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星撃ちの魔術師  作者: 星宮 しずく
9章.宝箱はグリーンフラッシュ
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4.セレナ危機一髪

前回の三秒あらすじ

難関な門を見事通りました。

 無事休養室に着いたセレナ達。休養室には誰もいなかった。

 

「ふふ、無用心ね」

「………」

 

 セレナは何も返せない。セレナ自身も春先までは鍵をかけずに家を出ていた事が何度もあったそんな日に限って天八座の誰かが来るという事が多数あった。

 ルーチェはセレナから鞄を受け取り、開ける。

 すると、クルッと回りながらベガが出てきた。

 

「ふふ、お疲れ様」

「はい。ルーチェ様。セレナ様もありがとうございます」

「は、はい…」

 

 丁寧にペコリとされたセレナはタジタジになる。

 

「さて、セレナちゃんには護衛に行ってきてもらおうかしら」

「……や、やっぱり帰るとか…」

「ふふふ」

「…なんでもありません…」

 

 ルーチェに背を押されて扉から出されるセレナ。ベガもセレナのそばに居る。

 

「なにかあればベガに頼って頂戴。私の子は優秀なのよ」

 

 ルーチェはベガに信頼を寄せているようだ。ベガだけでは無くルーチェの家のメイドなど、身近にいる人を信用、信頼しているようだ。セレナにはできないことである。

 

 同じく鞄にいたユリもルーチェの方に行く。暑いため、外に出たくないのだろう。

 

「いってらっしゃい。頑張って頂戴ね」

「……」

「返事」

「は、はい…」

 

 返事をすればすぐに扉は閉められる。追い出されたようだ。扉の奥からはユリの「主!がんばってな!!」と言う呑気な声がする。

 

(……ど、どこに行けばいいの…)

 

 先程は会えたが、今はどこにいるのか分からない。セレナが立ち入れない所にいたら護衛をしようとしても出来ない。

 

「セレナ様。白髪の方…第三王子が一人で歩いております」

「え…⁉」

 

 それに慌ててセレナは遠視魔術を掛けてみる。確かに、先程会った人だ。

 

「な、なんで一人…あ、アルルさんは⁉」

 

 セレナは駆け出し外に出る。外に出るとやはり注目の的になった。元は男しかいない大学。今日は大学を開けているからか、女性も少なくは無い。だが、男の人よりはずっと少ない。

 そして、セレナはメイド服を着ているのだ。メイドが主人なしで動き回っている。本当にメイドだったら即刻クビだ。

 

「…い、いた」

「第三王子。間違いありません」

 

 エリアスは周りをキョロキョロしながら茂みに入っていく。

 

(そ、狙撃されそうな場所…い、行かないで…)

 

 セレナは木陰に隠れつつもエリアスの行方を見守る。「あれなに?」と子供たちに言われているが知らないふりをする。自分の評価より、王族の方が優先だ。

 

 重さが違う。

 

(…殿下、何かつけてる?)

 

 セレナは遠視魔術を掛けてみる。エリアスには控えめな王族の証のイアリングやブローチ等を付けている。

 

 そして、肩にはペリースをつけている。

 いつもはつけていない。

 

(王国の紋章は無い…。私物?)

 

 もっとよく見ようとするが魔術越しに視線が合う。

 

「ひゅ⁉」

「誰だ!」

 

 エリアスの怒号が聞こえてくる。セレナは木の後ろに隠れて小さくなる。

 この王国の三人の王子は魔術は使えるがそこまで勉強はしていない。ただ、魔術の強い父から産まれたのだ。三人とも誰よりも上手く使えるだろう、という自信があるのだろうとセレナは思っていた。そのため、セレナは油断し、舐めていた。魔術に気付く訳が無い、と。

 

「出てこい!不届き者!」

 

 エリアスは基本的に大人しいがやはり王族。常に命を狙われている為警戒心は高いようだ。エリアスがどんどん近付いてくる気配がする。

 

(ど、どどど、どうしよう…。ルーチェ、さんのメイドさん達にめ、迷惑かける…そ、それだけは、それだけは無理!)

 

 セレナは口を覆うようにして隠れている。

 

「仕方が無いですわ」

 

 ベガが仕方が無さそうにくるりと回る。すると、シュパッと現れたのはオレンジ色の髪の……女の子姿の誰かだ。

 

「だ、だれ…?」

「それより、そちらの鞄のものを出して足に当ててください」

「え?」

「早くしてくださいまし」

 

 セレナは慌てて鞄から布を取り出し、女の子に渡す。そして、目の前の女の子はスカートを膝まで上げ、膝小僧に布を当てる。

 

「見つけた」

 

 ひゅ、と息が抜ける音がセレナから聞こえる。ギ、ギ、ギ…とブリキ人形のように振り返ると小刀を目の前に突きつけられていた。

 

 突きつけているのはエリアス。

 

「汝、メイドだな?何をしている」

「え、あ…」

「殿下。このお方は私を助けてくださったのです」

 

 女の子が助太刀に出てくれた。すると、エリアスは怪訝な目をしながらも小刀を仕舞う。一体何処に隠し持っていたのだろう。

 

「ここに私がいたのは忘れろ。いいな」

「ももも、もちろんで、ございます!」

「言ったらどうなるかわかるな」

「ももも、もちもちろんでございます」

 

 エリアスは興味を無くしたようにセレナと女の子のから離れる。セレナは、ホッと息を吐いて安心するが、視線は女の子に向かう。

 

「そ、その…ありがとうございます…。そ、それと、どちら様…ですか」

「あらセレナ様。お忘れですか?」

 

 女の子はクルリと回る。すると、ベガが出てきた。

 

「ベガですわ」

「…え?」

「人間に一時的にですがなれるのです」

「…そそ…そそ」

 

 セレナは同じ言葉を繰り返す。ベガが人間になったのはセレナの前では始めてだ。驚かせたかとベガは思うがガバッと顔を上げたセレナは驚き…というよりも興奮に陥っていた。

 

「そ、それって、上級使い魔の特権ですよね!は、初めて見ました!本では何度か読みましたけど、あんな感じに変身するんですね!あれの仕組みってどうなっているんですか!まだ、誰も解明できていないのですよね!わたしも考えてみたんですよ!まずですね──」

 

 セレナはキラッキラとした目でベガに詰め寄った。このまま自由にさせていれば三時間は話し出しそうだ。

 

 ベガは、セレナの前から離れ、エリアスの方へ向かう。

 

「護衛をしましょうセレナ様」

「で、でも…」

「行きましょう」

「…はぁい」

 

 セレナはショゲているが歩き始めた。

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