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068●決戦の地は

ラベリア軍の物資不足の深刻さは、誰の目にも明らかになりつつあった。

初冬の寒さに薪を探す。焼け落ちた家屋の跡から、使えるものがないか、見て回ることが日課になる。

水の手配も重要だった。これだけの人数のための水源を、進軍しながら都度都度、求める部隊が行く。

もちろん、食糧も。不案内な土地での探索は、実際に動いた距離より長く感じる。


稀に届く物資は、帝王や指揮官たち、上層部に優先的に供与される。

一般の兵卒、とくに部族国家の兵の中には、夜陰に紛れて戦列を離れる者が現れている。


帝王は焦燥に駆られていた。

行けども行けども、敵の軍は現れない。

このまま、大きな戦闘もせず、引くわけにはいかない。

ラベンダー伯爵領まで到達できれば、その先に敵の逃げ場はないはずだ。

だが、険しい山々が要害として立ちはだかる。

隧道はあるが、その中で迎撃を受ければ、数の多さを活かすことはできない。


どこかに決戦の場はないのか。

どうにかして、平原での正面対決に持ち込めないか。

このままでは、何もしないまま、軍全体が瓦解する恐れがあるのだ。


帝王は命じる。

「ヴァルター・グレイヴス将軍に先鋒を務めさせよ。余は親衛隊とその後ろにつく。伯爵領に入る前の平原に布陣するぞ。他の部隊は山路を探して登れ。伯爵領の後方より多方面から攻め込むのだ。臆病者たちを追い出し、余のところに追い込め。キツツキのようにな。」


本格的な冬が来る前に、必ず決着をつける。

ボレリアにはない急ぐ理由が、ラベリアにはあった。


しかし、このラベリアの作戦は、ひとりの人物によって探知されることになる。

運命の日が迫っていた。


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