっきまでの事が脳裏に浮かぶ半ばパニックになりながら起き上がるった。


辺り一帯は森だった。


日差しを遮るほど木々が鬱蒼と茂っている。


すると、


ブー、ブー。


尻の辺りから振動を感じた。


スマホのバイブだ。


(きっとママからだ!)


何が起きてるかわからなかった。でも、話せばなんとかなるかも。


僕はポケットからスマホを取り出し、画面を見る。


――――――――――


    着信  神


   出ろ   出ろ


――――――――――


「な、なんで?出ろしかないじゃん……。神?」


僕はそっと画面をタップする。


「あ……し……も」


聞き取れない。


スピーカーにする。


「聞こえる? 神だよ」


「神? あ、ええ?」

「まずね君、死んだよ。そんで悪いんだけどさぁ、転生ポイント他の人に使いすぎてもう残り少なくてさぁ、10ptぶん振り込んだから確認してちょ。じゃあねー」


ブツッ。


「…………………」



待って僕…死んだ?転生ポイント?

パパが置いていったタブレットで見たアニメと同じことを言ってる確かにそっくりな感じだった。でも羽の生えたお姉さんとか髭の生えたおじいさんがやり方教えてくれたりするんじゃないの!?。

再度周りを見渡す。

「誰か……」


バタバタッと、鳥が驚いて木々の間から飛び出した。

心臓が高鳴る。

店で迷子になった時みたいな心細さが一気に押し寄せてくる。


とりあえずスマホを意味もなく横へスライドする。


ダメだ。怖いし落ち着けない。


でも知ってることもある。よくアニメで見た主人公が唱えると出るやつだ。


「す、スキル」


すると突然、視界いっぱいに半透明の画面が広がった。


――――――――――


【SKILL】


三毛 Lv.1

所持ポイント:10pt


ファイヤーボール 1000pt

 └ 派生:神炎


アクアジェット 1000pt

 └ 派生:海獄


フリーズスラッシュ 1000pt

 └ 派生:氷永


【EMOTE】土下座      10pt

     勝ち誇る     10pt


     焚き火      10pt


         1 / 2 次へ


――――――――――


「読めない文字もあるけどファイヤボール1000…10しかないや」


下の10ptに目を向ける

(どげざ…何に使うの?かちなんだろう?

あっ)

知ってる…これも動画で見たことがあるやつだ。

最初は小さな火から大きくしてお姉さんがその火で楽しそうにお肉焼いたりしてた。

使えそうな『焚き火』を押す。


すると、どこからともなく声が響いた。


《スキル『焚き火 Lv.1』を習得しました》


「うわ!?びっくり」

今度は手をかざしてみる。

脳裏では完全に必殺技を出す主人公だった。

「よし。じゃあスキル発動――焚き火!」


…………。


「あぁ、自分でやるんだね、はいはい」


まるで広告ゲームのナビみたいだ、いくつか矢印が視界に浮かぶ。


一つは鳥の巣。

もう一つは木の根元を指している。

近づいてみると、樹皮が削れ、木くずが落ちていた。

偏った知識が頭をよぎる。

動物が爪を研いだのか、牙を――いや、よそう。


前に見たサバイバル系の動画を思い出し、見よう見まねで燃えやすそうな木くずや枯れ草を集めた。

確か….…火口って言ってた。

ついでに薪になりそうな枝も大量に用意する。


問題は火だ。


手元を見つめる。

まさか、あれをやらないといけないのかな?

木を擦り合わせて、摩擦で……。


すると、小さな文字が浮かんだ。


《スキル『焚き火』を使用しますか?》


多分だけどこのスキルに火口がないと使用できないんだ…

再び手をかざす。

『はい』!


ボンッ!


手元が一瞬光り、熱が頬を撫でた。


「うおおおおおお! 魔法だ!!!」


僕は興奮した。


初めての魔法


(やっぱ異世界に来たんだ!異世界って楽しい!)

すぐに薪をくべた。どんどん火を大きくしていった。少し安心して。やっとこそ腰を落ち着かせる。

炎が揺れ、枝に残った水分が弾けてパキパキと音を立てる。


心地いい。


風向きが変わるたびに煙が流れてくる。

僕は咳き込みながら座る位置を変えた。

ズボンは土で汚れるし髪も服も炭くさいでも不思議とあの家に帰りたいとは思えなくなった。


そういえば、ステータスって見られるのかな?


スキルまであるんだし。


「えっと……ステータス」


――――――――――


【STATUS】


三毛 Lv.1


HP 100 / 100

MP 10 / 10


STR 1+50

VIT 1 +50

INT 1 +50

DEX 1


【付与効果】


・HP継続回復

・MP継続回復

・疲労回復

・状態異常解除

・寒耐性

・魔物避け

・装備耐久回復

・獲得経験値上昇

・身体能力強化

・魔力強化

・祝福の加護




――――――――――


「…………なんて書いてあるんだろう?」



その時だった。


「きゃぁあぁぁぁ!」


どこからか、女性の金切り声が森に響いた。

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