表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
641/1752

怪しい呼び出し

毎日1000文字を目標に続きを書いています。

次回の更新は明日です。

「娼館に行って、ハウンドが来ていないか、話を聞いてみるか?」


「あのような場所が、客の情報を素直に教えてくれるだろうか?」


「……無理かな」


 オルツの指摘は、もっともだった。


 一般的に「娼館(風俗)に通っている」という噂が広まることは、男にとってこの上もなく不名誉なことだ。少なくとも、周囲から後ろ指をさされて、喜ぶような男はいない。


 この世界に現代日本と同等の守秘義務があるとは思わないが、客からの信用を失いかねない行為を、客商売の店がするとも思えなかった。


「それなら、オルツが客として潜入するのは?」


「む……。いや、私には妻子がいるからな……」


「そうか。それじゃあ、俺が……」


 行くしかない、と。


 口にしかけた瞬間、ライカと目が合って――――無言のプレッシャーをかけられた。


「……勿論、俺が行くのも論外だ」


『ライカちゃんに対して弱すぎませんか?』


(うるさい)


 俺が、ろくな案も出さずに、山田と罵り合っていると、


「すまない。ちょっといいだろうか?」


 不意に、横から声を掛けられた。


 声の主は、オルツではない。単なる通行人かと思っていた、見ず知らずの獣人だった。


 声色から察するに、若い男だと思われる。余程夜目が利くのか、周囲はすっかり暗くなっているのに、ランプを持っていない。そのせいで、顔がよく見えなかった。


「何だ?」


「覇王丸というのは、あんたか?」


「!?」


 いきなり名前を言い当てられて、俺の警戒度は一気にMAXまで跳ね上がった。


(誰だこいつ?)


 現時点では、何も分からない――――が、最大限の用心をするに越したことはない。


 なにしろ、相手は夜目の利く獣人だ。一人ではないかもしれない。


 もし、夜の闇に紛れて、既に取り囲まれているとしたら――――


「オルツ。周囲を警戒しろ」


「承知した」


 俺は正面に、オルツは背後に。


 咄嗟の判断で、俺たちはライカを周囲の視線から隠すように立ち位置を変えた。


 それを見て、声を掛けてきた獣人の男は失笑した。


「心配しなくても、こちらに攻撃の意思は無い」


「信用できるか。何の用だよ」


「あんたに話がある。一緒に来てほしい」


「……」


 本来なら問答無用で断るところだが、一つだけ確かめたいことがある。


「あいつは無事なのか?」


「多少、抵抗されたが、今はおとなしくしている。怪我はしていないから安心しろ」


 探りを入れるような俺の質問に、獣人の男はしらを切ることもなく回答した。


 やはり、ハウンドは捕まっているようだ。


(そりゃそうだよな)


 そうでなければ、目の前の男が、俺の名前を知っているはずがない。


 ハウンドほどの実力者が簡単に捕まるとは、にわかには信じがたい話だが、ここが獣人国であることを考えれば、何も不思議ではないのかもしれない。


 さしものハウンドも、自分と同じくらいの体格の獣人に取り囲まれたら、成す術が無いだろう。


 調子に乗ってボロを出してしまったのだろうか?


 それとも、大金を持っていたので、悪い連中に目を付けられたのだろうか?

評価、ブックマーク、感想などをもらえると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 更新ありがとうございます! またもや話が大きく動きそうな予感ですね! すごく次回が気になる引きでした! [一言] 覇王丸が尻に敷かれてるのが面白いですね~ 流石の勇者も嫁には敵いませんね
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ