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6/9

⑥長身イケメンの正体が分かりました。

「アハハ! 納得したわー!

 だから私を呼び出したのね。

 変だなとは思ってたのよ」


 カナデ先輩は腹を抱えて笑った。


「でも、家に来てるとか、言ってたじゃない」

 エナが言った。


「後で話すつもりだったけど、言いそびれてた」


「防犯の為に、一人暮らしを隠してるエナと一緒ね。

 防犯の為にシャツを干してるなんて言ったら、防犯の意味無いもんね」


 先輩は涙を拭いながらソファに座り直す。


「でも、残念。ゼウスに会えるチャンスかと思ったのに。

 ゼウスは大学OBで、一部の上位しか会えない。

 私もアレースの男に集会に連れて行ってもらったことあるけど、会ったことないわ」


「そのアレースとかゼウスって何ですか?」


「ライオンファミリー内部の階級名称よ。

 原則、下級は上級に逆らえない。

 上級から承認をもらわないと級は上がらない。

 承認に、学部や年齢は関係ない。


 内部限定のものだったのに、OBが就職後も有利不利の差をつけだしたから、ファミリー関係なく上位の影響力が強くなってしまった。

 極め付けは、ファミリー出身の弁護士が結束したこと。

 これで面倒ごとは都合良く解決出来るようになったわ。


 階級名はギリシャ神話の十二神が使われているの。

 最高位がゼウス。

 次にアポローン。

 学生がなれるのはアポローンまで。実質学生トップ。

 その次がアレース。

 その次はヘーパイストス、ポセイドーンの順だったかな。

 まぁ私は、アレース以上に興味がないし。


 前アポローンはこの3月に卒業したから、誰が次のアポローンになるか注目してるの。

 4月中に発表があるのよね」


 私はハッと思い出す。

 マサトさんは五籐に「僕はアポローンだ」と言っていた。

 マサトさんもライオンファミリーてこと?!

 私のこともペットみたいに品定めしてたの?


「シャツの効果は抜群だったんじゃない?

 ゼウスの彼女には、誰も近付けないもの」


 カナデ先輩の言葉に、私は渇いた笑いしか出来なかった。


「ところで先輩は、高富雅人は知ってますか?

 法学部1回生です。

 『自分はアポローンだ』って言ってました」


 カナデ先輩の目が見開く。

 隣で寝ころんでいたエナも起き上がる。


「新アポローンに会ったの?!

 確かに、内示はされているはずだから。

 高富……そうか……」


 カナデ先輩はそう言いながらスマホを触る。


「うん、やっぱり。

 そいつ、ライオンファミリー創始者の子孫かも。

 創始者も高富なの。

 あと30年位前のアポローンも高富で、こいつは創始者の直系親族だって書かれてる。

 年齢的に新アポローンの父親の可能性あるね」


 私は頭を下げた。

 マサトさんはライオンファミリーとしてラビットの私に近付いたのだ。

 五籐の「青田買い」という言葉が悲しい。


「私、五籐一族がファミリーを牛耳ってるって聞きました。

 てっきり五籐の親が創始者だと思ってました」

 エナが言う。


「今みたいなラビット小屋やOBシステムを生まれたのが、2〜30年前の話だからね。

 このアパートを建てたのも五籐建設だし。

 だから、五籐の権力が強い形になってる」


 カナデ先輩はエナにファミリーの歴史を話した。

 相当調べているのが伝わってきた。


 私はトイレに行き、会話から離れた。

 マサトさんがライオンファミリーだったことがショックで仕方ない。


 胸に手を当てる。心臓がドクドク鳴っている。

 少しホッとしたのと、新しいモヤモヤが浮かんでいる。


 マサトさんと先輩は知り合いじゃなかった。

 マサトさんの3階の友達は、先輩じゃない。

 じゃあ、別の3階に住む女の子ってこと……?


■■■■■


 翌朝、私は先輩とエナに叩き起こされた。

 二人は既にヘアメイクも着替えも終えていた。


「早く起きて支度しなさいよ!

 学内カフェでモーニング行くんだから!」


 カナデ先輩が強引に私の布団を片付けていく。


「大丈夫ですよ。5分以内に出られます」


「え? 化粧しないの?

 道具貸してあげるよ?」とエナ。


「ありがとう。

 でも普段から日焼け止めしか塗ってないし。

 今日は日焼け止めも無いしね」


 私はそう言って、トイレに向かう。


「先輩、どうします?」

「決まってるでしょ」


 という二人の会話が聞こえてきたが無視する。

 洗面所で顔を洗い、歯を磨く。

 髪は着替えた後に適当に結べば良いや。


 リビングに戻ると、私は二人に捕らえられる。

「な?!」


「フフフフ。覚悟なさい」


 カナデ先輩がニヤリと笑った。

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― 新着の感想 ―
[一言] 災難だったなぁホント(゜Д゜;) 私だったら大学辞めてまで引っ越すよぉ。
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