今後の展望
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次回の更新は明後日です。
結局、俺は反乱を鎮圧した当事者の一人として、いろいろな場面で意見を求められることになった。
ロザリアは「後ろで話を聞いているだけ」と言っていたのに、大嘘だった。
恐らく、見るからにサボりそうな気配を漂わせていた俺を、適当に言いくるめてもいいから連れて来るようにと、国王やリカルドあたりから指示されていたのだろう。
『ほら。だから、言ったじゃないですか。覇王丸さんは女の人の言うことは素直に聞くって。見透かされているんですよ』
(うるさいな……)
山田に勝ち誇られるのはムカつくが、俺としても言いたいことをすべて遠慮せずに言えたので、結果的に不満は無い。
例えば、リカルドの補佐官にリゼットを、ロザリアの監視兼世話役にジョアンを付けさせたのは、俺の意向だ。
その他にも、国境沿いに展開しているアルバレンティア王国軍の指揮官にセリウスを推薦させてもらった。
「では、最後の議題として、大森林の勇者に今後の展望などを語ってもらおうか」
「ああん?」
国王の言葉を受けて、議場にいる全員の視線が一斉にこちらを向いたので、俺は反射的に睨み返した。
「なぜ、喧嘩腰になる……。今後の展望を語れと言っているだけだ」
「そんなものはない」
「まあ、そう言うな。今後はどうしたいとか、どうするつもりだとか、考えていることがあるなら、それを知りたいだけだ。その場の思い付きで行動されては、こちらも困る」
「それを言われると……」
その場の思い付きでトレンタ大陸行きを決めてしまった身としては、反論の余地が無い。
「そうだな……。取りあえず、反乱が一区切りついたのであれば、あまり遅くならないうちにトレンタ大陸に戻ろうとは考えている」
理由は言うまでもなく、敵の本拠地がトレンタ大陸にあるからだ。竜の巣の反転攻勢がどうなったかも気になるし、マキちゃんとも合流しなければならない。フィオレとの約束についても、何の進展も無いままになっている。
ただ、港町のピスキスから竜の巣まで、どんなに急いでも片道十日はかかってしまうのが、最大のネックだ。往復でニ十日となると、気軽に行き来することはできない。
「爺さんって、足の怪我はもう治ったのか?」
「む?」
急に質問を振られて、ゲンジロウ爺さんは考え込むように数秒間、沈黙した。
「――――そうだの。歩くだけならば、もう支障がない程度には回復した。ただ、戦闘となると、まだ八割といったところか」
「一緒にトレンタ大陸に行くことってできるか? 向こうの仲間に紹介したいんだけど」
「それは、マキという勇者のことかの?」
「うん」
一応、俺がトレンタ大陸に渡ってから戻ってくるまでの経緯については、非常にざっくりとではあるが、ゲンジロウ爺さんや国王をはじめとする主要人物には既に報告してある。
具体的には、竜王と面会して竜の巣と協力関係を結んだことと、トレンタ大陸で召喚された勇者のマキちゃんと協力して、四大貴族の赤髪侯を倒したことについては説明済みだ。
ゲンジロウ爺さんは、俺が四大貴族の一角を倒したことに驚いていたが、一足先にその情報を知らされていた国王やリカルドは、俺が竜王と会って話をしたことに驚いていた。
どうやらオット大陸では、竜王は殆ど都市伝説のような存在らしい。
「その他にも、アホみたいな弓の腕前のファシルって森人が仲間になってくれたんだ」
「ほう」
「四聖竜っていう、竜王の側近の竜もいろいろと協力してくれている」
「そうそうたる顔ぶれだの」
「あと、これはまだ確定じゃないけど、もしかしたら、オターネストで戦った仮面の魔人も、仲間になるかもしれない」
「は?」「は?」「は?」「は?」
俺の発言に、国王、リカルド、ゲンジロウ爺さん、ウォートランド侯爵の四人――――だけではなく、隣に座っているロザリアも含めて、この場にいる全員の声が重なった。
「そ、それは、どういうことだ?」
リカルドが震える声で、努めて冷静に質問を投げかけてくる。
「名前はフィオレっていうんだけどさ。あ、女なんだけど」
「いや、そうではなく……」
「巨乳でさ。それを指摘すると、めちゃくちゃ怒る」
「そういうことではない! きちんと話の前後を説明しろと言っているのだ!」
結局、リカルドは平静を保つことができなかった。
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