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婚約者の言う事には  作者: 北見深
各々の回想
29/29

助言 5

あの人がやっと出る。

感じ。

「リサ。母さんが呼んでる」


ひょいと顔を出したクリスは、ヨシュアを一瞥しただけでリサに視線を向けた。お帰りを言う暇もない。ヨシュアの口はパカッと開いたまま、何か言おうとして言えずにいる。



クリスは素早くリサに近寄って、気を引く様に肩に触れると顔を寄せ、耳打ちする。

リサが少し笑って、頷く。


「行ってくる」

「ああ、行っておいで」


二人で交わす笑顔がこっちが照れるぐらい甘い。



リサはヨシュアの事を忘れたみたいに、立ち上がってそのまま出て行った。


リサが近くに居ないのを確認したクリスは、ヨシュアと眼を合せた。


「比べるから悪いんだよ」


「え?」


一応口は閉じた。


意味を理解するのに数秒


「お前の理想に相手を合せようとするから駄目なんじゃないか?」


さっきの話し聞いてたのか!!いつからだ?まさか全部?

恥ずかしいだろ!

頭を抱えて転がりたくなった。

「恋人は家族とは違うよ」

「解ってる」

 むっと返答を返して、・・同時に。ああ、俺は妹やリサと恋人とを比べてたのかと、腑に落ちた。

 そんな心算はないと言っても、心の中では引き合いに出していた。クリスは口数が少ないけど、こうやって時々困った時に助言をくれる。

 悪い事をしたと反省しはしたが、寄りを戻そうと迄は思わない俺は、しばらく恋人は作らない方がいいんだろうな。

 じっと、俺を見るクリスに苦笑を返す。クリスもふっと、いつに無い柔らかな笑顔で一言。


「リサより可愛い女の子はいないよ」


凝固した俺を放って、クリスはさっさと俺の前から去って行った。リサの所だろう。


「・・・惚気かよ!」


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