見世物と喝采
クズがクズを切り刻むお話その2です!(^^)!
依頼を受けた後の流れなんて大体決まってる。
現場を見る。
話を聞く。
情報屋を蹴飛ばす。
あとは犯人を探す。
今回向かう先は地下市場だった。
「やっぱニオイやだなーここ...鼻がひん曲がりそうだよ。」
「慣れる必要もないさ。さぁ、さっさと終わらせて地上に上がろう。」
呪符を束で売る露店。
瓶詰めの妖怪の眼球。
どこの誰のものかも分からない体の一部。籠の中では小型の妖怪が値札をぶら下げられたまま鳴いていた。
威勢のいい呼び込みの声と、胡散臭い笑い声が通路の奥から響いてくる。
まあ、台湾の夜市を死ぬほど不吉にしたらこんな感じかもしれない。
「例の二つの組織の奴らもこのB区市場が縄張り?」
「いや、別にそんなことはない。単純にここのほうが死体をいい値で売れること。そしてなかなか腕の立つ情報屋がいるからここに来ただけだ。」
「前者、初めて知ったんだけど?値の付き方に違いってあるんだね。」
「あるさ。若い、健康、奇術持ち。この辺は特にな。」
「へぇー。」
「覚えなくていい。」
「なんで?」
「お前が知ると余計な小遣い稼ぎを始めそうだからな。」
「おい、そこのもやしども、どけ。」
暮と会話をしていると後方から声をかけられる。振り向いてみると後ろには無駄に図体がデカい二人組がいた。顔にも腕にも傷が走り、まともな職には就いていなさそうな面構えをしている。
「貧相な体しやがって、大した強さも持たねぇ奴はオレの前を歩くな?わかったらそこをどけ。」
「誰こいつら?」
「知らん。大して名も売れないビジュアル系バンドってやつじゃないか?」
「あぁ、迷い込んじゃった一般人か。」
「オイなめてんじゃねぇぞ!」
「オレ達はいずれ『蜘』の上に立つ兄弟だぞ!」
「「ん?『蜘』?」」
聞き間違いかな?こいつ今自分たちのこと「蜘」って言ったよな?え、こんな運よく情報源手に入るわけないよね?そうだよね?
「あぁ、『蜘』の構成員の方でしたかぁ!すみません無礼なことしちゃってぇ。ほら廻も。」
「?...あぁ!もちろん。いやぁごめんなさいねぇホント...」
「フン、分かればいいんだよ。」
「そうだ。オレ達は近いうちに幹部になる男だからな。」
「「へぇー...」」
「今はB区を任されてる。」
「「へぇー。」」
「最近も色々忙しくてな。」
「「へぇー!」」
「んで、今日はこの死体を売りに来たところだ。」
暮の策で相手をおだて、情報を聞き出そうとした瞬間兄と思わしき人間が取り出した死体は
依頼人が見せてくれた家族写真。
そこに写っていた夫だった。
「へぇー...」
「廻。」
「?」
「楽しいか?」
「...まあね...だってさ、一瞬でこの依頼ヌルゲーになったんだもん...笑っちゃうでしょ!」
巨体の兄弟がこの会話に?を浮かべている間にオレは名刺入れを取り出す。「骸灯百鬼堂」のものだ。
「ごめんねぇオニイさん達、ちょっと話聞いていいかな?オレ達こういうものなんだけどッ」
オレは名刺を数枚取り出し二人の顔面目掛けてぶつける。
当の二人は、大量の名刺に目、鼻、耳、口の中を切り刻まれ、叫び声をあげた。
この名刺、見た目はただの紙切れだけど、暮が無駄に頑丈に作っている。おかげで投げ方次第じゃ、その辺のナイフよりよっぽど危ない。
「だから名刺を投げるな、印刷代が掛かる。それに...」
兄弟の悲鳴を聞きつけたのか、いつの間にか周囲の人だかりが膨れ上がっていた。
「なんだ!見世物か?」
「いいぞもっとやれぇ!」
「いたぶれぇ!」
「殺せぇ!」
「変に目立つことになるし、せっかくの情報源を殺さないと逆にコッチが観衆に殺される。」
「今日の情報屋、『死人に口あり』の傀儡屋さんでしょ?別に殺しても問題なくない?」
「一応聞きだしてみてくれ。」
「りょーかい」
オレは目の前に転がる二人組の片方の上に座り込む。
この期に及んで状況が整理できない二人は勝手にわめいていた。
「ふ、ふざけるな!」
「オレ達を誰だと思ってる!」
「だから聞いてるじゃん。片方は両目つぶれちゃってるからお前に聞く。改めてオレ達こういうものなんだけど?」
再び名刺を見せつける。
「骸灯...百鬼堂...?お、お前、く、久樂廻か...?」
「そそ、せーかい!この死体どこで手に入れたの?早めに吐いたほうが身のためだよ?」
オレの名前を見て兄のほうは顔をかなり青白くした。オレって結構有名なのか?
「『薄笑いの死神』なのか...コイツが...」
「何その二つ名恥ず。なんか変質者みたいだし。まあそうだよオレが巷で噂の?『薄笑いの死神』さ。」
「間違いねぇようだな...ククク...」
すると男はオレをはねのけ起き上がった。そして声高々に
「俺は鬼塚兄弟の長男、鬼塚剛牙!今お前を殺し弟、鬼塚猛牙の敵をとる男だぁ!」
と宣言した、と思ったらオレに近づき小声で
「まあ、お前が泣いて謝りオレに付き従うというなら、俺のブツにしてやらんでもn」
.........
......
...あれ?コイツ首の向き逆じゃね?あ、オレがやったのか。
「ごめん暮。さすがにキモ過ぎてつい...」
「まあ許す。」
「てかコイツ『弟の敵』とか言ってたし弟の方も殺しちゃっていい?」
「好きにしろ〜」
「やった!」
そしてオレは目を潰されてうずくまっている弟の方に向かう。当の本人は盲目なせいで状況がつかめていない。
「兄貴!兄貴、一体何が起こってるn」
「よっと!」
オレはそのまま弟の方の首をつかみ180度ひねる。
骨と肉の裂ける音を発し、コイツは倒れた。次の瞬間、
「「「イエェェェェェェェイ!!!」」」
とてつもない歓声が周りから流れる。
「今の見たか!?」
「首だけ持ってかれたぞ!」
「だから百鬼堂は面白ぇんだ!」
「暮もいいガキを産んだもんだ(笑)」
「俺ンじゃねぇ。」
「いいもん見せてもらった!」
いやぁみんなシュミ悪なぁ。賭けるとかいうんだったら真面目に働けばいいのに。
「さぁ、さっさとその死体二つ+依頼人の旦那さんのご遺体を運ぶぞ。後者は事務所に持って帰る。」
「りょーかい!」
オレは依頼人の旦那さんの遺体を暮へ預ける。
暮はそれを軽々と担ぎ上げた。
オレは鬼塚兄弟の死体を両肩へ引っ掛ける。
「コイツら、『死人に口あり』に運ぶけどいいよね?」
「いいが...あまりアイツの店を壊すなよ?」
「善処しまーす。」
そうしてオレは死体を担いだまま進みだす。
すれ違う連中は口笛を吹き、背後ではまだ歓声が続いていた。
「またやってくれよ兄ちゃん!」
「次は賭けに参加させろー!」
「いやぁどうもどうも~」
適当に手を振りながら、オレは市場の奥へ向かった。
カクヨムこっちのほうが伸び速そうで怖い...




