王女奪還作戦 予感的中
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結果として、俺の悪い予感は的中していた。
二階の通路に戻った俺が見たものは、何者かの襲撃を受けて、負傷して動けなくなっている兵士の姿。その中には、火の魔法でやられたらしく、全身に火傷を負っている者もいた。
そして。
壁を壊された客室の床に倒れているはずのシャードは、姿を消していた。
辛うじて意識のあった兵士に尋ねたところ、やはり、戻ってきた側近の男の仕業らしい。
「申し訳、ありません。戻ってきた男に、回復薬を、奪われ……。連れ去られて……」
「分かった。もういいから。気が付かなくて悪かったな」
俺は雑のう鞄に残っていたすべての回復薬を兵士に手渡し、一人でも多くの仲間を助けろと指示を出すと、屋敷の外にいるセリウスの部隊に事情を説明して、鼠一匹逃げられないように屋敷の周辺を包囲してもらった。
だが、セリウスの話によれば、屋敷の中に隠し通路がある可能性が高く、それを逃走経路に使われた場合は、既に街の外に逃げられているだろうということだ。
屋敷の中を徹底的に検めた結果、はたして隠し通路は見つかり、そこには何者か(というか間違いなくシャードと側近の男)が利用したと思われる痕跡が残っていた。
結局、俺が仕掛けた反乱軍の本拠地への急襲は、大本命であるロザリアの救出については達成したものの、反乱の首謀者であるシャードをうっかりミスで取り逃がすという、お世辞にも満点とは言い難い結果に終わった。
だが、本来ならば百点満点中の六十点くらいだったこの結果が、ひょんなことから八十点に変わることになる。
隠し通路があった屋敷の地下牢で、アヴィド侯爵が意識のある状態で発見されたからだ。
さすがのシャードも、南部地域の実権を掌握するために、自分を溺愛してくれた父親を手にかけることはできなかったらしい。
シャードを取り逃がしたことによる最大のデメリットは、反乱軍が降伏せず、活動の拠点を別の街に移して徹底抗戦を続けてしまうことだったのだが――――アヴィド侯爵が生きていたことにより、その心配は消えて無くなった。
なぜなら、シャードは父親を幽閉し、侯爵家の長兄という立場で権限を代理行使していたにすぎず、南部地域を統括する権限は、いまだにアヴィド侯爵に帰属しているからだ。そこには当然、南部軍に対する命令権も含まれる。
つまり、アヴィド侯爵がシャードを大罪人だと切り捨てることによって、反乱軍は逃げ道を失い、完全な賊軍に成り下がるのだ。
反乱軍に関する悪い噂。
勇者と王女の結婚話と救出劇。
それらがすべて真実だと裏付ける、アヴィド侯爵の告発と断罪。
そして、おあつらえ向きに用意された、特赦という逃げ道。
これだけ勝ち馬に乗り換える材料と口実が揃っていて、それでもなおシャードに付き従う者がいるのであれば、それは心から反乱に賛同している信望者か、あるいは特赦が適用されないほどシャードとずぶずぶの関係にある者だろう。
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