十九、転生
十九、転生
境内。参拝者たちが並んでいる。
崇徳が先頭で、後ろに狛犬達が付いて入ってくる。大きな宝箱を狛犬は大事そうに持っている。
崇徳 よし。
崇徳は並んでいる参拝者たちの祈りに耳を傾ける。
参拝者F 仕事が本当につらくて、上司もパワハラがひどいし、給料も低いし…もうほんと、会社爆発してほしい。
崇徳 ふむ。
狛犬は箱から膨らませた紙風船を取り出して崇徳に渡す。崇徳、それを割る。参拝者Fのスマホが鳴る。(スリラーのイントロ、もしくはChildren Of Bodom 、Needled 24/7のイントロのデデン!ってのが鳴る。)
参拝者F はいもしもし…え、会社のガス管が爆発して? 会社が炎上? もう明日から来なくていい?
崇徳 よし。
参拝者F退出。次の参拝者Nが進み出る。
参拝者N これは演劇の死を意味しかねません。だから私は…
崇徳、狛犬からハリセンを奪い取ると思いっきりハリセンを脳天に振り落とし、いい感じの間を取ってからハリセンを丁寧に狛犬に返す。
参拝者N退出。次の参拝者が進み出る。参拝者Gは腰が曲がっている。
崇徳 なに…腰が痛いだと…えい。
崇徳、狛犬から短刀を受け取り、参拝者を掛け声と共に切りつける。ちゃっちいドゥクシュってよく聞く切り付け音が鳴る。参拝者Gシャキンとして帰る。
崇徳 よし。
次の参拝者I、必死に何かを唱えながら熱心に祈りを捧げる。
崇徳、狛犬に目配せをする。
駒 もう
狗 なおらないって
崇徳 ふむ……
崇徳は逡巡の後、参拝者Hに耳打ちをする。参拝者H顔を上げ、どこか意を決したような表情で去る。崇徳、その背中をしっかり見送る。
狗 ねぇねぇ何を言ったの?
駒 ねぇねぇなんて言ったの?
崇徳 んん? 秘密だ。よし、お主ら、これぐらいで縁切りは切り上げるぞ。そら、準備に行くんだ。久方ぶりの歌会だからな。しっかり準備に励むのだぞ。(狛犬の頭をわしゃわしゃする) 楽しみにしているからな!
狛犬達は小走りで去る。
崇徳 久方ぶりだな…本当に……いやぁしかし……(自分を見て)こんななっちまったなぁ。
間
崇徳 ま、いっか。
全員退出。




