第6話
高知から帰ってきた僕は完全な抜け殻になっていた。
家族も心配していたが生きる気力が全くわかず
ただただ泣くかボーっとしながら過ごしていた。
彼女の後を追うことも考えた。
そんな日が続いたある日、電話が鳴った。彼女の同僚の
黒木さんだ・
「久しぶり。元気にしてた?ちょっと話があるんだけど
病院まで来てもらえないかな?」
「分かりました。今夜行きます。」
僕はそれだけ答えると電話を切り約束どおりその日の夜
病院に向かった。病院の前で黒木さんが待っていた。
「ごめんね。急に呼び出しちゃって。真君、今日が何の日か
分かる?」
と突然そんな問いかけをしてきた。
僕は分からないと答えたら黒木さんは話しを続けた。
「やっぱり忘れてるわね。今日は真君の誕生日じゃない!
これ、真君が20才の誕生日を迎えたら渡して欲しいって梨紗に頼まれたの。」
そう言うと手紙を差し出してきた。僕はその手紙を受け取って神社の境内に行って
読むことにした。そう、その場所は僕達が付き合うことになり初めて口づけを交わした
二人の原点になった場所だ。
腰掛けて手紙の封を切り読んだ。懐かしい字だ。その手紙は紛れもなく彼女によって
書かれたものだった。ところどころ字がにじんでいる。恐らく泣きながら書いて
涙でにじんだのだろう。
手紙にはこう記されている。
「真へ
お誕生日おめでとう。真はどんな青年に成長したかな?真がこの手紙を手にしていると言うこ とは私はもうこの世にはいないんだね。成人した真の姿を見られないのは凄く残念です。それ に一緒にオーストラリアに行くって約束果たせなくてごめんね。私は、この世を去っても真と 過ごした日々の思い出、真の優しさ、真の笑顔、腕のぬくもり絶対に忘れません。これから社 会にでると色々な困難にあうこともあると思うけど私は天国からずっと見守っているからね。
一杯恋もして幸せな人生を送ってね。そろそろお別れの時間です。最後に私は真に一つの魔法 をかけます。それは真が私のことを忘れて幸せな人生を送れる魔法です。目を閉じてくださ い。1,2,3って数えて目を開けてください。その瞬間、真は新しく生まれ変わって恋に勉強に 一生懸命励むようになります。
本当にありがとう。さようなら。この手紙は読み終わったら燃やしてください。
梨紗」
僕は手紙に書いてある通り魔法を実行した。目を開けた瞬間彼女の声がかすかに聞こえた。
「ありがとう・・・」
と。僕は泣きながら彼女の名前を叫んだ。
「りさぁ!!」
僕も心の中で何度も謝罪と感謝の言葉を叫んだ。彼女は病気で苦しいときも僕のことを
考えていたと知って改めて自分の弱さを恥じ、後悔した。
その翌日から魔法が効いたのか僕は生まれ変わった。
中途で専門学校の入学が決まり語学の専門学校に通い始めた。
新しい生活が始まったのだ。




