8.魔術戦終了
前回の三秒あらすじ
勝敗が決まりました。
「さて、おめでとうトール・ナンシェ君。ルークス・サッチラン君」
「あ、ありがとう、ございます…」
「ありがとうござまます」
元気は、一位の授与式だ。失格になった後に上の方から見ていたがセレナから見ても中々よく分からない戦い方をしていた。
「うぅ、さすがトール…。強いな…」
「…トール、さんって強いの…?」
「え、うん。魔術だけなら学年で一番出来る」
セレナは、トールを見てみる。オドオドとしていてセレナが言えることでは無いが弱そうに見える。一方ルークスという人は感じが悪そうだ。
最近現れると言われる不良という何かを感じる。
「……怖い…」
「それ、セレナが言うかな…」
トールとルークスは謎の紙を持って壇上から降りてきた。どうやら騎士団へ推薦書の様だ。
ルークスは大喜び。トールは困った顔をしている。
「これにて魔術学園の魔術戦の一切を終了します!」
アナウンスが、そういうと魔術の花火が打ち上がる。多分、幻創術だろう。
アナウンスが終わると貴族、主に男性がグラウンドに降りてくる。迎えや勧誘だろう。
「あーあ、負けちゃった…」
「で、でも、頑張ったね」
「うーん…。まぁいいっかセレナの作戦は大成功だったし!」
いえーい、とルナはセレナにハイタッチを求める。セレナは、片手で応じた。
「ルナ」
振り返るとそこにはシャーレイがいた。一人のようだ。
「…なに?」
ルナは少し不機嫌そうだ。自身が負けたと思っているのだろう。シャーレイは魔力切れ、ルナは攻撃を受けて失格。魔力が切れてなければシャーレイが勝っただろうと認識しているのだろう。
しかし、シャーレイはとても何か言いにくそうにしている。
「と、とても楽しかった…ような気がしなくもなくもない…気がしますわ」
「どっち⁉」
シャーレイは頬を赤らめゴホンと咳払いをしている。
「つ、つまり…来年は負けないという事ですわ」
「…!いいよ。来年こそ絶対に勝ってやるから」
「あら、余裕そうね。来年の優勝旗はあたくしが頂きますわ」
「ふーん。シャーレイこそ余裕そう。その笑みはいでやるから」
雰囲気はバチバチなのに何処か楽しそうな二人。
(る、ルナ…言葉がちょっと悪い…?)
所々に出る少しの柄の悪さ。ルナは男爵令嬢なので綺麗な言葉を使っていると思ったが案外そうでもないかもしれない。
「お、いた」
「ふふ、本当ねぇ」
ルナとシャーレイは顔をあげる。セレナは、ビクリとし後退りを始める。
リーナとルーチェが居たのだ。
「お初にお目に掛かります。天八座空間術筆頭様、治癒術筆頭様」
シャーレイは、すかさず両足をおり、膝まづく。ルナは、シャーレイの後ろに行き膝まづく。シャーレイの方が貴族階級が上だからだろう。
セレナは、後退りをしたままで膝まづく事もしない。傍から見れば礼儀のなってない小娘だ。
「あらぁ、ご丁寧な挨拶ね」
「ほーんと。最近の子は偉いね」
ルーチェとリーナはいつもの調子だ。セレナだけがあわあわオドオドしている。
「ふふ、顔を上げていいわよ」
ルーチェに言われ二人は顔を上げる。
改めてルーチェとリーナを見ると中々種類の違う美人といえる。
ルーチェは、温厚で柔らかい。一般的に万人受けと言われるだろう。髪の毛にはどういう原理でついているのか分からない星がついている。
リーナは、ルーチェとはほぼ反対の姉御肌だ。世話を焼き、怒る時は怒る。そんな人だ。今日もチャームポイントの真っ赤なヒールを履いている。
「よーし、えっとシャーレイちゃんにウチは用があるんだ」
「ふふ、わたしはルナちゃんによ」
「「??」」
ルナとシャーレイは顔を見合せて何も分かってないようだ。そんな二人を置いてルーチェとリーナは、とある紙を出した。
「ルナちゃん。貴方にわたしの弟子になる提案書を上げましょう」
「シャーレイちゃんには、ウチの弟子…ていうかなんというか…まぁ、ウチの元で魔術を学ぶ権利をあげましょう!」
どうやら二人はルーチェとリーナに見込まれたらしい。
キョトンとしていたが次第に顔が明るくなっている。しかし、後ろにいるセレナは顔が真っ青だ。
(む、むり…な、ななんで二人がここにいるの…ああ、あとの二人…いない、いや来なくていい!!絶対にこっちに来ないで…)
ルーチェとリーナが近くにいる事にとても動揺していた。
「「ほ、本当にいいんですか?」」
二人は興奮した様子で詰め寄っている。とても嬉しそうだ。
「ふふ、治癒術を一週間であそこまで使えるのは才能よ。是非わたしの後を頼みたいわ」
「そーそー、攻撃術使える上に空間利用。ウチの弟子には十分すぎる!これ以上の好条件無いよ?」
天八座の二人はドヤっとしている。
ルナとシャーレイは、先程まで争っていたとは思えないくらいに嬉しそうだ。ハイタッチをしている。
「なぁ、セレナ。お前何してるんだ」
「ひっ」
セレナは、後ろから声がかかった事に動揺し直ぐに離れる。
「そこまで…あ、学園だからか。悪い」
セレナの後ろにいたのはセレナの同僚であり、天八座幻創術筆頭のアルル・バンビーノ。大学から直接来たのだろう。ローブの下の服は私服のままだ。
先程の花火もアルルが上げたに違いない。
「な、なんですか…。わた、わたし絶対に目立ちたくないんです…」
「わ、悪い…じゃ、後で話す」
「そ、そうしてください…」
アルルは申し訳なさそうに離れていく。一体何がしたかったのだろう。
セレナは、シャーレイとルナの方を見る。直々にルーチェとリーナの名前が入った紙を貰えて喜んでいる。
(…すごいな…頑張って欲しいな)
将来もキチンと考えているであろう二人。いい道に進んで欲しいとセレナは願うのだった。




