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夢千夜  作者: 西野了
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午後5時15分に船は出て行ってしまった。

 今から2泊3日の旅行に行くのだ。

 その大型客船は旅館に隣接していて、トイレはかなり狭い。その狭いトイレから松葉杖ついた古い友人が出てきた。よくあの狭いトイレを利用できたものだ。

 操舵室にいると地元の知人イヌイが、「グループホームの洗濯物が干したままだぞ」と教えてくれた。

 僕は船から降りて海岸近くにあるグループホームへ戻って行った。確かに沢山の洗濯物が干したままだ。あまり乾いていないタオルを2まいほど手にした。

 すると午後5時20分になり大型客船は岸を離れていった。僕は置いてけぼりをくらったわけだ。あと12時間経たないと次の便はない。

 海岸の広場に職場の同僚たちが集まってくれた。彼らは僕に下船を促したイヌイを批判した。「イヌイはヒドイ」「あいつは何を考えているんだ!」

 僕は船が出て行く時刻5時15分を確認していない自分に責任があると思っていた。

 次の便まで12時間もある。どうして時間を潰そうか悩んでいた。また明日の朝にみんなと合流する僕の立場を考えると照れくさい気もした。

 僕はとりあえず自家用車で山の中の自分の家にもどることにした。山道を猛スピードで飛ばしほとんど人家のない場所にたどり着く。

 僕の家には誰もいなかった。

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