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尋問 その一

毎日1000文字を目標に続きを書いています。

次回の更新は明後日です。

「彼は……七番ですね。一桁の番号は隊長格だった者たちです」


 捕虜になった兵士の数が多すぎるため、管理する都合上、番号で呼んでいるらしい。


「獣王から直接命令を受けて、現場で指揮を執ることの多かった者たちです。その中でも比較的話の通じる者を選ばせていただきました」


「七番って呼べばいいのか?」


「番号で呼びたくなければ、名乗らせますが」


「いや、まあ、別にいいんだけどさ」


 俺は頷いて、品定めをするように、不躾な視線を七番と呼ばれた獣人に送った――――が、それは向こうも同じだった。


 俺のことを探ろうとする、微かに怯えの色が見え隠れする瞳と、目が合う。


「初めに訊くけど、お前は俺のことを知っているか?」


「……知っている。お前は鬼人のふりをしてオターネストに潜入し、サルーキ様を討ち倒した男だ」


「おお。その時のことを知っているのか」


 随分と懐かしい話だ。


「そういえば、獣王と戦った時は見かけなかったけど、サルーキの奴はどうしたんだ? あと副官の狐もいただろ?」


「サルーキ様も、オズ様も、獣王様の命令でトレンタ大陸に引き揚げた」


「どうやって?」


「……獣王様が乗ってきた、竜に乗って」


 突然、知り合いに対するように気安く話し掛けてきた俺を見て、七番の獣人は若干警戒の色を強めながらも、質問には淀みなく答えた。


(竜か……。ワタシとオレサマのことかな?)


『どうでしょう? もし、別の個体だったら、ちょっと厄介ですね』


(そうだな)


 その場合、魔王軍はワタシとオレサマの他にも竜を従えていることになる。


 さすがに四聖竜クラスの竜を従えているとは思えないので、実力的にはワタシやオレサマと同程度の若い竜なのだろうが、それでも脅威であることには変わりない。


 もっとも、竜に対する命令権を有しているのが獣王ならば、俺たちがオース海峡で竜とエンカウントすることはないだろう。


 獣王が獣人国に戻っていることは、フィオレから聞いた情報なので、裏が取れている。


 いずれにしても、仮定に仮定を重ねた話であれこれ思い悩んでも意味が無いので、俺は頭を切り替えることにした。


「ひとまず、竜の話は置いておこう。それより、確認したいことがあるんだ」


「……」


 無言のまま、七番の獣人が目線で話の続きを促してきたので、俺は本題を切り出した。


「お前ら、故郷に帰りたくないか?」


「……は?」


「全員は無理だけど、捕虜になった獣人の一部を魔王軍に引き渡そうと思っているんだ」


「……どういうことだ?」


 七番の獣人は混乱した様子で、理由を尋ねてきた。まあ、無理もないだろう。


 この部屋に入る前にシャロムにも確認したが、魔王軍を相手にそのような捕虜の取り扱いをすることは、まったく想定していなかったらしい。


 なにしろ、魔王軍とは現在進行形で戦争中なのだ。


 捕虜を引き渡したところで、戦争が終結するわけではない。それどころか、下手をすれば、引き渡した捕虜が再び武器を手にして攻め込んでくる可能性もあるのだ。


 七番の獣人も、さすがに「何か裏がある」と思ったようだ。美味い話に即座に食い付いてこない程度の用心深さは、持ち合わせているらしい。


「何のために、そんなことをする? そんなことをして、何の利がある?」


「お前ら、人数が多すぎるんだよ。牢屋も足りないし、はっきり言って持て余しているんだ」


「なら、さっさと処刑すればいいだろう。我々は、それだけのことをしてきたはずだ」


 なぜ、そうしないのか、と。


 真剣な表情で尋ねてくる七番の獣人の質問を受けて、


「なんで、処刑しないんだ?」


 俺は伝言ゲームのごとく右から左へ、シャロムに同じ質問をぶつけた。

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