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第2話

さて今回の話は孝明は霧崎に協力をする事になったので

他のメンバーの紹介も兼ねて、非常に賑やかな話です。

今まで暗い雰囲気でしたが少し明るめになってます。

第2話


「ようこそ、フォールンアントラーズへ!歓迎しますよ、佐々木さん」

突然鈴木次郎が声を上げる。

するとさっきまで顔を真っ赤にしてソファで爆睡していた聖が

ふらふらと起き上がり

「ぶぁっか!このオタメガネっ.....ヒック..しょの名前はぎゃっかって言ってるだろっが..

おぅえ...ちょっとトイレ......」

美女のゲロや排泄なら金を払ってでも見たいと言う男もいるが。

実際に美女が吐きそうな所を目撃するととてもそうは思えない。

いくら見かけが良くても吐く内容物の臭いや見た目は変わらないのだから。

彼女が千鳥足でトイレにゆっくり入っていくのを見届けると

「ミスヒジリンは女性としての恥じらいがなさ過ぎです、真にけしからん...。

 さて話を戻しますが、フォールンアントラーズの目的は二ノ宮家への復讐もそうですが

 この真宿の裏社会でお金を稼ぎ、生きていく事ができなければ話になりません」

確かにその通りだ、生きていく事ができなければ話にならないし。

そして社会から除け者にされた奴が行く所はこの裏社会しかない。

「そこで貴方の特技を教えてください、そうですね......。」

俺がここで生きていけるためのスキルがあるか聞こうとしているのだろう。

しばらくして、鈴木は口を開く。

「麻雀は得意ですか?」

「いや、ルール知りません」

「では、他の賭け事は?ポーカーなんてどうですか?」

「ルールは知ってますが、強いかどうかは.....俺よく顔に出るタイプなんで」

「賭け事は無理ですね、次は....」

その後ここで必要となる色々なスキルについて質問されるが。

残念ながらどれも不適正と判断されてしまう。

「えーと......じゃあ貴方が誇れるものってあるんですか?」

スキルと言われても、俺がこの何年かで頑張ったのなんてAVやエロゲぐらいだ。

それをスキルと言えるのか分からないが何故か俺はヤケクソで言ってしまった。

「AV鑑賞やエロゲーその他諸々の18禁コンテツの鑑賞です

 これの事なら誰にも負けません!」

しばらく沈黙が訪れるが、すぐに鈴木は口を開く。

「ならばオミズですね.....さっき接客業やった事ないって言ったけど大丈夫かなぁ」

 それで本番は?性行為は当然していますよね」

「した事ないっす.....。そもそも俺女子とほとんど話した事なくて....。」

「そ...そうですか...ならば我々で貴方が見たその18禁コンテツについてテストします

 非常に心配と言うかあてにならないと言うか........。」

最後にぼそっと長い独り言を吐き捨てて、鈴木は携帯を急いで取り出す。

新しいメンバーが入ってきたので、今日できるだけ早く帰ってくるようにと

2人の人間に伝えて、数分後に一人の男が入ってきた。

「勤務の終了を少し早めて帰ってきました!

 佐々木さんは初めまして、燈山卓です!

 ここから数分の距離のバーでウェイターをしています!」

体育会系のノリの男が元気よく扉を開いて現れた。

今までのメンバーでは俺にとっては外見だけなら一番好印象だと思う。

「ちょうど良い所に来ました、燈山君、実は色々ありまして」

鈴木が燈山と言う人に対して、今までの経緯を話すと。

どうやらこれからアダルトコンテツのテストが始まるようだと言う事が分かった。

燈山さんと鈴木さんが俺ソファに掛けると、突然燈山さんが。

「女教師の淫らな欲望」

「ああ、あれですよね、生徒の一人が女教師の毒牙に掛かっていくんですが

 最終的には若さの力なのか、最後のプレイでは女教師の方が受けになっちゃうんですよね

 女優もそこそこ良かったですし、おかずとしてはまぁBぐらいなのかな」

俺の語りに燈山は少し驚いたようだ。

恐らく燈山はテキトーに出したまたは好きなAVタイトルだったのかもしれないが

まさかここまで詳しく答えるとは思ってなかったのだろう。

その後も燈山はテキトーにタイトルを言っていくが

全て俺に軽く説明されていき、最終的に燈山は唖然としながら俺の説明を聞いていた。

「燈山さん、AVで攻めてももう無駄ですってば。

 そして質問の仕方もワンパターン過ぎです。

 貴方は18禁コンテツに全てに知識があるのですよね、ならば別のコンテツで質問しても構いませんよね」

「勿論、大丈夫です」

「ならばSEGAPLANTが2012年に出したエロゲーのタイトルは!」

「しらゆきさくらです」

その後もブランドと発売年度を質問する方法や、中には同人ゲームとも呼べるものも質問してきたが。

一切迷わない即答に鈴木も驚き、燈山にアイコンタクトを送る。

こうしてこの後も彼らの猛攻は続いたが、俺が一切回答に迷う事はなかった。

「ま..参りました!」

燈山も鈴木もやっと降参したようだ、途中に既に2人はムキになり過ぎていたせいか。

本来もう合格でもいい所を永遠に問題を出し続け。

気が付けば時計の短針は真下の位置を指し朝と呼べる時間帯になっていた。

男同士でひたすらにアダルトコンテツの名前を出し合うだけで夜が更けるなど

両親には見せられない光景だろう。

するとまた扉が開き、今度はのんびりとした声と共に女の人が入ってきた。

「ただいまぁ~、鈴木君、燈山君。」

不覚にも目を奪われてしまった。

胸の露出の高い、美しい白い服を着て非常に無防備な衣装に。

それを引き立てる溢れんばかりの胸、あれは俺の見立てではFは確実だろう。

先ほどアダルトコンテツの話をしていたがそこに出てくる

女の人に引けを取らないプロポーションとルックスの持ち主だった。

「そして初めましてかなぁ~私は野木あゆみです~

 佐々木君宜しくねぇ」

「よっ....宜しくお願いします」

声から想像つくように、非常にマイペースでのんびりしてそうな人だった。

「AVの兄貴!さっきまでの威勢とは裏腹にまるで春が来たみたいな顔してやすよ!」

「いざ本物の娘と会うと緊張と期待の混じった顔をするとは、それで私が認めたエロゲマスターなのですか」

と燈山と鈴木がフランクに絡んでくる、6時まで馬鹿な事をしていたおかげで

二人とは少しだけ小さな信頼が芽生えたようだ。

「くすっ...3人とも仲が宜しいんですねぇ、妬けちゃいます~」

俺にとって彼女の反応は違和感を覚えた。

普通女の人って男の人が堂々とアダルトコンテツの話をするなんて嫌がるんじゃ。

「まぁ、普通はそう思うよな、だが彼女はオミズだから、勿論店の人気の女の子なんだぜ」

「人気だなんて~照れちゃいますよぉ」

「そうなんですか、そして俺の心を読んだみたいに反応しないでください燈山さん」

「おまえの顔は口より物を言っていたからだ」

ここに集まってくるって事は事情が大有りだろうし。

あゆみさんも苦労してると言う事なのだろう。

鈴木、燈山、聖、そしてあゆみ、この4人にも二ノ宮にはめられた過去が。

すると鈴木さんが突然口を開き

「それで本題なんですがあゆみさん

 この孝章君も水商売の方に入る事になると思います。

 まぁ顔は不細工で本番経験もない屑ですが、アダルトコンテツにかける情熱は一流なんです

 そんなこいつに女の扱い方を教えてやってください」

「ちょっと待ってくれ!顔が不細工は余計だし

 色々突っ込み所が多すぎる頼みごとな気が.......」

「私は良いですよぉ~ここで一緒に働く仲間ですし助け合わなきゃですねっ」

頭が混乱する、今日は色々混乱する日だったが今日で一番混乱する出来事かもしれない。

話を整理しよう鈴木さんはあゆみさんに俺に水商売で生きて行けるように女の扱いを教える様頼んだ。

それをOKしたと言う事は.......チェリー卒業!!

「状況の理解が遅すぎだ.....」

と燈山に飽きられながら突っ込まれる。

「さっき言い忘れたんですが、ここの上の階ははフォールンアントラーズの住宅地になっており

 一人一部屋与えられています、家賃を霧崎さんに毎月払えば住めますし格安です

 貴方も今日からメンバーですし自分の部屋で派手に筆おろししてきてください」

「じゃあ、行きましょうかぁ~」

「ちょ.....ちょっと待ってください!!行き成りは心の準備が.....」

「それでもAVの兄貴か!本番になったらただのへたれになりやがって!」

「へたれじゃない!俺だって本気出せば!」

「あの......私じゃ駄目なんですかぁ.....」

「いや違いますって、あゆみさんは十分と言うか勿体無いくらいの女性と!!」

「ああぁ~うっへーな、ヒック....ぐぅぐぅぐぅぐぅ...」

「エロゲーの主人公は初めてでも上手くやるじゃないですか!」

「現実をゲームと同じにしないでください!!」

「私をそう思ってくれるなら良いじゃないですかぁ、ほら時間がなくなっちゃいますよぉ」

「ああっ!ちょっと!腕をつかんで引っ張ろうとしないでください!!」


「おまえら....朝からうるさいぞ.....」


ゆっくりと扉が開き怒鳴り声よりよっぽど怖い怒りを露にした低い声が響き

明らかに不機嫌そうな霧崎さんが現れた瞬間

数秒の沈黙が訪れたと思えば、一人一人申し訳なさそうに謝罪してい。

俺も後に続いて謝罪するが、むしろ俺は被害者だと思う。

「話は聞いたが、孝章君の職業を決めるのはまだ早いだろう

 1ヶ月この町を見て、決めてもらえばいい。

 見たところ資金は持っているだろう、一月分の家賃くらい払えるはずだ

 おまえらもおまえらだフランクに接するのは良いが、彼は今日この世界に来たばかりだ

 色々と思う事考える事だってあるはずだ、彼の気持ちも考えてやれ」

「す..すみません......」

3人声を揃えて謝る。

別に彼らに悪気があったわけではないと言う事は分かってる。

確かに今日このグループに入れられ、色々これからしていくなら気持ちの整理の期間が欲しいのは事実だった。

霧崎さんはこの蟻の集まりをまとめる女王蟻のようなポジションである事は分かった。

ただ女王蟻の様に部下が生まれればまかせっきりにしているわけでもなく、名前は女だがそもそも彼は男だ。

霧崎さんのちょっとした説教が終わると、場は静まり返り。

奥の机からバッグや書類を持ってくると、そのままここを出て行ってしまった。

「孝章君、すみませんでした、いくら何でも強引過ぎたかと反省しております」

「孝章、すまん!俺もおまえが今日ここに来たばかりで気持ちの整理もできてないのに

 勝手に盛り上がっちまって.....」

「孝章さん、ごめんなさいねぇ....2人の言う様に新しい人が来たことが嬉しくて、調子に乗ってましたぁ...」

「いえ、皆さんの気持ちも分かりますし、けどもう少しだけ考える時間を貰って良いですか?」

この言葉から次の瞬間息苦しく重苦しい空間から、先ほどまでの明るい空間に戻っていく。

ここで暮らしていくからには俺以上に個性の強い人たちと馴染んでいく必要がある。

ただ、皆が俺に謝罪する時何時の間にか俺の事を下の名前で呼んでくれていた。

まだ会って間もないし、思い上がり甚だしい事かもしれないが。

すぐに馴染めていける様な気がした。

「うん?アタイソファでずっと酔って寝てたのか、さて部屋で二度寝するかな」

ところでこの聖と言う娘は俺の存在に気づいてるのだろうか?

まだまだここに馴染むのは先かもしれない。


続く


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