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1595

1595年。

木曽家を揺るがす大事件が発生していた。


「義昌?」


それが間近であることを本人よりも知ったのは、武田勝頼であった。


「いや、なんか。ホッとしちまった」


木曽義昌の重責が解けたような表情であった。大大名となった彼がそんな表情になったのを、同じく大大名であった勝頼は知っていた。だからこそ、発破をかけたのだ。


「小諸は俺が与えた領地だったが、木曽家の先祖代々の土地は木曽福島だ。その顔は早すぎる」

「……分かっているけど、もう、近い」


義昌もここまでの勢力を率いた男だ。信濃はもちろん、飛騨(ひだ)、越中・越前・能登………躓きそうなのは、織田の本領である美濃だろうとは思っていたくらいだ。

柿崎の大合戦の勝利後、大きく動いた情勢は確実に織田の天下が終わった事と、新たな覇権争い。守るべき民の存在があったとしてもだ。


「…………………」

「…………………」


義昌にとって、最後の終着点となるのが、生まれ育ち織田家に占領されている木曽福島城。その事を知っている民はどれくらいいるだろうか。義昌自身、侍大将の地位に着き、蒲原城に赴任しているため、彼の存在が大きい土地というわけでもない。

むしろ、義昌にとっては、小諸城という土地が故郷と言える場所だった。


「義昌様、勝頼様!伊達家からの使者がやってきました!」

「!転封の話かな、それとも激励かな?」

「伊達とは協力関係でいるべきだな」


伊達家からの使者に対応しつつ、城交換を持ちかける。蒲原城との交換を持ちかけて、かつての領地を取り戻そうと考えていた。

使者という形で来たためか、話しは決まらず、激励を受けただけに終わったが。


「政宗殿か、小十郎殿が来てもらいたかったな。今後の話しが早く済みそうだったが」

「同盟とはいえ、今会うのは危ないだろう。駿府攻めの事なら、俺がその援軍を引き受けると、政宗に伝えてくれ」


今の木曽家と伊達家の違いが明確に出て来た一面でもあった。

そして、勝頼は伊達家がいないところで、義昌に命令のようなことを口にした。


「自分の領地は自分で取り戻せ」

「分かっている、勝頼様」

「”様”はいい……そんなのはいいが…………」


天下を獲れる機会ではあったが、彼にはもう、独立を決めた時のような気持ちが切れかかっていた。それがどのような末路になるのか、一度滅んでいる勝頼は知っているし、上杉達も義昌の顔を見れば、ピンと来るだろう。

乱世でそうなった大名は、……



「政宗殿がいれば、纏まるだろう」

「!」

「だから、彼に来てもらいたかった」


義昌は自分の顔を見れなかったが、勝頼がそれを感じた事には気付いた。

それが、落ち着いてしまった武将の顔だ。


「…………………」


織田家のあの混乱ぶりに、後継者問題というのは大きな出来事にある。木曽義昌という男は、色んな家に仕えては独立をし、東北を纏め上げてきた。そんな彼の原動力はどうであれ木曽家を護ることであり、その目標には奪われたかつての領地を取り戻すというモノから。

上杉景勝達も、能登侵攻が上手くいっていることは早馬から聞いている。

我々はただ、奪われた土地を取り返すためだけに奔走しているだけなのだ。


”天下を獲ろう”


という信念まではさすがにない!!


そして、その目的が成就されれば、領民を幸せにし、安心できる政治を敷くことだけである。今の木曽家はもう、ここまでの器なのだ。


「………………」


義昌は、自分以外でこの武将達を纏められる存在は家中にはいないと思った。(ほとんど、同期に近い)。息子は


「義利はダメだ。あれは粗暴というか、身の程が分かってない奴だ(俺を名将だと勘違いしてる)」


木曽義利。木曽義昌の実子ではあるが、……正史では、木曽義昌の奮闘によって、なんとか家を存続させる事ができた木曽家を、改易させてしまう人物である。

かなり粗暴な人物であり、家を守るために奮闘や汚名を被った義昌とは違う人物である。

こー言ったところに、戦国乱世の真っただ中とそうではないところの一面が出るのだろうか。


「勝頼様が引き継ぐと言っても」


勝頼が義昌を見て、気付いたように。義昌だって、勝頼を見て気付いたのだ。

奪われた土地を取り返すに至るまでの年月は想像以上だった。

木曽家が本当に天下を獲るというのなら、自分の次の代が理想だ。そのような息子達、家臣達を揃えてこそだ。織田・徳川・伊達・島津といった大勢力にはそれがあり、木曽家はここまで巨大化しているのが奇跡的なことであり、一代で転覆するような危険な状態であるのも察していた。


それは、武田、上杉、真田、津軽、最上、安東…………などなど。連合軍の側面が強く、彼等を上手く制御できるのが、木曽義昌であっただけなのだ。



そして、その義昌に立ち止まってしまう動機ができてしまった。

独立のために手放してしまった、小諸城の奪還、さらに、



「木曽義昌が攻めてきましたー!その数、8000!!」

「ここを破られたら、美濃侵攻の足掛かりになってしまう!」


木曽義昌(8000) 対 織田軍(4000)。

木曽福島城の戦いが始まる。

しかし、その戦い。


「………………」


義昌にとっては、とても簡単なものだった。様々な名将と対峙して来た彼にとって、いくら堅牢な山城であろうと、兵の士気が高くない城を落とすのは容易く、侵略されてきている恐怖を味わっている織田家達にとって、戦う事に恐れているからだ。

時が経っていれば、その領地が誰のモノだったかどうか。


「こ、降伏する。城兵の命だけは、見逃してくれぇー」

「……承知した。兵を引かせるのなら、美濃に向かうといい」


この土地は先祖代々、木曽家が守っていたが……武田の侵攻に敗れ、武田家のものとなり、そこからまた織田家に奪われ、……先祖である木曽家が取り返しに来た。


「もう光景が残っていないな」


最後にこの地にいたのは30の頃だったか?小諸よりもさらに時間のかかった期間であった。しかし、長い事、美濃と信濃を結んだ織田家の要所として使われた城であり、道も立派であった。

織田家が持っていた財力が分かる。


「領地を荒されずに済んで良かった」

「元々、木曽さんの領地だからねー」

「そうだったの?」


領民達も木曽家が戻ってくる事には反対はなく、誰が領地を治めるかよりもどうしてくれるかを求めていた。もちろん、義昌にはそれが分かっていた。


「義昌様。景勝様から、越前の方まで侵攻が進んだとの報告」

「さすがだな。しかし、もうこの辺で良いだろう。兵達も疲れているし、領民達も困っている」

「ははっ!!」


木曽家はもう領地を脅かされるような勢力ではない。今は取り返した領地でしっかりと運営する事が大事だと、義昌は伝えた。それが滅亡の危機にあった、織田家を救ったとも言える。伊達家の侵攻はまだまだ止まらなかったのだ。


「承知した」


義昌の指示を受け、景勝と兼続は軍の行動を止め、領地の安定化を図る。東北の武将達も能登に入り、海運などの強化に当たった。東北で用意していた物資がそれを大きく手助けしただろう。

一方で、主要の武将達に領地の割り当てを行う、義昌達。



木曽義昌

木曽福島、小諸城、上原城、蒲浦城などなど


武田勝頼、

躑躅ヶ崎館、高遠城、中野城などなど


上杉景勝、

春日山城、柏崎城、魚津城などなど


直江兼続、

新発田城、安田城、などなど


真田信伊

七尾城、宅田城、などなど


千坂晃親

尾山御坊、大聖寺城、などなど


かつて、旧領を奪われた者達には、望み通りの領地を与え、その配下達にも城を任される事となった。

木曽家が東北から越前まで支配した事により、京への流通が安定し、東北の商業の貢献に繋がり、東北地方を任されていた大名達は潤ったという。



ザッザッザッ



「まだ、天下を獲れるぞ」


伊達は勢いそのままに、美濃で織田家との戦いに入る。目指すは京。一方で、明智光秀 と 羽柴秀吉の戦いは、3か国から援助を受けていた明智家が優先であったのだが、なんと大事なところで明智光秀が病没してしまうのだった。後に引き継いだ者がいたが、光秀を失った影響は大きく、長曾我部は明智家に侵攻。そして、毛利家は友好関係にあった島津家に背を突かれる形で猛攻を受ける。


京を抑えているのは未だに明智家ではあるが、その力の弱体化は大きい。そして、織田家もまた権威と軍事力を欠いている状況。

明智に代わって京を制する者が、天下を獲れる。


「京まで、あと少しなんだぞ!!越前にまで来てるじゃないか!!」



大本命は伊達家、しかし、兵力や軍事力、九州という土地を完全に掌握している、島津家も大きい。だが、京を抑えて、幕府や朝廷の権威を使えれば



「義昌!!京にまで進軍し、”惣無事令”を発令するんだ!」


あれだけあった全国の小勢力、豪族達、僧兵達が、大きな枠組みに収まって来た。

島津か伊達か、……木曽か。

この3勢力がぶつかり合えば、日ノ本全土が揺れるだろう。それを抑えられる権威を握るかどうかで、天下の行く末を決められるのだ。

ここまでのお膳立てを前に、彼が止まったことには驚きもあり、怒りもあったのだ。


「義昌!!」


明智光秀が病没と同じく、織田家を経由して、木曽家の領地に入って来たのは真田一族の面々。

木曽義昌が今、本拠としている木曽福島城に来ていた。

織田家を内部から崩した男の功績は大きく、天下がまた揺れたのは事実であった。できるのなら、勝って欲しい男を支援したかったのだが、



「………………義昌は寝ているぞ、正幸」

「勝頼様。これはどーいうことなんだ!?」


木曽義昌、1595年3月、木曽福島城にて倒れるのであった。

その報せを聞いた武田勝頼と千坂景親、真田信伊も駆け付けていた。景勝も兼続も、彼へのお見舞いに訪れていたところだ。


「……義昌は病気……なのか?」

「心労が祟ったんだろう。死線をいくつも潜り抜け、独立を果たし、旧領も取り返した」

「緊張の糸が切れたんだろうな」



木曽福島城を取り戻してから、木曽家は領地の開発・運営ばかりに注視していたのは、木曽家の大名である木曽義昌の体調不良にあった。

このことは伊達家や織田家にも伝わっておらず、内政に注力することで誤魔化してはいたが


「気付かれるかもですね」

「……木曽家に天下は獲れなかったぞ、正幸」


勝頼は父、信玄の病没を振り返っていたところだった。信玄もまた、徳川家を追い込んだものの、陣中で病死してしまった。


「今後、木曽家はどうするというのだ!?」

「さぁ?」


義昌を事実上の大名とする形での、連合的な集まりだ。揉め事は必至だと、勝頼は分かっていたし。


「昔のように上杉と戦うかもしれない。いや、それどころではないと皆分かっているが」

「……………俺は、徳川家、織田家、明智家と流れていったため、その後の動向を詳しく知らない。跡目争いはどうなっているんだ?」

「義昌の嫡男は…………さすがに義昌からやばいと言われてるしな」

「東北の大名達は義昌の言葉を大事にするだろう。また信頼関係が上手くとれるかどうか」


不安ばかり語っているか、寝ているはずの男が現れた。


「うーっ……勝頼様、千坂殿……真田殿……え?正幸?」


病に罹った木曽義昌が、この場に顔を出した。



◇         ◇


55歳。

戦国武将としては、上出来なくらい。そして、正史を知らない彼等にとって、すでに亡くなっている者達で集まっているとも言える状況だ。



「正幸。来るのが遅すぎる……」

「たわけが。なんで天下が目の前にあって、病を患う」


武田家からの仲間達、離れてからの仲間達の集まりが最期の日の予感。


「勝頼様。ここは伊達家を支援して欲しい」


義昌は率直に、残る木曽家を案じて、勝頼達に今後の方針を語った。


「誰かが天下を握らなきゃ、戦国乱世は終わらない。……今、それに最も近いのは伊達家であり、天下に最も近かった、織田家を取り入っているのも彼等だ」


義昌は天下を獲るのは伊達家だとし、その支援に回ることを伝えた。正幸は天下と口で言ったが、こうして病に罹ってしまう辺りに、その天運はなかったとハッキリと分かった。なら、天下を獲る者から守る必要がある。伊達家と争うこと、西の島津と争うことを止めること。

でなければ、また、自分達の領地が脅かされる。それでは戦国乱世は終わらない。


「伊達が天下として、その下に島津と我々で日ノ本を支えること。これが俺達の領地が脅かされない方法だ。……ゴホゴホ」


……義昌の体調の悪さを見て、正幸もこれでは天下を治めても、長くは持たぬと分かった。


「上杉と直江、最上……津軽にも、……伊達と和平するように。もちろん、交易に譲らぬよう努力はするが……」


東北勢と伊達家との争いが怖いだけに、義昌がいなくなった時の不安。


「俺がそれを対処する。景勝達も、今の伊達とは事を構えたくないはずだ」

「お、俺もしっかり景勝様に進言します!!」


それをしっかりと対処すると述べた、武田勝頼と千坂景親。

伊達家との交渉は上手く行くと思う。問題は、島津の方だ。九州を制して、毛利を近々滅亡に追い込み、京へと向かっている。こちらに関しては木曽家には、あまり情報が少なく、交渉が難しい。

伊達がどれだけ島津との交渉をしてるか分からないが、


「東西を分ける決戦など、余計なことだ。……しかし、今のない幕府も朝廷も、権威はあれど軍事力がなければ、起こり得ることだ」


島津、伊達が激しく天下を争う中で、


「木曽家が二つの勢力の輪に入り、……その天下分け目の戦いを禁じる」


それに近しい勢力が加わることで、それを阻止したい流れ。交渉の場を作ろうとしていた。


「正幸。上手くやってくれないか?」

「俺か」

「……伊達家との信頼関係を考えれば、勝頼様が島津と交渉する者でない方がいいだろう。かといって、上杉と直江の2名は、伊達と緊張状態になるかもしれないし。……怖いのは、東北の者達を纏め上げるとか。東北の者達には難題もいいところ」


真田正幸の巧みな話術なら


「戦を止められる」

「俺は天下を動かした口だぞ」

「…………それはない。だって、ここに戻って来た。上田城に帰る気だったろ?」


正幸が明智家に行っている間に、上田城も奪っていた木曽家。そこの領地は一旦、義昌が預かっており、正幸達が戻って来たらすぐに渡せるようにはしていた。その旧領を返すという条件で、この交渉をお願いしたかった。


「天下が決まった時、お家があれば俺達は十分だ。……ここいる面々、いつ死ぬか分からないしな」


義昌は冗談交じりに言っていたが。

実際にそうとも言える者達が集まっている状況である。それは東北勢の大名や上杉達もそうだ。島津の事を詳しく分からない以上、天下に関しては、まだまだ若い伊達政宗が適任じゃないかと、木曽家の中で判断。


「はぁ~…………まだ書状が書ける内になんとかするさ。出来る限りの事を」


義昌の最後の仕事は、自分がいなくなった時の対応である。それは戦国武将としてではなく、人としての最後であった。



◇          ◇



【伊達政宗殿。 これをお読みになっている頃には京を抑え、天下統一は間近だと思います】


織田家を滅亡し、その勢いのまま、京を明智家から奪った伊達政宗。

凄まじい快進撃で上洛していったが、あまりの急ぎであるため、奪った領地は手つかずな事が多い。幸いにも、織田・徳川が敷いていた善政によって、まだ多くの問題にはなっていないが。……混乱はまだあったくらい。

関東を制圧しても、京までの距離を考えれば、ここらで内政に集中したいところ。しかし、島津家も毛利家を取り込んで、羽柴・長曾我部と交戦中。まさに


【島津との天下分け目もまた、すぐそこまでかと。我々に及ばない規模のことでしょう】


義昌が思っていた事が、その通りになった状勢であった。


【私も伊達家のお力になりたいものですが、もう病が酷く、伊達の天下を見る事すら危ういかもしれません。もはや、木曽家の領地、家臣の領地を護ることを懇願するため、あなたの天下をご支援したい。島津との決戦ともなれば、日ノ本は戦国乱世に戻る可能性も考えられます】


長々と書いてはいたが、乱暴に要約すると。


1.木曽家の領地は譲らない

2.伊達家の天下を支援します。本当におめでとう

3.日ノ本の民のためにも、島津家と本格的に合戦するのは止めてくれ

4.話し合いの場を京で設けて、決めて欲しい。なんかあった時は、武田勝頼と上杉景勝の両名で対処する予定になってる。

5.読んでる頃には俺、死んでるわー



「義昌殿が亡くなったんですね……もし、あと1年あれば、先に彼等が京を手にしていたと思うんですよね。とても残念です」

「政宗がまだまだ若いから、お前が天下を獲れば、長く安定するんじゃないかと判断したんじゃないか」

「島津さんも兄弟多くて、そこのところは大丈夫だと思いますがね。仲が良くて羨ましい(伊達家は内紛ばっかりだし)」


京を抑えてから島津家との交渉に入っているところである。京を抑えたことで、朝廷などの権威を使えるようになり、島津家との争いは……伊達家としても、少なくとも今じゃねぇーって状況だ。島津家の兵の強さを知っている以上は、伊達家も失うモノが大きいと判断している。

義昌の懸念も、政宗にだって分かっている。交渉が3か国同士で纏まればいいんだが


「残る大大名達で、もう話し合って決めましょう。義昌殿が来ないのなら、勝頼殿か、景勝殿か……両方来られるのかな?」


天下に最も近かった織田家が、信長と信忠の死で、一気に滅亡し、そこにいた家臣達もバラバラになってしまった事は、残る大大名達にも心に残った。

天下を統一するから、いかに日ノ本を維持していくかが焦点となる。


伊達家、島津家、木曽家からは武田勝頼、上杉景勝、真田正幸が出席、長曾我部家、羽柴家……他にもかつて、領地を持ち、大大名にあった者達が京に集められ、空白の幕府や朝廷とも一緒になって、話し合いを始めることとなる。


もちろん、伊達家と島津家は、裏で戦争の準備はしている(抜け目ない)。話し合いを有利にするためにも、各大名同士で繋がり合うのは大事なことである。



チュンチュンッ


「忙しいなぁー」


雀の鳴き声を聞くくらいに余裕はあるし、のんびりと碁を打つほどであるのにな。


「平和過ぎて、忙しいものよ」

「容赦ねぇーーーーっ!!正幸のおじさん!!」


木曽家の跡目を継いだ者と、正幸は碁を打って遊んでいた。義昌が残した領地は、武田勝頼と真田正幸(真田一族)が一旦引き継ぐ形になった(後継者に難があるから)。

こーいう日々を望んでいたくせに、奴はあと少しのところでそれを逃す辺りは


「つくづく平凡が過ぎる男よ、木曽義昌」


島津との話し合いも上手く行っている。伊達が京を抑えてから数年が経ち、大きな争いなどなくなった状勢になった。


「ごほっごほっ……しかし、こうして我々も戻って来られたのは、侮れん男だったよ」

「勝頼様」

「……俺も、病がちだ。馬場とかよく70まで元気に奮えた者だ。戦国乱世だったからか、死んでる余裕もなかったのかもな」

「ふふっ、なら、義昌の奴はこの中で誰よりも早く、天から褒美をもらったということか」



伊達政宗は元気だそうだが、相方の片倉小十郎の方も病気がちになり、跡目問題の最中である。

平和でも忙しい者達はいるものだ。一方で木曽家の面々はのんびりと領地経営に励み、どの大名達よりも戦国乱世を生き抜いた事を忘れさせる日々を過ごしていた。



・

・

・



木曽義昌

1595年、6月、木曽福島城にて、病没。



『木曽さん、独立する』


これにて完結です。

これは信長の野望、戦国立志伝をやっている時、シナリオは”天下布武”、武将プレイで”木曽義昌”を選んだ際の状況をなぞっただけの物語です。神ゲーですね。

武将プレイは難しいんですよね。自分は設定を全部”少ない”設定にして、デフレ環境を楽しんでいます。

なにがいいって、武将プレイって作業しながら、遊べるという点なんですよね。インフレ環境にすると戦いばっかで、作業に集中できなかったり、武将や軍団長になると指示・提案をしっかりしないと、滅んじゃいます。


京まであと1年って時、木曽義昌がいきなり、病没してしまい、エンディングに行ってしまいました。なんの前触れもなくて、椅子から転げ落ちました。

武田家を裏切って、北条側についたり、徳川側についたりして、……武将に昇格した後、武田勝頼や馬場信春を配下にし、上杉領を確保できるようになってから、東北方面に進軍。そこで東北を纏め上げました。そこで徳川家から独立……その直前に真田正幸を配下に加えて、旧武田家の面々を集めていたのですが、真田正幸だけ、独立時に徳川家に残っちゃうというトラブルが発生し。急いで、徳川家から回収しようと奔走したんですが、正幸は伊達家を経由してなのか、織田家の方にまで行ってしまい、回収できない状態になってしまいました。

話の都合上、”本能寺の変”がおかしな時期に発生したようになっていますが、プレイ中ではそもそも起きてません。というか、織田家は未だに勢力が大きいままです。……いや、話しの都合では伊達家が関東を制圧したとか書きましたが、ぶっちゃけ、下総とかは木曽家がハイエナをしてたりしてます(笑)。そーいう描写を変えたのは、ゲームみたいな感覚で書くと戦国時代をナメ過ぎですからね。かなりナメた話になってますけれどね。



織田・徳川連合を相手に、伊達家と一緒に大合戦したり、かなり濃い武将プレイをしていました。柿崎での大合戦で、織田信忠や柴田勝家を倒し、春日山城や小諸城、躑躅ヶ崎館を取り戻した時はガッツポーズでした。

特性の”攻城”を持つ武将がいると、城攻めが面白いですね。平城をガンガン落とせて楽しいです。もちろん、内政も好きですけど。

最終的な木曽義昌の能力は、統率88、武勇93、知略93、政治102 と、滅茶苦茶強くなりました。平凡過ぎる初期能力から成長し過ぎだろって思いました。それでも終盤はインフレ環境で、これでも並みぐらいなんですよね。勝頼とかはもっと強いです。


あと面白かったのは、松永久秀や細川幽斎の武将プレイでしたかな。2人は最初から身分が武将なんですが、三好家や足利家で奮闘するのも面白いです。将軍の義輝様が強すぎる。ただ1家臣から始める場合だと、木曽義昌を超える武将が見当たりません。

武田家の外交も中々スリリングなんですよね。CPUだからしょうがないんですが、織田家と上杉家に喧嘩を売りながら、今川との同盟を破棄して、北条すら敵に回すという状況を平然と作りまくるので、自殺したいのかと正気を疑いたくなります。歴史イベントですと、信玄が山縣に対して、「よくやってくれた」とか言ってるんですが、マジでプレイ側からしても、「やってくれやがったな」、って殺意が湧きます。


今、同じ武田家臣の長坂さんで武田の全国統一ができないかと模索してるんですが、デフレ環境だと厳しいの一言ですね。勲功を多めにして、馬場さんか山本さんを従えての、無双はなんかちょっと違うんですよね。長坂さんは城作りで貢献してるけど、後半は、内政じゃなくて戦闘メインですから。初期シナリオからいる武将なだけに、どーにかこーにか使いたいんですけどね。


ゲーム的なお話はここまでとして。

木曽義昌という武将は、これよりもスリリングな人生を送っている武将なのは事実です。意外と戦も強い方です(山城での戦闘は得意)。木曽家が武田家に吸収され、それから織田家に裏切ってしまうという感じで、後世にはあまり良い印象がない方ですが。死ぬまでに家を残したという事実は、武将としては立派です。息子さんがちょっとアレで、改易を喰らっちゃうんですが(ていうか、お前の戦法はそれっぽいけど、ズルじゃね?こちとら”急襲”で頑張ってるんじゃ)。

家を残すためにコロコロ裏切りましたが、領民からは慕われたりと、悪い人ではないですし。武田家を離れる決断も領民を守る側面もありましたからね。


作中では、勝頼や正幸などと仲良くしてますが、彼等より義昌は年上です。景勝や兼続なんかはさらに下ですね。……ちなみに、千坂さんは義昌より年上だったりします。彼も地味ですが、なかなか優秀です。

義昌が勝頼達をどう思っているかは分かりませんが、ゲームの方でもこちらの方でも、仲良しという形で収めました。

戦国時代という歴史もあって、今に至っているんですから、人類は面白いものですね。


それでは話はここまでにして、


次回作は……何になるでしょうか?ちょっと決めてませんけど、野球になるのかな~って思います。


それではまた次回。

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