尋問 その四
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次回の更新は明後日です。
「ところで、お前の故郷って獣人国のどこだ?」
「私は王都の生まれだ」
「大きな街なのか?」
「勿論だ。この街よりも大きい」
記憶の中にある故郷の風景を、思い浮かべているのだろうか?
七番の獣人の目が、懐かしむように細められた。
第一印象のとおりと言うべきか。七番の獣人は真面目で慎重だが、それ以上に素直で単純な性格をしているようだ。
そこが犬っぽいと言ったら悪口になってしまうのかもしれないが、世間話になった途端、あまり深く考えずに話すようになった。
「獣人国って獣人しかいないのか? 普通の人間や、魔人は?」
「人間も、魔人も、いないわけではないが、ほぼ見かけることはない。特に魔人の多くは獣人を見下しているので、獣人の国になど近寄りたくもないのだろう」
そんな連中はこちらとしても好きになれない、と。
つまらなそうに吐き捨てたので、どうやら、本気で魔人のことを嫌っているようだ。
「見下しているっていうのは、何か理由があるのか?」
「獣人には魔法を使える者が極端に少ないので、それが理由だろう。だが、何事にも得手不得手というものがある。獣人は戦士向きの種族なのだ」
それは、まあ、そのとおりなのだろう。
獣人の特徴は、五感の鋭さも含めた身体能力の高さだ。
生まれながらに戦士の才能を持っているのだから、逆張りで魔法使いを目指すよりも、素直に戦士になる方が合理的だし、大成する確率も高い。そういう意味では、オズのような獣人の魔法使いは、かなりレアな存在なのだろう。
「獣人と魔人って、仲が悪いのか?」
「悪いわけではない。ただ、個人的には「敵ではない」という程度の認識だ。敵対していないだけで、積極的に関わり合いたいとは思わない」
「獣人の方も、魔人のことを貧弱な連中だって見下しているんじゃないか?」
「それは……たしかに、そのとおりだが」
七番の獣人はばつが悪そうに、俺から目を逸らした。
「どちらかと言えば、その手の優越感は人間に対して抱くことが多い」
(なるほど。正直なことで)
要するに、魔人は魔法の苦手な獣人を見下し、獣人は身体能力の低い人間を見下しているというわけだ。
実際、多くの人間は、魔人よりも魔法が苦手で、獣人よりも身体能力が低い。
魔人や獣人を人間から枝分かれした亜種だと考えるなら、それはそういうふうに進化した結果なのだから、普通の人間よりも優れた点があるのは、当然のことだ。普通の人間が優っているところなど、人口の多さくらいではないだろうか?
それすらも、このまま魔王軍の支配下で人類の奴隷化が進めば、いずれは逆転してしまう可能性が高い。
そのように考えると、オット大陸で獣人に対する差別が容認されていた背景には、獣人の身体能力の高さに対するコンプレックスや、種族としての危機感のようなものが働いていたのかもしれない。
「それじゃあ、お前らが大森林にいる獣の血が薄い獣人のことを馬鹿にしていたのは、人間の血が混ざっているからか? それとも、獣の血が濃い獣人と比べると貧弱だからか?」
「……両方だ。我々は自分たちが獣人であることに誇りを持っているので、人間の血が混ざり四つ耳になった者たちを馬鹿にする傾向がある。特に、魔王軍に与して、人間の国家と明確に敵対してからは、その傾向がより顕著になったように思える」
「獣人の国にも四つ耳の獣人はいるのか?」
「勿論だ。以前は人間の国とも普通に交流をしていたからな。人の往来があれば、自然と血が混ざることもある。そうやって生まれてきた者たちが、王都には大勢いる」
「ふーん」
俺は納得したように頷いて、雑談を終わらせた。
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