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りょうり

伊達政宗。


伊達家17代当主。

”独眼竜”で有名な大名であり、数多くの作品で、かなりの破天荒ぶりな性格をされている。

史実もまた似通っており、東北地方を代表する大名である。




◇        ◇


新発田城の救援。

そして、最上家に占領されてしまった、平林城。それは家康が派遣した軍が動き、無事に徳川領になる。しかし、その様子に家康の表情は宜しくない。

言い訳をいくつか重ねたが。織田家との関係性は、若干悪くなった。北条家との戦いは決してミスは許されない。織田信長と織田信忠では、人としての格が違う。


「真田正幸~~」

「はて?なんの事でしょう?」


徳川家の未来を考えるならば……信忠に恨みを作るのは危険だった。

木曽義昌にこれほどの器があるわけではなく、裏でコソコソ動いては、自軍の兵をあまり使わずに城を奪い取る様。真田正幸の軍功は一際目立つ。それ故に家康が、彼を首謀者として扱っていた。


「上田城から別のところに転封されるか?」

「私達は上田城の領土を安堵される形で、徳川方についた。その約束をお破りになされるので?」

「そんなことはお前のお得意な事じゃあないか?」


本気でその気はないのだが、正幸の実力は確かであると同時に、力を与えすぎてはいけない怪物。徳川家康にも制御できない代物。


「家康殿。ご救援。感謝頂きます」

「残る我々、上杉家臣は徳川家につきます」

「…………む」


その場を上杉景勝や直江兼続が謝罪も兼ねて入ったことで、騒動は大きくならなかった。とはいえ、正幸を自由にさせるのはあまりに危険。残る武田・上杉の武将ならば、豪傑・知将揃い。正幸を失っても問題はないと判断し、



「正幸は上田城にて、北条を攻める準備を整えよ。あくまで準備だぞ!」

「承知致しました」

「景勝殿、兼続殿にこの地の統治をお願いいたす。また最上家の侵攻への対応。……それと追手、木曽義昌に最上家・伊達家との侵攻を言い渡し、2人には彼の下で動いてもらう」

「承知しました」



木曽家の次の相手は最上家となる。

安田城、新発田城、平林城の3つの城を中心に侵略するのである。まだ領内が荒れているため、数か月は動けぬ状態。その間にやるべき事をやる必要がある。



◇         ◇


「えーー?勝頼殿が、そもそも提案したんですか?」

「まぁ、正幸も同じこと考えてたみたいで。厄介事を俺に押し付けただけ。責任は全部お前扱いだよ」


一方で、安田城にいた、木曽義昌と千坂景親、真田信伊の3名。上杉家攻略の実情を義昌から訊き、それは当然驚いた話だった。本人も同じだ。


「やっぱり勝頼様と正幸はすげーし。……上杉家の、兼続殿と景勝殿にも敵わないと思った」


実際、自分がやったことは坂戸城を奪ったことと、安田城を包囲しつつ、兼続を城内に入れて、挟撃したところ。そーいった作戦諸々の多くは正幸と勝頼がやっていた。

自分は指示通りに兵を動かしては、軍備を整えたぐらいだ。


「勝頼様には安田城を任せて、新発田城に景勝殿、平林城に兼続殿が任される。最上家に対応するために理想的な配置だな。……(飯山城には馬場信春殿が入った)」


そんな状況なわけで、安田城から離れた義昌と千坂、信伊の3名。今、揃って移動中。とある勢力に向かっている最中なのであった。

実は、松代城を千坂が、坂戸城を信伊が、徳川家から城代を任されていた。前線の3つの城と違い、後方よりの城であるため、領地の統治については後回し。それよりも先に、今後の最上家と戦をする上で大事な任務があると、義昌は動き。それに協力してくれる2人であった。

ちなみにであるが、家康などもその取り決めを義昌に言い渡していた。


「”伊達家”との停戦協定だな」


伊達家。

現在、伊達家は代替わりしたばかりであり、内情は決して良いとは言えないもの。しかしながら、自分達よりもさらに若い者が、当主の座につき、それを補佐する者達も優秀と聞く。もちろん、前当主である、伊達輝宗の権威も健在。

徳川家としては、この伊達家の内情を汲み取った形で、停戦を結んで……最上家への侵攻を狙いたいところだ。


「聞くに、現当主の伊達政宗とは、知勇に優れた魅力ある武将と聞いている。謙信様や正幸と似たような人物ではないかな?」

「それならば、俺達も扱いがなんか分かる」

「嫌な自信ではありますが。往々にして、そのような人物には優れた配下がつきやすいもの。兼続しかり、馬場様、山縣様しかり……。伊達家には留守家、亘家、片倉小十郎など、名の通る武将も多い」


十分過ぎるくらい、伊達政宗という人物を想像できる3名であった。

眼帯をして、戦場で暴れる様が似合っている。

そんなわけで3人は徳川家の使者という扱いで、伊達家に向かっていた。



「政宗。徳川家の使者を招いてホントに良いのか?」


そして、同じ頃。伊達家の領地である、小泉城では、伊達政宗とその側近である片倉小十郎が喋っていた。重々しい雰囲気を出す片倉に対して、伊達政宗。


「良いのですよ。私達がやるべきことは、伊達家の基盤を固めること。私、政宗が就いた事に。少なからず、反感を持つ者もおります。母上は小次郎を推し、蘆名の者達もまだ、隙あらば伊達家に反旗を翻そうとしております」


………………。

凄く理路整然とした振る舞いをし、傾奇者とは到底思えぬ、気品漂う風格。

それがこの世界線の伊達政宗なのかな?


「小十郎。安田城で徳川と戦い、どうでしたか?」

「……やはり強く。その後ろに控える、織田家が徳川を操っているとなれば……」

「伊達家の天下はもはやあり得ない。か。……私が15年、いえ、10年早く生まれていれば、織田家を超えていたかもしれませんね」


すっげ~、上品な方だ~~。言ってることは結構ヤバイけれど。


「ですが、遅く生まれたという事は、確実に言えることがあります」

「それは?」

「私が信長や家康よりも長生きをすることです。天下統一とは、時代の象徴であり、移り行くもの。私はそう思っております。そこで徳川が天下統一。あるいはこの情勢のまま、織田が天下統一をするのならば……そこに貸しを作るのは有意義であります。言いたい事、分かります?」


言動はとても暴れ者には思えないが、その勢力の動かし方は噂に恥じない、暴れ者である。


「伊達家は北条家と戦います。もちろん、織田・徳川との協力戦線を結んでからです」

「……承知しました」

「そして、気になっているのもあります。安田城の戦いで指揮をされたのは、木曽義昌であり、その彼がこちらに向かっておられるのですね?」

「はい」

「興味。あります」

「……あの男は、武田、北条、上杉……そして、今は徳川と。武家を変えている者。信用するというには難しすぎるモノ。表裏卑怯と言われる、真田正幸とは違い、極めて凡庸でありながら」

「小十郎。こう考えたらどうです?木曽家を護るためならば、なんでもする。凡庸という評価は聞き及んでおりますが……。ここまでの功績に彼の評価を凡庸と済ますには、惜しい。分かる者には分かっていて、分からない者には分からない。だからこそ、お会いして確かめたいのです」


徳川家が今後、どのように動くか。また、彼等をどうやって扱うべきか。

直に会って見ねば、分かりません。


◇        ◇


伊達家との外交交渉を始めた木曽家。最上家攻略のためには、伊達家との停戦協定は必須。主家の徳川家としても、この交渉は大事な要素であるが……。先ほどの戦いで徳川家からの支援は少ないモノ。動向を探るに等しく。木曽家の力が削がれるのは良いものだった。



「「「おお~~~」」」


そして、木曽義昌達三人は伊達家の小泉城に入り、おもてなしを受けたのだった。ご当地名物の釜めしを始め、とても豪華な料理が運ばれて来た。


「こ、これほどの料理を頂けるとは……」


伊達政宗達と会食しながらのご予定。木曽家が大きく勢力を伸ばしたこともあるが、しかし、これほどの料理を頂けるとは……出世とは良いモノだと思った。大名やそれに続いた老臣達は皆、そうなのかと思いもした。


「政宗様は料理が趣味なお方であり、総菜などは政宗様が作られました」

「なんと!?政宗様、直々に手料理を!?」

「主人自ら調理して、もてなすとの事です」

「う、ううむ。伊達の大名様もまた、豪快でありますな」


伊達政宗の趣味は意外にも料理だったりする(史実)。


ザーーーーッ


「気に入って頂けましたかな、木曽殿、千坂殿、真田殿」


戸を開けて入って来たのは、……初めてお会いする男。噂と違って好青年に、先ほどまで料理をしてきましたと見える、エプロンをつけたままの姿。しかし、刀を腰に巻いて現れては、目立つしかない右目の眼帯。


「私が伊達家の大名、伊達政宗である」

「政宗様。外交の場なのでもう少し緊張感あるお姿で……」

「何を言っている、小十郎。家康ならともかく、対等を示す必要はない。料理は小十郎の分も用意したんだぞ?それと成実しげざねはどうした?またいつもの稽古か?」


……知らない方が良いくらいだ。

この会談は格が違い過ぎる。伊達政宗、伊達成実、片倉小十郎。……対するは、木曽義昌、千坂景親、真田信伊。あまりに格差がある事は、3人はまだ知らない。


「は、初めまして。徳川家の外様衆、木曽家、き、木曽義昌と申します」


こ、これが伊達政宗か。正幸の子、信幸くんと年代が近いか。しかし、この風格は彼以上のモノだな。東北にこんな雄がいるとは聞いていたが……。雰囲気で分かるが、信玄様に匹敵するかもしれないし。超えているかも。生まれが早ければ、天下をとれるって雰囲気は



そんな考えをしていた義昌であったが、その背後から黒い影が現れる。


「お前等が徳川家の回しもんか~~~?何をしに来た~~?」


3人共、座っていたというのもあるが。それにしても身は大きく、武勇に優れる男だと分かる。義昌達が振り向いて見上げた男はすでに、大斧を構えていたという。


成実しげざね。お前はこっちの席だ」

「義兄者。ここでこいつ等を斬って、虫の餌にした方が良いんじゃね?」

「いや、止めろ。政宗様の命令が絶対だ」


伊達家ってヤバぇ集まりかよ……。

肝が冷えてしまった3人。言われるがまま、政宗の隣に座って勝手に飯を食う成実しげざね。自分からは話す気がないと言えること。


「すまない。私の噂の半分くらいは、成実しげざねの武勇によるものだ。戦場では武の伊達成実、智の片倉小十郎が、伊達家を支えている」

「ち、知勇兼備の両翼が伊達家を支えておられるのですね」

「若い力は逞しいですね」


俺達3人は年上だけど、迫力負けしてしまった。


「!!義兄者の料理はサイコーだ!!」

「……まぁ、成実を呼んだのはコレだ。大名自ら料理を振る舞う事、他国も恐れて口にできない。何もないよ」


現れた時はビックリしたものだが、メッチャ旨そうに義兄の飯にガッつく様は見てるこっちも幸せになりそうだ。飯に毒とか入ってないのが分かる。


「っ……と、いかんな」


義昌は思い出したかのような声を出してしまったが、政宗の手料理を一口食べれば……確かに、滅茶苦茶旨い!!……だが、外交でこうもやられてはいけないと、武田家の頃を思い出す。


「政宗殿。これほどの馳走を頂きながら、交渉致す」

「構わぬ」

「徳川家と伊達家の長期的な停戦、同盟を結びたい」

「文の報せ通りだな」


交渉事はすでにやり取りしており、その返答・要求を直接聞きに来ただけである。

徳川家というより、木曽家の領土と大きな山を挟んで隣接している伊達家は。


「要求を求めたい。だが、その前に木曽義昌殿にそのお力があるか疑わしい」


内容に関しては概ねOKを出しているけど、要求が木曽家だけではダメだというもの。そこで


「私達はこれから天童城、山形城を拠点にしている、最上家へ侵攻する。最上家と伊達家は、徳川家と織田家のように婚姻関係にある。そこを、最上家からの要請を断って頂きたい。……長期的な停戦を望んでいる」

「察しの通りですね」

「……この場で語るのは、失礼極まるが。最上家の当主、最上義光殿と政宗様は……叔父の関係とはいえ、あまり仲が宜しくないこと。上杉家の時からも聞いた覚えはあります。手を下しにくいが、武や知においても最上義光殿と対峙するのは避けたいのでは?」

「千坂殿。さすが上杉家臣ですな。……確かに、母上の兄にあたる方。伊達家が正面から最上家と戦うとなれば、この3人が心を一つにしても、”民の心”まで纏めるのは難しい」

「悪い話ではないのは確かだ。しかし、家康殿か……あるいはその四天王が使者として来るのなら、私達には良かった」


伊達家の要求の中身がなんなのかは、明かさない。それも交渉事の大事なもの。お互いがどれくらい把握しているか、腹の探り合い。こーいうことも自分、苦手だなって義昌は苦笑い。最上家と伊達家の関係ってそうだったのか、って初めて知った。千坂さんが来てくれて良かったし、信伊さんも来てくれたのは良かった。


「四天王一人、榊原さんとなら。私達は申し出せるが……それでは不満か?」

「ああ。榊原さんは木曽家と繋がりあるな」

「榊原ですか。四天王なら酒井か本多のような古豪・豪傑が良いですし、あなた方の口から大丈夫でしょうかね?」

「むっ……政宗殿。要求を渋るというのは、徳川家に対して何らかの不利益があると見受けます。ですから、家康殿に直接言える方が来て欲しいというわけですか?」

「!そうです。小十郎、要求を言います?」

「……いや、予想のままに信伊殿に答えてもらってからでいいかと」

「どうぞ、信伊殿」


片倉に話を振られて、信伊はしばし考えて、伊達家の要求を思うが儘に答えてみた。なんだかんだで、正幸の弟である。


「伊達家と織田家の同盟!伊達家が南下し、北条家を襲い。東から織田家と徳川家が挟み撃ちをする!それが狙いかと」

「……さすが、真田の者ですね。そうです。織田家との同盟。そして、対北条家への連合の結成が伊達家の望みです(50%は合ってる)」



戦国乱世でも大きな勢力が挟み合って同盟する事は良くある話だ。


「その仲介に徳川家も協力して頂きたいのです。ですから、家康殿にはお話をしておきたいと思います。もちろん、私が京まで出向き、信長様との対談も望んでいます」

「……確かに徳川家のみならともかく、織田家の事まではこの木曽家はもちろん、徳川四天王でも難しい要求だな」

「……………」

「対北条の連合については、家康殿の耳に入れば了承して頂けるはずです。東進だけでの攻めではかの北条家は難しい。信長様も伊達家の介入には喜ぶはず。……つまるところ、連合を結成した後、織田家との交渉事を政宗様や片倉様が担うというのはどうでしょうか?」

「ふむ。千坂殿のご提案、私は悪くございませんな」

「小十郎。織田家との交渉を任せて宜しいですか?」

「もちろん」


この会話だけでも、この3人の中で一番のキレ者が、やはりあの真田信伊というところだと、政宗には分かった。温厚というより裏表のない木曽義昌。良識があり、無難な選択をとれる千坂景親。用心深いが、警戒心が少ない真田信伊といったところか。


伊達家が織田家と同盟をしたい理由については、分かってはいない。家康が来ていたら、この件に関しては難しいだろう。


「織田信忠と交渉を勧めよ」

「ははっ」


信長をいきなり崩すのは難しいが、その嫡男で実質の跡継ぎである、織田信忠と交渉を模索している伊達家。織田家と徳川家のイザコザは掴んでおり、信忠からすれば、徳川家を良く思っていないのは確か。北条家を潰すための連合として参加しつつ、織田家に恩を売りながら……。


”織田と伊達家で、徳川家を潰す”


婚姻関係かつ長年の契りが約束された同盟だ。とても織田家が見過ごせるモノじゃないが、徳川家の動きに不穏さを出せば、悪くない。




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