↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生まれ変わっても、私はあなたの幸せを心から願う  作者: Kouei


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/17

第1話 記憶の中の香り

「ふふ、いけない人ね」


「自分だって、楽しんでいるんだろう?」


 月明りの中、まるでそこだけにスポットライトが当たっているかのように、ガゼボでいちゃついている男女が良く見えた。


(うわぁ〜っっ!!)


 そんな光景を陰で覗き見ていた私、ルナディア・カルテノ。

 先日デビュタントデビューしたばかりの子爵令嬢。


 今夜は招待された夜会に出席していた。

 けれど人込みに酔ってしまい気分を変えたくて庭園にやってきた。

 そんな中で私は、その迷惑なカップルを目撃中。


(なんでこういう人たちって場所を考えないんだろう。どれだけ自分たちの世界に入っちゃってるわけ?)


 …と思いながらも、私は目を覆っている両手の隙間からその様子を窺っていた。


(ま、このままここにいても仕方ないか)


 私は呆れながらもそっとその場から離れようとした時、一瞬風がふわりと通りすぎた。すると鼻に突くねっとりとしたあの二人の匂いの中に、微かに感じた爽やかな香り。



 …私は……この香りを知っている…




『ルナ!』


 可愛らしい男の子の声。



 ズキン!



「あっ…くっ」


 左から右に突き刺さるような突然の頭痛。

 私はふらつきながらも廻廊へと辿り着き、備え付けてある休憩用の長椅子に腰を下ろした。


「……うぅっ…」


 人気のない廻廊。

 助けを呼びたくても、誰もいない。

 声を出すのさえしんどい。


 その間も、容赦なく私の頭の中で鐘が鳴っている。

 音が広がらないように頭を押さえても、どんどん鈍い痛みが広がっていった。

 それと同時に、見知らぬ風景がランダムに頭の中に流れ込み始める。



「な…に…これ……っ」




『大丈夫だよっ 足が付くから暴れないでっ』


『ルナ、おまえは僕の初めての友達だっ』


『おいで、こっちだよっ』


『ルナ、僕の牛乳飲んでくれる? 嫌いなんだ』


『また猫にやられたのか~? 犬のくせに~っ あはは』


『ルナ、大好きだよ! ずっと一緒だよ!』




 私は一生懸命、彼の後を追いかける。

 きらきらの金髪に、きらきらの青い瞳の男の子を。


 知らない風景のはずなのに、()は知っている。

 切なくなるほどの大切な想い出…

 

 大好きな大好きな友達。

 ずっと一緒にいたかった。

 大切な……



「アーティー……」



 泣きながら愛しい人の名を呼ぶ。



 そう…私はかつて()()()だった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。