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第3話

今回は今まで一番よく分かっていないキャラ聖についての話ですね。

実は今のところ一番長い話です。


佐々木 孝章 

       物語の主人公、家族に愛されず基本ほぼ全てにおいて負け組。

       周りからは変態と言う認識が強く、趣味はAV鑑賞。

       プロローグで沙港高校を退学させられた。


本堂 祐樹 

       孝章の幼馴染で、孝章を煽る事も多いが基本的には良き友人。


二ノ宮 真衣 

       父親が大会社社長、母親がPTA会長のお嬢様。

       孝章を下着泥棒事件の犯人と告発したが自作自演だった。


二ノ宮 剛三 大会社カップラーメンやインスタント食品で大もうけした

       『ニノミ屋』の社長、真衣は娘。


佐々木 千尋 

       孝章の事を照れ隠し等一切なしで本気で嫌って避けている妹。


佐々木 早苗

       孝章の母親、夫を亡くしている、依存症の毛があるがそのくせ他人を信用できない人物。


 フォールンアントラーズの仲間達


霧崎 優実 フォールンアントラーズのリーダー的ポジション。

      気配りの利く人物で、二ノ宮剛三にはめられ家族を失った。


月守 聖  酒ばっか飲んでる美人だが汚い女、女子高生。

      喧嘩と麻雀が強く、麻雀倶楽部で働いている。


鈴木 次郎 フォールンアントラーズのチーム名の命名をした男

      プロのハッカーで、理屈っぽく、テンプレと言う言葉がよく似合う。


燈山 卓 とあるバーでウェイターをしている。

     体育会系でノリが良い男。


野木 あゆみ 水商売をしている、美人で巨乳でのんびりした女の人。

第3話


今後の方針が決まった所で

俺は用意されていた部屋のベッドにスイッチが切れたように倒れこみ。

気が付けば辺りは暗く賑やかになり、時間は午後6時30分。

下のオフィスに眠い目を擦りながら入っていくと、そこには鈴木一人しかいない。

「孝章君、この街の活動時刻は5時からですよ、1時間30分遅刻です。

 皆さんはもうこの時間自分の職場に向かわれましたよ」

と鈴木に理不尽に怒られるが、俺は全くもって知らなかった。

「皆出かけてても鈴木さんはここにいるじゃないですか、どうしたんですか?」

「私は街の店で働いてる訳ではありませんからね、私はプロのハッカーです。

 霧崎氏に実力を認めてもらい、今ここで働いております」

ハッカーか、ハッカーは情報を盗み出したりするだけでなく。

その情報を盗み出す事への防御や対策を考えることも応用が利くので。

ウィルス対策のチームに元ハッカーが組み込まれていたりするのもしばしばある。

味方に回せば最強のパソコンのスペシャリストと言うわけだ。

霧崎さんはこういった方にも協力を仰いでるのか。

すると鈴木には二ノ宮への復讐の動機はあるのか。

「しかし今日はお休みです、孝章君今から麻雀倶楽部に行きましょう」

「どういう事ですか?後俺麻雀できませんよ」

「街の見学をすると言ったでしょう、

 それに貴方がまだ挨拶できていないヒジリンはそこで凄腕のプレーヤーとして活躍していますよ」

この人は言葉が足りなかったり、行動が強引だったりして一緒にいると疲れるタイプだ。

しかしヒジリンこと聖とは確かに一度も会話していないし。

あの大酒飲みの不良娘がどんな風に働いてるのかは気にならないわけでもない。

俺は鈴木さんとそのままオフィスを出て麻雀倶楽部へ向かった。


夜のこの街は相変わらず活気づいている。

時間帯的に少し肌寒くなる中、薄着で一生懸命店へ勧誘する売り子さん。

スーツを着た男が通りがかった男に能弁に自分の店の事を話し、売り込みをしている光景。

そして昨日のデジャヴにもなる、立派なスーツを着た男に数人の女がハーレムみたいにくっ付いている光景。

勿論昨日とは別の人物達である。

昨日も見た光景であるが状況が変わり再び見るとここで売り子をしたり商売をしている人間は

表社会の人間が抱く裏社会への汚いと言う感情はなく必死に生きているように思えた。

一晩寝てここでの適応能力が少しだけついてきてるなら大収穫と言った所だろう。

しばらくすると目的の麻雀倶楽部に到着した。


「それロンですね、この役ですから倍満で1万6千点

 よって貴方の負けです!」

どうやら倶楽部内では娯楽で基本的には4人で楽しむ麻雀と

大量の掛け金を掛けた真剣勝負の麻雀ができるようになっているようだ。

聖は真剣勝負用の人員らしい、理由は手加減ができないからだそうだ。

店長に言われて敬語を使わされていたり色々大変そうだが。

実際聖は何もしなければ美人なのでファンも多いらしい。

麻雀のルールは俺には分からず、試合は聖の勝利で終わった事しか分かっていないが

何やらトラブルが起きているようだ、ふと耳を傾けると。

「イ...イカサマだ!!この店は勝つためにイカサマをしてるんだ!」

「だからそんな証拠がどこにあるのですか、観客も一部始終を見てますし」

「そうだ!!」

「聖ちゃんはイカサマなんてしてない!俺たちがちゃんと見ていたぞ!」

と観客もそれに答えるが、もはやアイドルに群がるキモオタみたいな構図だ。

しかしそれでも聖の対戦相手には少し効果があったのか。

「いや...こんなのはありえない..俺が勝つはずだった...ふざけるな!!」

「ありえないと言う事はないと思いますよ、私は公平にやったんですから

 それにその言い方貴方がこのゲームでイカサマをしたのに勝てなかったから

 ありえないにも取れますよ」

「そうだ!!」

「おまえがイカサマをしたんじゃないか!考えてみれば2回目のゲームでの

 あいつのツモ上がりやけに俺は上がり方がスムーズに感じたんだが」

「確かに、そうだよな、おまえの方がイカサマをしてしかも負けたんじゃねーの」

聖が挑発をしたせいか、観客が勝手に盛り上がってしまう。

確かにいちゃもんをつけられムカつくのは分かるが。

顔を見る限り麻雀のルールを知らなくても状況は分かる、梅干を食べたみたいに酸っぱい顔している明らかに図星だ。

見てるだけでも酸っぱそうな顔をしている男が次に取った行動は予測不可能だった。

「客にイカサマの疑いをかけるとか、糞な店だな!

 俺は絶対金は払わんぞ!こんなの認められるか」

と言いながら持ってきた鞄を持って、猛ダッシュで店を出てしまう。

その光景に全員があっけに取られる、そして全員が思っただろう「負け惜しみ乙」。

その中で聖は革の素材でできた手袋をはめ、骨を鳴らす仕草をする。

「皆さん...いいやおまえら!少々見苦しい光景を見せるが良いか?」

麻雀の時見せた顔とは正反対の顔を見せている、俺には違和感はなくむしろ麻雀をやっている聖に違和感を感じたが。

ここの顔しか知らない連中はどう思うのだろうか、しかし心配とは裏腹に。

「聖ちゃん...いや聖様が本気になったぞ!おまえらその雄姿をしっかり胸に刻め!!」

「聖様あのどうしようもねー負け犬に渇を入れてやってください!」

心配する必要はなかったようだ、きっと麻雀の時の性格が付け焼刃なのはほとんどの人が知っているようだ。

「おまえら...任せておけ!」

その瞬間店の中にいた聖はチーターを想像させるようなスピードで男に迫っていく。

男は驚きと恐怖が混じった顔になり声を上げようとするが声を上げる間も泣く首を絞められる。

そしてそのまま男を道に倒し頭を思いっきり靴の踵で踏み続ける。

「いいぞ!聖様!あいつに制裁を!」

「やっぱり聖様はこうでないと!凛々しいですカッコイイです」

「聖様に踏まれるとか何て天国の様な光景、おいそこの男そこ変わってくれ!」

いやあの踵での踏みつけの威力は遠目から見ても尋常ではないだろう。

いくら俺がS系女子のAVが好きでも、聖に踏まれるのは正直死活問題だと思われた。

「金を払うか!二度とイカサマをしないと誓うか!」

「ぢ...ぢかいまぁすぅ....もうがんべんしでぐれぇ.....」

「もっとはっきりと喋れ!!」

「ごふぅ!」

こうして、男は取り押さえられてその後二度とこの店には来ないと言いながらも

恐怖の余り金は払ったそうだ、あの様子じゃ怪我の治療費でもっとお金を使いそうだが。

そして聖の業務時間が終了すると、俺は鈴木と一緒に声を掛ける。

「お前はオタメガネともう一人は?」

「いや昨日から入ってきた佐々木孝章君ですよ!

 貴方もソファにいたでしょうが、その様子じゃ......」

「お..覚えてないな!」

「ですよねー」

そりゃソファで酒飲んでベロベロに酔ってたら昨日の事など覚えてるはずもないか。

しかし断片的には覚えてるみたいで、初対面の男にあんな光景を見せたことに気づくと。

顔が少し紅く染まり、俺としばらく視線を合わせないようにして少し挙動不振だ。

その仕草は酒で酔っ払ってベロベロになる彼女、男を屈服させリンチする彼女ではなく、普通の女の子の仕草に見えた。

「た..孝章!でいいな!アタイは月守 聖!

 年も同じくらいだろうしアタイの事も聖って呼んでくれれば良い!」

「は..はい宜しくお願いします、聖さ...聖」

「人の話きいてんのか!さんはいらないっていったのに付け様としたし

 そもそもこっちがタメで喋ってんのに敬語で返すな!

 アタイは敬語が苦手だし、大嫌いなんだ!」

「あぁ....悪かったよ」

どうやらさっき恥ずかしがった事は今の俺の反応で消し飛んだらしい。

考えてみるとここにいる人で年が近そうなのは聖くらいだ。

しかし聖が何歳なのかは知らない、見たところ17から19ってところだ。

「早速痴話喧嘩とは仲がよろしい、では私は書類仕事を再開するので先に失礼します」

と鈴木は俺たちを置いて帰っていく。

俺も付いていこうとすると、肩をがっしり掴まれて。

「おい!おまえ昨日この街に着てグループに入ったんだろ

 どうせまだ夜は明けないしアタイが街を案内してから帰っても遅くないと思うんだ。」

と力強くその言葉が俺の耳に響く。

勿論この街の事はほとんど知らないし、案内してくれるのは非常に嬉しいのだが。

どうやらまだ言いたい事があるみたいなのか、先ほどとは正反対の喋り方でごにょごにょ言っている

「後その...えと...まぁ...なんだ

 あっーーーーー!!面倒くせーーー!!

 どうせアタイの事酒でベロベロになって汚くてその上に糞みたいにつえーどうしようもねぇ暴力女だと思ってるんだろうから

 汚名挽回させろ!こんちくしょー!」

「わ....わかったよろしく...」

と言う事で聖に街を案内して貰う事になったが。

この直後俺には脳裏にある光景が浮かんだ。

「ふぅ....汚名は挽回するものではありません、返上するものです」

とマイペースで帰路を歩く、鈴木の溜息を吐くように独り言を呟く姿だった。


その後は皆が働いてる所の場所を紹介してもらったり

多少この街の事は分かった気がするが。

案内の半分の時間をゲーセンのゾンビを撃ち殺すゲームに使ってしまった。

「仕方ねーだろ!だって初めてなのに孝章が強いから!」

口が裂けても言えないが、俺が上手い訳ではなく聖が下手なだけである。

銃を撃つタイミングがずれているのは多分素人の目でもわかるだろう。

なので撃ち殺す前にダメージを喰らってしまう。


恐らく空はもう少しでどす黒い空から、暗い青へと変わるだろう。

時刻は2時30分だった。

「最後にアタイのとっておきの場所があるんだ、そこに行ってみようぜ」

聖に言われるがまま付いていくとそこはこの裏の街では恐らく一番高いビルの屋上だった。

しかし表の真宿の街にはこれくらいのビル、これより高いビルなど沢山ある。

所詮は底辺の中の一番、井の中の蛙でしかないがここでは一番存在感を示し誇らしげに堂々と立っている様に見えた。

「ここからこの裏の真宿のほとんどを見渡せるんだぜ!

 ここは夜の街だから部屋の電気やイベントの時はイルミネーションもあるから夜景が綺麗だろ!」

聖の言うとおりここから見る夜景はとても綺麗である。

しかしその綺麗な夜景を作ってるのは表では汚い商売と言われるキャバ嬢やホストが作ってると言ってはいけない。

「テンプレ的な質問かもしんないけどさー、孝章はこの街は好きになれそうか?」

「テンプレ的になれそうだよと返したいけど、街が街だからそう簡単にそう答えるのに無理があるな.....」

「だろうな!なれそうだよとか返してたら根性叩きなおすために殴ってた!」

と彼女は屋上の、柵に座り高らかに笑う。

後ろの夜景をバックにするととても絵になる光景だ、彼女は何もしなければ美人だ。

今日の事で分かった事があるとすれば、彼女は乱暴で大雑把な所も多いが基本的には普通の女の子である。

ただこの世界で普通の女の子であれば、誰かに利用され哀れな結末しか待っていない。

乱暴で大雑把な所や高すぎる戦闘能力は彼女自身を守る盾であると感じた。

「なぁ...こういう事聞くの気が引けるけどさ、孝章はここに来る前は何をしていたんだ」

「二ノ宮に下着泥棒として告発される前の話か

 成績が下の下の馬鹿な高校生さ、これと言った趣味もなく部活は帰宅部だった」

「高校入ってるなら馬鹿じゃねーよ、アタイは中学までしか出てないぜ

 今じゃ九九すら怪しいからな!ににんがはちだっけ」

「ははは、そういう俺も中学の因数分解できるか微妙だから」

「ああ!あれアタイ全部白紙で出してたよ!名前書いてるから情けで1点くれたけど!」

と馬鹿同士で鹿ではなく馬が合ってしまったのか、学校のテストの話題で盛り上がった。

そうこうしてる間に彼女の緊張が解れたのか、真剣なモードへと移っていく。

「あんたは下着泥棒として二ノ宮の娘にはめられたんだって言ったな

 アタイも中学の頃二ノ宮の娘に校舎の窓ガラスを30枚割った事をでっちあげられてね

 アタイは不良でね、学校の外では20対1で不良と戦っても20人全員ボコボコにしたりしてたんだ、勿論相手は男だぜ

 自分のクラスにやばい不良がいるのが許せなかったのか停学にされて、学校側は卒業はさせてもらえるようにはしてもらったけど

 弁償の額が凄まじくて、母親が病気で逝き父子家庭だった私たちはバラバラになるしかなかったんだ

 しかもあの糞親父、あたいはガラス割ってないっていってんのにあいつ出てけこの厄病神だのを怯えて言い続けるんだぜ...

 血を分けた娘の言葉も信じられない父親も失って、お前みたいに夜の街を彷徨ってる所をバーコードいや霧崎に拾われたんだ」

______________________________________


「俺は二ノ宮の下着なんて盗んでない!」


「そんな言い訳信じるわけないでしょ証拠もないのに、しばらくは生きていけるくらいのお金はあげるから

 とっとと出て行ってこの厄病神!あんたなんて私の息子じゃない!」


違う....俺じゃない...本当に俺は.......。

いくら仲の悪い家庭でもどうして自分の息子の言う事を信じないんだよ母さん。

妹も何か言えよ、会話なんてろくにしなかったけど家族だろ。

何で他人を侮蔑する目でこっちをずっと見てんだよ......。

誰でもいいから俺の事を信じてくれよ.....俺はやっちゃいないんだ!

______________________________________


俺は彼女の話を聞きながら自分が追い出された日の事を思い出す。

同じように親を片方亡くし、そして生きている自分の親に自分の事を信じてもらえない。

俺と聖は全く同じ境遇でここに来た、この時俺はこの世界で初めて仲間と言える者を見つけた気がした。

「俺も聖と同じだな、父親は死んでるし、二ノ宮にはめられた事だって

 何度言っても母親に信じてもらえなかった」

「そうか、アタイたち似た者同士だな。

 確かに今までの行いが悪く、それが二ノ宮の付け入る原因になったのも分かる

 けど、人の人生を虫みたいに潰す二ノ宮は何年かけても復讐しないと気がすまない!」

「俺もだ、これ以上二ノ宮によって人生を潰される人間が出ちゃいけない

 だからこそ復讐の同士やこれから一緒に此処を生きていく仲間として宜しくな聖!」

俺が手を差し伸べると、聖はにっこりと笑い力強く握る。

正直、聖の握力が強すぎるせいか

とても痛いが、ここで手を離してはかっこつかないのでやせ我慢をしていた。

俺の手は真っ赤になりそうだが、力強く握られたこの絆は簡単には切れないだろう。

聖が力強く握る理由はせっかく見つけた同じ境遇の仲間を離しはしないと言う気持ちの表れなのかもしれない。


ここに来て共に心が通じ合える初めての仲間が増えた瞬間だった。


第4話へ続く

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