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異世界で道化師は笑う  作者: √3
序章
4/20

説明のお時間です 2

ごめんなさい、説明会はこの次で終わります。

その後は待ちに待った異世界です。


無詠唱を技術からスキルに変えました

 自分ですらまともに自覚していない曖昧な願望まで表示されているステータス。

 それを見ているとまるで自分自身を再確認しているような錯覚に陥りそうになる。

 

「それでは説明を続けますのでステータスの確認は転生後にお願いします」


 颯太はどんどん確認したいという衝動を抑え、渋々とステータスを消した。


「それでは、説明を続けさせていただきます。颯太さんは魔法がどのようなものか知っていますか?」


「いや、アニメや漫画みたいのなら想像できるが見たことがないからわからない」


「魔法というのは……」


 リイン曰く、魔法というものは魔力と呼ばれるエネルギーを使って自らのイメージした現象を具現化するということが定義らしい。

 例えば、火の玉を出したいときは自分の望む火の玉をイメージをすることによって発動することができる。

 しかしこの方法、俗に言う【無詠唱】と呼ばれるスキルは第一に自らの魔力を感知しなければならない、この魔力を感知するということ自体がかなりの難易度なのだ。

 なぜなら魔力は視認することができない、ゆえに見えないものを感知しなければならないからだ。


 次に、イメージ力の問題である。

 ただ漠然とイメージしただけでは魔法は発動しない、その魔法が発動するまでのプロセスをしっかりと把握し、イメージしなければならない。

 先ほども例に出した火の玉の場合は、まず自らの魔力が火に変わるイメージをする、次にその火が球になるイメージをすることによって発動することができる。

 よって【無詠唱】というスキルはかなりの高等技術ということになる。


 なら魔法を使うことは難しいのかと聞かれるとそういうわけでもない。

 【無詠唱】なんて呼ばれるスキルがあるのだから詠唱というものも存在する。

 詠唱は言葉によってイメージを補完することによって自動的に魔法を発動することができる技術である。

 しかし詠唱には魔法ごとによってきまった形があり、その決められた詠唱を行わなければならない、よって詠唱のない魔法に関しては発動することができないのだ。

 その点、自由に発動することができる【無詠唱】に比べると汎用性が低いが、詠唱の利点は詠唱さえ覚えてしまえば誰でも魔法を使うことができるということだ。


 ほかにもいろいろあるらしいが、それらに関しては自分で調べてほしいとのことだ。


「なるほど、なんとなくだが理解はできたと思う。次に行ってくれ」


「大体の説明が終わりましたので、最後にお詫びとしての特典を選んでもらうことになってます」


「お詫び?ああ、間違えて死なさせてしまったことか。別に俺は雪を助けられたからそれでよかったんだけど……・もらえるならもらっておく」


 と遠慮がちに言っているが内心ではワクワクしている颯太。

 そんな颯太の心を読んだリインは苦笑いしながらも颯太の目の前にパネルを出現させた。


「そこに表示されているスキルから好きなものを10個まで選んでください。ちなみに表示されているのは基本スキルと発展スキルだけなので、例外はありますが、ここでとらなくても後々努力次第では習得できるので心配しないでください」


 颯太がパネルを見るとそこには膨大な量のスキルが表示されていた。


(これは……多すぎないか?この中から十個選ぶのは大変そうだ……)


「心配しなくて大丈夫ですよ。特に時間に制限はないので、納得いくまで選んで結構ですから」


「なんかめちゃくちゃ親切だな。じゃあ遠慮せずに選ばせてもらうことにする」


「いえ、私も久しぶりに話し相手がいて感謝してますから」


 と笑顔で言ってくるリインに見惚れそうになるのを我慢して、颯太はスキルを選ぶことに集中することにした。

 改めてパネルを見ると、やはり問題はスキルが多すぎることだろう。

 それも当然だろう、基礎スキルには戦闘系の【剣術】や【槍術】はもちろん、日常で使う【算術】や【農業】、さらにどこで使うのかもわからない【一発芸】や【腹踊り】などの謎のスキルまで多岐にわたる。

 それに加え、複数の基礎スキルを融合または単一の基礎スキルを昇華させた発展スキルまで表示されているのだ。

 なのでパネルに表示されるスキルが膨大になるのは仕方のないことなのである。

 しかし、見方を変えるとそんな膨大な量のスキルすべてがのっているこのリストはすごく貴重なものだともいえる。


 そこで颯太は何か気になるものを見つけたのか、うーんと悩んでいる。


「どうしたんですか?なにか悩んでいるようですが」


「ああ、この魔法の欄にある【火魔法】みたいな○○魔法というのはどう言うことなんだ?たしかイメージさえできれば魔法は発動するんじゃなかったのか?」


「そのことですね、先ほど説明していなかったのですが、魔法には適正というものがあって適正魔法以外はまともに使うことができないんですよ」


「つまりこのスキルは自分の適性を表しているってことか?」


「はい、魔法の属性というのは例外はありますが基本的には火、水、土、風の四大属性に光と闇を含めた六属性のことを言って、例えば火魔法のスキルを生まれながらに持っていた場合は火属性の魔法に適性があるということになります。」


「なるほど、でもさっき基礎スキルは努力次第では習得できるといってたけど、この魔法の適性に関してもそうなのか?」


 颯太は疑問に思っていた。

 先ほどリインは基礎スキルや発展スキルは努力次第で習得可能といっていた。

 しかし、適正というならばそれは生まれ持った才能ではないかと思ったからだ。

 しかも適正以外の魔法はまともに使うことができないのにどうやって習得するのだろうか。


「先ほど、例外があるといいましたが、適正がそれに当たります。適性はその人物の才能なのでよっぽどのことがない限り習得することができません。」


「ということはここでとらないと魔法が使えないということか?」


「そういうことになりますね。ちなみに発展属性である溶岩などは複数の属性が統合されたものなので持っているだけで火と土の適性を得ることができます」


 発展属性は基本の六属性を統合、または昇華させたものであり発展スキルにあたるものである。

 例えば、さっきも言った通り火と土を統合させると溶岩、さらに水を昇華させると氷になる。


「しかし、発展属性は元となる属性を極めていなければなりません。なので今ここで溶岩をとったとしても火と土を極めなければまともに使うこともできません」


「なるほど、全属性つかいたいならここで六属性すべて取らなきゃいけないのか……」


 異世界にいったらいろんな魔法で遊ぼうと思っていた颯太は残念そうに言った。

 ここで六属性も取ってしまったら、残り四つしかスキルをとれなくなってしまう。


「レールガンはやってみたいしな……でもメラ○ーマは外せない……」


 オタクならアニメや漫画で使われた魔法を一度でも使ってみたいと思うのは当然だろう。

 しかも目の前にそのチャンスが転がっているのだ、悩むのも無理ない。


 うーんうーんと悩んでいると、


「お悩みのようですね?私が一ついい情報を教えてあげましょう」


 心なしか微妙に誇らしげな顔をしているリイン。


(なんかこの顔で言われると若干むかつくなあ……まあ背に腹は代えられないか)


 颯太はイラつきを我慢してリインに頼ることにした。


「ああ、頼む」


「ふふふ、よろしい。では教えてあげましょう」


 やはり誇らしげな顔で行ってくるリイン。

 なぜだかテンションが上がっているみたいだ。


(うわあ、超むかつくな。そういえばゲーム好きだったんだよな、だからスキルみたいなゲーム要素でテンション上がってるのか?)


「むかつくってひどいですね……こういうの好きなんだからしょうがないじゃないですか」


 およよ、と泣くふりをしてくる。


(ゲーム要素からんでから性格が全くの別人みたいだな。どんだけ好きなんだよ……)


 はあ、とため息をつきながらも話が進まないのでリインをなだめることにした。

「悪かったって、頼むから教えてくれよ」


 すると、ぱっと泣くふりをやめ、また誇らしげな顔でこちらを見てきた。


「しょうがないですねぇ、颯太さんがそんなに言うなら教えてあげましょう」


(こいつこっちが下手に出たからっていい気になりやがって……このテンションまじでうざいな……)

 そんなことを考えてると、リインがじっと見てきたので颯太は急いで思考を中断し笑ってごまかした。


「まあいいでしょう。それでは発展スキルのところを見てください、そこに【賢者】というスキルがありますね?」


 パネルを操作して探してみるとそこにはたしかに【賢者】というスキルがあった。


「ああ、あったぞ。これがなんなんだ?」


「ふふふ、それはですねぇ、何を隠そう六属性の適性をすべて統合したスキルなんですよ!!」


 高らかに宣言するリイン。

 もはや最初のおしとやかな性格が見る影もない、完全に残念美人になり果てている。

 いちいちムカついているときりがないので颯太は気にしないことにした。


「なるほどな、これをとれば解決というわけか……そういえば空間とか時空魔法とかはないのか?」


 さっき出てこなかった属性だ、よく小説で出てくるテレポートやらアイテムボックスのそれだ。

 まさかないのか、と思い尋ねてみたのだ。


「それらのスキルは固有スキルに含まれているので私の権限では……あっでも、ちょっと待ってください。ステータスをもう一度見せてもらえませんか?」


 なにかを思いついたのか颯太にステータスを見せるように言ってきた。

 ステータスは完全に個人情報の塊だということがさっき判明したのであまり人に見せるものじゃないのだが。

 渋々と颯太はステータスを可視化させてリインに見せた。



 名前 霧崎颯太


 種族 人族(人間)


 職業 【月夜の道化師(ルナティック・クラウン)


 魔力 0


 称号 〖異世界人〗〖転生者〗〖読書家〗〖狂気願望〗〖物語を求めるもの〗〖笑いを渇望するもの〗 


 加護 輪廻の神 カルナシオンの祝福(異世界)


 固有スキル


狂気(ルナティック)


 職業スキル


仮面(ペルソナ)


 基本スキル


【並列思考】【高速思考】【観察】【算術】




「ふむふむ、やっぱり。颯太さん魔法系は心配ないみたいですよ」


 いきなりのことで唖然とする颯太。

 それもそうだろう、あれだけ悩んでいたのに心配ないといわれたのだ。


「それは……どういう?」


「この加護ですよ。すごいですね、さすが上位の神様!」


「そういえばさっきは気にしなかったけど、このカルナシオンというのは誰なんだ?」


 そう、完全に知らない名前の人から加護をもらっているのだ。

 といっても颯太があったことがある神様はリインのほかに一人しかいないので、ある程度予想はついているが……


「これは颯太さんの世界の輪廻の神様ですよ。さっき会いましたよね?」


 やっぱりか……と颯太はうなずいた。

 予想通りの答えが返ってきたが、名前を聞いていなかったのでまさかこんな名前だとは思わなかったのだ。


「それでそんな効果があるんだ?お楽しみとか言われて教えてくれなかったんだよな」


「他と同じでタッチすればわかりますよ」


 言われるがままにタッチすると、



 輪廻の神 カルナシオンの祝福(異世界)


 全属性に対する魔法の適性を取得する。

 身体能力の大幅な増加。

 成長速度が大幅に上がる。

 固有スキル【神眼】を習得



 ……なんだこれ。

 予想以上の効果に固まる颯太。

 カルナシオンのにやけ顔が目に浮かぶようだ。


「よし、気にしないことにしよう!じゃあスキル選びを再開するわ」


 あはは、と現実逃避に走った颯太を見てリインは苦笑いをしているが、気にしないでスキル選びに戻った。









感想、評価等もらえるとうれしいです。

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