第230話 最悪の展開
クレナイさん・ガーネットさん・シーナさんの3人部隊vs僕。
クレナイさんは加速し、ガーネットさんは減速し、シーナさんは足を止めた。
綺麗に前衛・中衛・後衛に分かれた。
シーナさんは狙撃銃を構え、スナイパーに徹する動きだ。
アタッカー・ボマー・疑似スナイパー、ってわけだね。この組み合わせはバランスが取れている。厄介だ。
「近づかせるわけには!」
「どっかーん!!!」
ガーネットさんは手に持ったやけに長いバズーカからミサイルを発射した。
まだ距離があるのに、ぐんぐん迫ってくる。
(ミサイルにしては速い!!)
ラピットミサイルとでも呼ぼうか。弾速が速い。
僕はスタークを狙撃モードで起動、すぐさまミサイルを狙い撃つ。けど、ミサイルは軌道を大きく曲げ、弾を躱した。
追尾の動きじゃない。
「今の動き……脳波感応!?」
スタークを速射モードにし、手数を使ってミサイルを撃墜するも間髪入れずシーナさんからの狙撃が飛んでくる。
「くっ……!」
飛び上がって狙撃を回避。
アステリズム12基を展開し、クレナイさんに向けて発砲。クレナイさんは防御を固め、足を止める。
「どどどどど……!」
ガーネットさんは腰にぶら下げていた8本の筒を展開する。
(きた! バズーカピース!!)
ピース系武装の1つ。アレは過去の戦闘でも使っていた。
見た目はシンプルなバズーカ。脳波で操ることができ、ミサイルを遠隔で放つことができる。
「どっかーん!!!」
ガーネットさんはバズーカピースを高速で動かし、角度をつけて8発一気に放ってくる。
僕が迎撃態勢を取ると、シーナさんがまた牽制の狙撃を3発放ってきた。僕は迎撃態勢を崩さぬまま、一歩だけ引き、体を傾けて3発の狙撃を躱す。
(シーナさんにしては狙撃が甘い。牽制になってないですよ)
アステリズムでミサイルを除去。
ガーネットさんがまたもやラピットミサイルを2発放ってきたので、スタークの連射で撃ち落とす。
「ダメだ! ガーネットさんばかりに気を取られると……!」
「――ようやくここまで近づけたぞ! シキ!!」
クレナイさんに艦上まで到達される。
クレナイさんは大剣インフェルノを抜き、接近してくる。
「ワンオフ式……!」
ワンオフ式サーベルを実体化させ、高出力で横に薙ぐ。クレナイさんは大剣でワンオフ式の攻撃を受け止める。僕は左手からデコイバルーン3体を射出し、クレナイさんにぶつける。その間にウィングを展開。後ろに飛んで距離を稼ぐ。
「うっぜぇ真似を……!」
(距離……まずは距離を!)
「次の花火いっくよー!!!」
「……!!」
ガーネットさんは両肩にそれぞれミサイルポッド(9砲口)を装備した。
「ショルダーミサイル!!?」
ガーネットさんは僕に向けて一気に18発(9×2)のミサイルを発射する。
(張り付いてもいられないか!)
飛び上がり、艦上から離れる。
ミサイルは僕が大きく動いても、追尾してくる。
「追尾式……! それなら!!」
僕はデコイバルーンの残り2体を左右にばらして配置。
デコイバルーンには僕と同じ反応を発する特性があるため、追尾ミサイルの半分はデコイに吸われていった。残りの9発はΔシールドで処理する。
(ガーネットさんが思っていた以上に手強い! 凌ぐのでやっとだ!!)
「お待たせぇい!!!」
爆風を突っ切って、クレナイさんが飛んでくる。
「緋威!!」
僕は紅蓮のマント・緋縅を展開。
「パロさん! テンパチください!!」
『承知!』
クレナイさんは大剣と両足サーベルによる三刀流を繰り出してくる。
(この前のミフネさんとの戦いで手数の多い攻撃には慣れた! それに、この動きやすい宇宙ならば……!)
大剣の縦振り→横に1歩スライドして回避。
右足サーベルの横薙ぎ→上昇して空振りさせる。
3本の乱斬り→後退して全回避。
クレナイさんの斬撃を全て躱すことに成功。
「相変わらず接近戦も一流だな……!」
コンボの隙間! ――狙える!
「はあぁ!!」
僕はクレナイさんのお腹を蹴り飛ばす。
「あめぇ!」
クレナイさんは蹴られながらも右足のサーベルを振り上げてきた。
「炎纏!!!」
僕は緋威・炎纏でサーベルを受け流す。
「ちぃ!」
(クレナイさんも宇宙に来て動きの鋭さが増している。攻撃に『粘り』がある)
緋縅解除。
艦上の射出口から108連装ミサイルポッド・テンパチが射出される。
「まずい」
ガーネットさんがテンパチに視線を向けている。狙う気だ。
「おっきぃ花火になりそうだねっ!!」
ガーネットさんは装備している全ての武装をテンパチに向ける。
「させません! ――脳波同調ON!」
テンパチと僕の脳波をリンクさせる。
ガーネットさんの一斉砲撃。
僕は右手にスターク、左手にアサルトライフルを展開する。スタークとアサルトライフルの双銃でガーネットさんの放ったミサイルをできる限り撃墜。テンパチを脳波で動かし、残りのミサイルを回避させる。
テンパチは無事、僕のところまで飛んでくる。僕はウィングをデータ化し、スラスターにテンパチを接続する。
「これで一掃――」
と思ったら、クレナイさんとガーネットさんが撤退を始めた。
僕から離れ、アスター2からも離れていく。
「あれ……?」
こっちがテンパチを持ったからって、まだあっちの方が優勢のはず。
――違和感。
そういえば、途中からシーナさんの援護が無かった。
「しまった……!」
コロニーの方を見る。
コロニーの入口に、シーナさんが近づいていた。
シーナさんは入口に到達。入口から僕をチラッと見て、コロニーに入る。
「そういう手ですか……!」
僕は今、二択を迫られている。
1、アスター2を放置してコロニーに突入する。
2、コロニーを放置してアスター2を防衛する。
1の選択肢、コロニーに突入した場合。
ほぼ確実にクレナイさんとガーネットさんにアスター2を撃墜される。今の手合わせでわかった。あの2人が連携を組んだらサブシップだけでは止められない。僕が離れたら100%アウト。
でも、コロニーに突入してシーナさん撃墜&コロニーキャノン掌握を成せたならば、サブシップ1隻の損失なんて問題にならない。
次に2の選択肢、アスター2の防衛に専念した場合。
上手く事が運べば敵サブシップとクレナイさん・ガーネットさんを撃墜できる。けれど、上手くいく可能性は限りなく低い。逃げに徹されたら仕留めきれないだろうし、相手がそうする可能性は大いにある。最悪、敵艦は落とせず、主力も削れず、シーナさんにコロニーキャノンを使われてアスター2が落とされる。そうなったらもうこちらに勝ち目は無い。
となれば、どちらを選べばいいかは明白。
「すみませんパロさん。後は任せます」
『え!? おいおいお嬢さん、冗談言っちゃ――』
「できるだけ逃げてください!」
『ええええぇぇ!!? ガチで言ってますぅ!?』
僕は単独、コロニーへ向かった。
中衛は前衛と後衛の間のことです。アタッカー程前に出ないけど、スナイパー程下がらないガンナーやボマーがあたります。
オリジナル語録……では無いです。ネトゲで使われていたことがあるようです。これもネトゲみたいなものだからちょうど良かったです。





