独断と偏見による 怖さは思考で作られ行動を制御する
さんかく帽子の特徴な喫茶店。仕込みも終わり、お客も居なくなった閉店前の時間、カウンター前では話をしている。
「なんかさー、ダメなんだよねー」
「何が?」
あじゃはトレーをカウンターに置いてはアメリーに話をふった。
「この前さ、やりたいことがあるって話したてしょ?それなんだけどさぁ。。なんかねー」
「まぁねー。そんなポンポン出来たら、パーティーで大忙しよ」
アメリーはあじゃの話に両手を広げては肩をすくめ、顔を斜めに笑顔で切り返した。あじゃはそんなアメリーを見ては椅子に座り、肘を立てて顎を支えながら遠くを見るような目をしては口を動かした。
「やりたいって思うんだけど、何でなんだろ。。」
「まぁ、タイミング的なモノもあるからねー」
アメリーはあじゃの隣に座っては、クルっと回転して、ホールを歩くヨークに声をかけた。
「あ、ヨーク。ヨークってやりたいことをやれなかったってある?」
「えっ?どうしたのいきなりって、何してるのよ、、まったく。。」
ヨークはアメリーとあじゃを見てはため息をはき、近くに寄っては話を聞いた。
「あのね、あじゃがやりたいことあるんだけど、なかなかやれないって話で、どんどんわけわかんなくなってるの。。」
アメリーはあじゃの肩を触りながらヨークに伝え話した。
あじゃは「なんかねー」と声に出しては顔を埋めるように腕の中に顔を沈めた。
「なるほどね。やりたいことあるけどやることが出来ないのね。ようは、過程よりも結果をまず見ちゃうのよね?」
「うーん。わかんないけど、そうなのかな。。」
ヨークの言葉にあじゃは答えては腕の中で頭を揺らした。
「そうだ、アメリー。アメリーは今何かやってることある?」
ヨークはあじゃを見ては隣に座るアメリーに声をかけた。アメリーはヨークの問いかけに答えては頬を掻いている。
「今?。。。今は自転車かなぁ」
「そう、自転車ね。なら、自転車に乗って何処か行くのよね?その時ゴールを決める?それとも、とりあえず行く?」
「んー。。その時にもよるけど、とりあえず何処かに走り出す」
アメリーは声に出しては頷いた。
「その時って、何か考えて自転車乗ってる?」
ヨークはアメリーに続けて質問をした。
「えっ?なにそれ。自転車乗るのに考えはないでしょ?」
「そうよね。一度乗れるってことを覚えたから乗れるわよね」
アメリーはヨークの質問に驚きながらも返事を返した。
あじゃはそんな二人の会話に顔を起こしては頬を膨らました。ヨークはあじゃの顔を見ては「そうね」と言っては、話をふった。
「それじゃいい?今アメリーは、自転車に乗る時は何も考えてないって話したでしょ?それは一度覚えてるからなのよね。」
「当たり前でしょ?そんなの」
ヨークは鼻息を荒く、話すアメリーを見ては笑みを返し話を続けた。
「そう。当たり前のことなんだけど、そうじゃないの。乗れない時はどうだったか覚えてる?」
「ん。。。覚えてない。。」
「そうよね。だって、乗りたいってことに集中してるから、乗れないって考えないもの。それに、乗れないって怖さよりも、乗りたいっていう楽しみが強いじゃない?それって何かを始める大きなきっかけよね」
「ねー。私が言ってるのはそうじゃなくてー」
あじゃはヨークの顔を見ては鼻で息をはいた。ヨークはそんなあじゃとアメリーを見渡しては、人差し指を立てては言葉をはいた。
「それじゃ、何故やりたいことがあるのにやれないのかってことだけど、、、それはつまり、楽しみよりも怖さを持ってるからなの。それは、体よりも先に頭が動いてるってことなのよ」
アメリーとあじゃはお互いに顔を見合わせては、「何を言っているの?」と、ヨークを見返した。
「そうね。やりたいのにやれないって言うのは、わからないわよね。それは、先に頭で答えを探してしまってるからなの。人が動く時って、頭よりも体が先に動いているものなのよ。よく、体が勝手に動いたって言うじゃない?体が動いてから頭が動いたって、説明付けしているのよね」
あじゃとアメリーは、首を傾げてはよくわからないと、顔をしている。
「物事を先に頭で答えるよりも、体が動いていれば頭が勝手に“やれてる”って思うのよ。けど、やれない、動けないって、頭で想像をしてしまっていると何も出来なくなるの。ただのイメージなのにね。だから、怖さや大変さを先に出してしまうと動きたくても動けなくなる。けど、一度やっていることは、どんなことであっても、出来たとこまでは出来るのよ。経験してれば怖さをイメージしないでしょ?」
「うんうん」
「ようは、経験したことは何時でも出来るけど、知らないことには怖がってしまうってことで、それがやりたいのにやれないって原因なのよ」
「だから、動けないのかなぁ」
あじゃはヨークの話に、自分に問いかけては下口を前にだした。アメリーはそんなあじゃの体を叩いては声にだした。
「よくわかんないけど、怖がるからダメなんでしょ?なら、怖がんなきゃいいだけじゃなーい」
あじゃはアメリーの言葉に「でも、、」とうつむいて言葉を濁した。
「ねぇ。F.りかはどう思う?」
ヨークは、キッチンから出てきたF.りかに声をかけた。
「そうね。アメリーは、一度怖さをしらないとね」
「ふふ。そうね」
F.りかとヨークは、アメリーを見ては笑みを浮かべた。
今日もまた、四人のアルバイトが明日の準備に腕をふるっている。




