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076●憎しみの連鎖を断つものは
振り下ろす剣!
憎い、憎い、父上の仇!
憎い、憎い、憎い
・・・はずなのに。どうした、わたし・・・。
賢者の剣・音羽。
それは大地を穿っていた。
しかも、殴打モードで。
宗主様がやさしく声をかけてくださる。
「綾姫。そうだ、その怒りこそ、わたしたちが戦うべき相手なのです。怒りや恐怖、嫉妬や強欲。それらが、他者への暴力を生むのだと、わたしは思います。」
・・・みんな済まない。仇は取れなかった・・・。
振り返ると17名の仲間たちが、わたしを見つめている。
大きくうなずいている。そうだ。そうだな。
「わしを討たんのか?!後悔することになるぞ!」
「では、後悔させてもらおうか。何度でも、我々は立ちはだかる。己が野望のために、無辜の命を奪うのであればな。心しておけ。」
音羽を鞘に納める。
みんなが駆け寄ってくる。抱き合い、涙する。
ああ、これでいい。
このことで、後悔するはずがない。
この剣は人を斬るためのものではない。
憎しみの連鎖を断つためのものなのだ。
この戦国の世に、わたしたちのような者がいても、よいではないか。
手を取り合いながら、改めて意を強くする。
ありがとう、みんな。
ありがとう、宗主様。




